

その昔、この世界には「自由の国」と「平等の国」という、隣り合う二つの国があった。自由の国は自由こそが幸福だと信じ、自由のみを追求していた。平等の国は、平等こそが幸福だと信じ、平等のみを追求していた。二つの国は互いが影響を与えられることを恐れ、鉄の壁で境界線を設けて行き来できないようにしていた。
ところがある日、自由の国の少女ベルと、平等の国の少女クゥが、境界線で出会ってしまう。驚いたことに二人は顔がそっくりだった。ベルとクゥは服を取り換え、入れ替わって相手の国を見てみることにする。「自由」と「平等」のよい面、悪い面に気づいた二人は、やがて「理想の国」をめざして立ち上がるが……。











哲学者が書いた「自由」と「平等」をテーマにした小説。著者自身の子ども(小学生)を念頭において書かれているので、子どもでも楽しく読めますが、「自由」「平等」それぞれのよい点、悪い点が小説ならではのわかりやすさで描かれています。

小川仁志 (おがわ ひとし)