シネマの達人 ―最新映画星取表― バックナンバー一覧
【バックナンバー vol.4】

彼女たちの時間
ウェイキング・ライフ
8人の女たち

シネマの達人、さらに新メンバー加入!

今回から新たに4名の映画好きが執筆に加わります。アウトドア・ライターの山本聡子さん、映画の世界で翻訳家・通訳として活躍中の中沢志乃さん、 「ロゼッタストーン」本誌に「でんぐり映画館」を連載中のにしかわたくさん、某出版社で書店営業に携わる岩崎真一さんです。よろしくお願いします。
星の点数 :  = 1 = 0.5
彼女たちの時間

監督:カトリーヌ・コルシニ
出演:エマニュエル・ベアール、パスカル・ブシェール
彼女たちの時間

山本聡子 
  ★★★☆
主人公たちと同年代ということもあり、この映画とは妙に波長が合い、俯瞰するよりは、入り込んで楽しめた。 同級生のその後が気になって仕方の無い私にとって、ルイーズのナタリーに対する嫉妬や羨望、振り回されながらも放っておけない気持ちにも、 うーんわかるわかる、と共感できた。腐れ縁も近づきすぎると破局へと向かう。女2人の心の機微をここまで丁寧に描けるのも、 やはり女性が作った映画だからか。原題は“La Repetition”(反復)。 同じ事を何度も繰り返してしまうのが人間の性、だとしたらラストの再会もなんだか意味深い。
中沢志乃   ★★☆
幼なじみのナタリーとルイーズ。自由奔放で才能あふれるナタリーにいつしかルイーズは惹かれていき、思い通りにならない恋愛感情と嫉妬心に燃えていく…。 「太陽と月に背いて」を彷彿とさせますが、これが女と男ならルイーズは単なるストーカーです。 ナタリーを好きだと思い込んでいるけれど、実は大好きなのは自分自身。ナタリーの手を引いて塔を登り、 またすぐに塔から降りていくルイーズの姿は彼女の行く道を表しているようで印象的でした。あんなの私は絶対いや! お腹の出た歌手(妊娠中?)に鍛えてない体々。アメリカと違うヨーロッパを知るにはいいかもしれません。
古東久人   ★★☆
幼馴染みの二人の女性。彼女たちはともに劇団に所属するもひとりは女優を続け、ひとりは挫折して別の道へ。絶交して、再会し、また絶交。 そんな関係の繰り返し。寂しいときは寄り添い、ベッドで抱き合うことも。その複雑な心理は理解し難い。男との違いをまざまざと見せられた感じ。 ナタリーには自分勝手なところがあり、ルイーズはおせっかいだが、ルイーズのほうがより屈折した部分を持っていそう。

ウェイキング・ライフ

監督:リチャード・リンクレイター
出演:ワイリー・ウィギンズ、イーサン・ホーク
ウェイキング・ライフ
(C)2001 TWENTIETH
CENTURY FOX

Nida タキグチ
 ★★★
「我々はどこからやってくるのか、我々はどこに行くのか、そして我々は何者なのか」ゴーギャンがタヒチで描いた絵のタイトルである。 難解で根本的な問いを、文学や絵画でなく、たとえば映画で表現したら・・・本作はそんな試みなのではと思う。 ピカソのタッチにも似た力強いグラフィックが抽象的な画を生みだし、だからこそ矢継ぎ早にくり広げられる哲学的な会話にメッセージ性が生まれてくる。 確かに手垢のついたハリウッドスターが実存主義を熱弁したところでしらけるかも。従来の映画がルネッサンスや写実主義ならば、 本作はまさしくピカソのキュビスム。心の眼で何が見えるか、既成概念を捨てて新しい世界に身をゆだねたい。タクシー船のアヒルはリアルに見えた気が・・・。
高野麻結子  ★★★★
「オレにとって運ぶ行為は人格を広げること」というボート型のタクシー運転手(アヒル付)をはじめ、夢と現の中で多くの人が様々な言葉を語っていく。 伝えたい事柄よりも伝え方によって取捨選択がされがちな今だから思う、新しいコミュニケーションの可能性のよう。 自己満足の“実験的”な映画が多い今、このメッセージをどうしたら受け手にきちんと伝わるか。それを考えて作られた稀少な作品。 人生の過剰について考えなくとも、単純に絵が好きな人も、言葉の力を信じる人も楽しめる。
中沢志乃   ★★★
苦手のジャンルかもと思われる映画でしたが、実写にペイントを施したと聞いて見てみました。結果は予想以上に見てビックリ!  現実離れした揺れる映像、字幕翻訳も大変そうな哲学的なセリフの数々。不思議な浮遊感にとらわれつつも、セリフを追うのにかなり必死…。 「時間は実は流れてない」というシーンなど共感できるセリフもあり、興味深い内容とスタイルだと思います。 でもテーマが難しすぎて1回でクリアーできる人は少ないでしょう。半券を持っていくと2回目が1000円になるのが納得でした。
岩崎真一   ★★☆
若い男が夢と現実の狭間で出会う人々の、哲学的な言葉に耳を傾けていき…というのが大筋の流れ。しかしこれというはっきりしたストーリーがなかったり、 実写に色を付けてアニメにしていたりといろいろ変わった試みが。実験映画賞とか未来の映画賞などを受賞してます。でも実験的ではあるけれど、 それだけに留まってしまっている感もあって、なんだったのかという消化不良の部分も。ラストも結局どうなったのか。 あと、予告編で使われていた曲が本編で一度も流れなかった(多分)のは納得いかない。耳に残ってたから楽しみにしていたんだけど…。

8人の女たち

監督:フランソワ・オゾン
出演:カトリーヌ・ドヌーヴ、エマニュエル・ベアール
8人の女たち

山本聡子 
  ★★★★
期待を超えてとても楽しい映画だった。フランス女のパワー、おそるべし。殺人事件から始まって、近親相姦、愛人の奪い合い、 遺産相続問題から同性愛まで、なんでもありのどろどろとした話題が飛び交うというのに、何故だか誰も真剣に悩んでいるように見えず、 人生を謳歌しているようだ。女優達の歌うシャンソンもとてもよいアクセントになっていて、飽きさせない。画面から溢れ出るポップな色あいもとても新鮮。 ラストで思わず拍手をしそうになったのは、私だけじゃないはず。それにしてもカトリーヌ・ドヌーブの豊満な胸元に終始目が釘付けでした。
にしかわたく ★★★★
ははは。理屈抜きに楽しい〜!れっきとしたバカ映画ですな。『シベリア超特急』のレベル高い版。(ぼんちゃんが出てないけど・・・)“これが映画だ!” ってエッセンスをめいっぱいゴージャスに詰め込んであります。ほかほか弁当で言えば「デラックス幕の内弁当大盛り」って感じ。 トリュフォーの元恋人2人(カトリーヌ・ドヌーブとファニー・アルダン)の格闘&レズシーンはもう最高っす。 ヌーヴェル・バーグの巨匠も墓石の下で苦笑いでしょう。関係ないけど監督の名前(フランソワ・オゾン)が好き。二酸化炭素に弱そう。
古東久人   ★★★☆
こういう群像劇ってR・アルトマンの得意分野だけど、そういや「ゴスフォード・パーク」に似た設定だった。 主人が殺されて、屋敷に集まった人の中から犯人探し。新旧フランス女優のゴールド・メンバーによるミュージカルとは意表を突かれた。 哀しみの伯爵夫人(ドヌーブ)と隣の女(アルダン)のバトルや、美しき諍い女(ベアール)の歌と踊りなど、楽しい見所がいっぱい。 実は女性の歌うシャンソンやフレンチ・ポップスが好きなのである。本当にほとんど8人の女たちしか出ていなかったが、主人役の男優って誰?

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