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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2003年5月19日発行 ━
●━━ 若手国会議員メルマガ『未来総理』 第37号 ━━━━━━━━●
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 前回は、こちらの手違いで発行日がずれてしまい、大変申し訳ありません
でした。さて、17日夜、りそな銀行に公的資金が注入されるのが決まりまし
た。この「りそなショック」は、日本の経済にどんな影響を与えるのでしょ
うか。

 今回紹介する民主党の樽床伸二議員の原稿は、「りそな銀行」の件が明ら
かになる前にもらったものですが、それでも文章には、相当の危機感が感じ
られます。


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  目次
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 ◎「経済政策」
  ▼樽床伸二(民主党・衆議院議員・大阪・43歳・当選3回)

 ◎編集後記
 ◎次号予告
 ◎未来総理メンバーの紹介

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 ■「市場メカニズムと経済グローバル化から目をそむけてはならない」
        樽床伸二(たるとこしんじ・衆議院議員・民主党・大阪)
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 現在、国会では「個人情報保護法案」や「緊急事態法制(=有事法制)」
といった重要法案が審議されています。これらが、大変に重要な国策である
ことはいうまでもありません。

 しかし、国民的関心としては「経済有事」の方が大といえるでしょう。「一
体いつになったら景気は回復するのか」「政府は何をやっているのか」といっ
た悲痛な声が、私のもとにも多数寄せられています。

 大いなる期待でもって迎えられた小泉総理も、特に経済面では、相当に期
待を裏切っています。私が問題視したいのは、景気の悪化や株価が8千円前
後と低迷していることよりも(もちろんそれらも大問題ですが)、そうした
現実への対応策です。

 たとえば、株価対策として、郵貯資金で株の購入を図ることも検討されて
います。あるいは、経営が悪化する生命保険会社を救うべく、予定利率を引
き下げることも現実化しようとしています。

 経済が危機的であるという認識を共有するものの、こうした「国家統制的
な手法」には、断固、異議を唱えざるをえません。

 思えば、小泉首相は、郵政公社化を「民営化の一里塚」であると公言され
ていました。が、まだ公社化されて1ヶ月あまりしか経過していないにもか
かわらず、政府の株価対策として、つまり国策の一手段として動員されると
いうのは、大いなる矛盾ではないでしょうか。

 歴史を振り返れば、「経済有事」の際には、少なからぬ場合において「大
きな政府」が顔を出してきました。1930年前後の世界大恐慌時における米国
のニューディール政策。あるいは、ヒトラーの台頭。これら「ケインズ政策」
は、不況期の財政政策、特に公共投資によって国内需要を喚起し、景気回復
を軌道に乗せる、ということを主眼としていました。

 しかし、経済のグローバル化や国内経済の成熟化により、こうした政策も
すでに時代遅れとなっているのです。たとえば、公共投資の乗数効果の低下
は、その証左といえましょう。乗数効果とは、投資を1単位行った場合にど
の程度のGDPが増加するかという指標です。たとえば、高度成長期であれば、
道路の建設が、雇用の増加や所得アップ、道路近隣の建設工事、自動車の購
入・・・という具合に大きな波及効果を持ちました。当時の乗数効果は、2〜
4であったとされています。しかし、現在は、すでに1を切っているという
統計もあるほどです。ケインズ政策も、時代の中で、その有効性を失ってし
まったといえるでしょう。

 では、いかなる対策が望ましいのか。私は、個人的意見として、やや過激
かもしれませんが、こうした不況の時代であるからこそ、逆に、市場原理を
歪めるようなことがあってはならない、と確信しております。

 偉大な経済学者であるシュンペーターは、自らの理論の骨子を次のように
述べています。経済には好況・不況の波がある、不況期には不採算部門の淘
汰や労働力の適正な移動などそれなりに必要な要素がある――。

 経済は生き物である以上、不況期には「新陳代謝」として、体質の改善が
必要となるわけです。もちろん、セーフティネットとして、失業時における
職業訓練や一時的な所得保障など、市場メカニズムを補完するための施策は、
別途必要でしょう。しかし、あくまで市場が主であることには変わりません。

 また、国外に目を転じると、インターネットなど情報通信技術の急速な発
展により、経済のグローバル化が不可避的に進行しています。

 情報・金融はいうまでもなく、製造業やそれに従事する労働力そのものも、
より安価なコストやより高い報酬を求めて容易に国境を超えていく時代となっ
ています。

 こうした経済のグローバル化を不可避と考えるならば、国内にのみ経済政
策の視点を固定しても意味がありません。とはいえ、一挙に世界全体に対し
てフルオープンに構えるのも、NAFTAやEUなど欧米の国家戦略を考えると、リ
スク管理として現時点では性急に過ぎるきらいもあります。

 したがって、たとえば「東アジア自由貿易圏」(仮称)として、域内の貿
易・投資を自由化する政策を構想すべきでありましょう。対欧米という国家
戦略の観点からも、是非ともこの考えを推進したいと考えております。

 さらに、この対外政策は、国内政策にも反映されます。貿易・投資に関す
る諸規制はもちろんのこと、税制や社会保障政策、ベンチャー育成策等々、
早急に改善すべき点が多々あることはいうまでもありません。

 先ほどみた昨今の政府の対応は、まさに逆行というべきであり、この観点
からも容認できるものではありません。

 市場メカニズムと経済グローバル化を主軸とする、そうした大方針をこそ、
この「経済有事」においても決して見失ってはならないと考えます。


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  編集後記             弘中百合子(ロゼッタストーン)
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 小さな出版社を経営する立場で見ると、危なくなると公的資金がたっぷり
もらえる銀行はうらやましい存在です。一方で、金融危機が起きては困るか
ら仕方ないのかなあ…という思いもあります。

 税金が投入されたからには、銀行の経営の実態をちゃんと情報公開してほ
しいです。ちょっと下世話ですが、役員のボーナスや退職金がどうなってい
るのかとか、「かなり高い」という噂の銀行員の給料は実際どうだったのか、
なども知りたいと思います。

 経済に悪影響を及ぼしそうなSARSについても、気になります。みなさま、
海外旅行や海外出張の際は、くれぐれも気をつけてくださいね。


 ご意見、ご質問は souri@rosetta.jp までお気軽にどうぞ。

 ※掲載を希望されない方、実名をご紹介してもかまわない方は、ひとこ
  とお書き添えいただけると助かります。また、ご意見を紹介してもよ
  い場合は、年齢、職業なども書いておいていただくと、参考になりま
  す。ご協力、よろしくお願いいたします。

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  次号予告
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 次号もテーマは「経済政策」です。発行は5月26日です。

 小池 晃議員(共産党)・近藤昭一議員(民主党)・
 有村治子議員(自民党)が登場します。

※登場する議員は、変更する場合もあります。ご了承ください。


◇◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
  未来総理メンバーの紹介
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「未来総理」に参加してくださったのは、次の19名の方々です。(敬称略)

 ◇衆議院
  石破 茂(自民党・鳥取)    上田 勇(公明党・比例南関東)
  植田至紀(社民党・比例近畿)  大村秀章(自民党・愛知)
  近藤昭一(民主党・愛知)    鈴木康友(民主党・静岡)
  達増拓也(自由党・岩手)    樽床伸二(民主党・大阪)
  野田佳彦(民主党・千葉)    春名直章(共産党・比例四国)
  細野豪志(民主党・静岡)    丸谷佳織(公明党・比例北海道)
  山井和則(民主党・比例近畿)  山村 健(無所属・比例東海)

 ◇参議院
  荒木清寛(公明党・比例)    有村治子(自民党・比例)
  小池 晃(共産党・比例)    福島瑞穂(社民党・比例)
  宮本岳志(共産党・大阪)

詳しいプロフィールを知りたい方、顔写真を見たい方は、ロゼッタストーン
WEBページで公開しています。⇒ http://www.rosetta.jp/
各議員のホームページにもリンクしています。


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