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2002年5月30日発行(毎週木曜日配信)
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          女性国会議員メルマガ『ヴィーナスはぁと』第28号

  ***   ***  今回は「専業主婦も年金保険料や健康保険料を払うべ
 *****v*****  きか?」という問題と、少子化対策について取り上げ
 ***********  ました。以前、専業主婦も保険料を払うべきかどうか、
  *********  ロゼッタストーンでアンケートを取ったところ、意見が
   *******  見事にまっぷたつに分かれました。今回の回答者、小宮
     ***  山議員(民主党)と、井上議員(共産党)の間でも意見
      *  が分かれています。さて、みなさんは、どちらの意見に
    共感しますか?

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  目次
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■専業主婦も年金保険料や健康保険料を払うべき?

■少子化をくいとめるには、どうすればいい?

  小宮山洋子(民主党) 井上美代(共産党)

■ 「ヴィーナスはぁと」参加議員一覧

■ 編集後記


◇◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 専業主婦も年金保険料や健康保険料を払うべきだと思いますか?
 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◇◆
 以前、ロゼッタストーンでアンケートを取ったときには、専業主婦の方た
ちから「収入がないのに払えない」「将来、年金を負担する子どもたちを育
てているのは私たちなのに」と反発する声が多く聞かれました。

 一方で、専業主婦のなかにも「義務として当然払うべき」という声があり
ました。また、自営業者の妻や独身女性からは「働かないでいて、保険料も
払わないなんてずるい」という不満の声がたくさん寄せられました。

 立場が変われば意見も変わるこの問題。ヴィーナス議員は、どう考えてい
るのでしょうか。


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 「どんなライフスタイルを選んでも、公平に負担する制度を」
  小宮山洋子(参議院議員・民主党・比例)
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 専業主婦も払うことが、どのようなライフスタイルを選んでも公平な負担
という観点から、よいと思います。

 現在は、本人の年収が130万円未満の扶養家族は払わなくてよいことになっ
ています。年金の拠出金は、夫が払っているのではなく、夫の入っている年
金に入っている人たちが、独身の人も母子家庭の親も、みんなで専業主婦の
拠出金を払っているのです。これはおかしいと考えます。

 現在、専業主婦(扶養家族である女性)=第3号被保険者と、本人が雇用さ
れて払っている第2号、自営業や農業の第1号の割合は約1/3ずつです。

 女性の無年金をなくすためということで導入されましたが、当時も7割の専
業主婦は自ら国民年金に加入していました。

 昨年12月に出された、女性の年金検討会(厚生労働省)の報告書では6つ
の負担の方法をあげています。

(1)専業主婦に夫の賃金を分担(50%)したうえで定率の保険料の負担を求める
(2)専業主婦に13,300円の定額保険料を求める
(3)専業主婦世帯の夫に13,300円の保険料を上乗せ
(4)専業主婦世帯の夫に定率の負担を上乗せ
(5)専業主婦世帯で高所得者の夫の保険料を引き上げる
(6)専業主婦を育児・介護期間中の配偶者のみと限定する

 こうした案をうけて、2004年の見直しで、きちんと負担するように議論を
深めていく必要があると思います。


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 「社会保障制度の一環だから、無収入の人に負担させるべきではない」
  井上美代(参議院議員・共産党・東京)
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 専業主婦に社会保険の保険料を負担させるべきかどうか、女性の中でも意
見が分かれているようです。

 主婦にも負担させるべき、という意見の背景には、一つは「働いている女
性が、働かない女性の保険料を負担するのは不公平だ」という考えがありま
す。この点では、1980年代半ばに、主婦の基礎年金への加入を任意加入
から強制加入にした際、主婦の保険料分を働いている厚生年金加入者の本人
の保険料に上乗せしたことに、一つの問題があります。これ自身は不当だと
思います。

 この問題を考える際にもっと根本的な問題として、「収入の無い人に対し
て、保険料を誰が負担するのか」、という問題があります。これは、社会保
障・社会保険の原理・原則に関わる問題であり、ここをどう考えるかで、結
論も全く異なるものとなります。

 私は、厚生年金にしても、健康保険にしても、全国民が加入する社会保険
の一環であり、社会保障制度の一環である以上、やはり、収入の無い人に対
して、保険料を負担させるべきではない、と考えています。

 たとえば、成人して、収入の無い人は主婦だけでなく、学生や、親を介護
していて働けず、かといって3号被保険者(主婦)でもない未婚の女性など
もいます。やはり、働きたくても働けない人から、保険料を求めるのは、社
会保障の原理・原則に反するのではないでしょうか。

 無収入の人たちの保険料分は、働いている人に負担を求めるのではなく、
国の責任で、国庫負担で保障するのがいいのではないか、と思っています。
また、「相当お金持ちの主婦が、保険料を払っていないのはいかがなものか」
という意見があります。これももっともな意見だと思いますが、その点は、
本来は夫の所得に対し、きちんと課税することが大切でしょう。その点で、
所得税の累進課税がどんどん崩されて、高額所得者が優遇されるようになっ
てきていることは、重大な問題だと思います。

 ちなみに、現在、パート労働者にも厚生年金の適用を広げていこうという
動きがあります。この方向には賛成です。特に、労働時間が常用労働者の
4分の3以上ないと、厚生年金に加入できないなどの制限で、正規の労働者
と同じような仕事をしていても、国民年金に加入しているパート労働者が、
100万人以上います。

 こういう人たちは、厚生年金に加入できれば、国民年金の高い保険料より
安くなるとともに、厚生年金の給付も受けられるようにすることも可能でしょ
う。こうすればメリットは大きいです。ただ、現在は年収130万円未満は、
第3号被保険者となり、保険料負担はなしですが、130万円未満の人まで、
厚生年金の加入を広げるかどうかは、負担増が伴うだけに要検討でしょう。


◇◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
  少子化をくいとめるには、どうすればいいのでしょう?
 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◇◆
 1人の女性が一生の間に産む子供の人数を示す合計特殊出生率は、99年調
査で1.34人でした。低出生率の要因には、未婚化や晩婚化の影響があるとい
われています。

 少子高齢化がこのまま進むと社会保障制度が崩壊するのではないか、労働
力不足により経済が停滞するのではないか、といった不安の声も聞かれます。

 「少子化対策」に関しては、小宮山議員と、井上議員の意見は、かなり近
いようです。


■◇■==============================================================
 「持ちたい人が安心して子どもを産み育てられる制度を」
  小宮山洋子(参議院議員・民主党・比例)
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 「少子化をくいとめる」といういい方は適切でないと思います。産む産ま
ないは個人の選択なので、「もちたい人が安心して子どもを産み育てられる
ようにする」ということだと思います。

 そのためには、いくつもの政策を省庁タテわりでなく、総合的にすすめる
必要があります。

(1)働き方を選択できるようにする
 子どもが小さいときには、勤務時間を短くできるなどの柔軟な働き方を男
 女ともに選べるように。本来のワークシェアリングは、オランダでしてい
 るように、2人で1.5倍の収入。夕方には仕事を終えて、夕食は家族で囲め
 るように。それには同一価値労働、同一賃金の原則が不可欠です。

(2)男女ともに安心してとれる育休制度を

(3)子育て支援のために、多様な保育の充実を
 働いている親の子はもちろん、家庭にいる親も、子育ての仕方がわからず
 虐待につながることもある。家庭が小さくなっているので社会が支援する
 必要がある。

(4)教育、住宅の政策も必要

(5)男女ともに子育てをする意識改革を

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 「長時間労働を是正し、男女とも家族責任を果たせる環境整備が必要」
  井上美代(参議院議員・共産党・東京)
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 まず、何よりも女性が、夫婦が、働きながら子育てをできる社会条件の整
備、政府の対策をきちんとすることが、一番大事だと思います。ヨーロッパ
でも、女性の労働力率が高い方が、少子化対策の実績が進んでいる、という
統計的な資料もあります。

 そのためには、やはり、長時間労働を是正し、男女とも家族責任を果たせ
る環境整備が必要です。企業犯罪ともいうべきサービス残業は、今すぐ根絶
させなくてはなりません。その点で、労働基準監督署が動き始めているのは
重要で、私も国会の場で、一生懸命励ますつもりです。

 また、年次有給休暇の取得状況が年々悪化しているのも心配です。小泉総
理は、私の質問に対し、「年休を取らないのは日本人が働き好きだからだ」
といいましたが、人手不足で苦しむ労働現場の実態から離れた感覚にあきれ
てしまいました。異常な長時間残業も是正し、国際公約である1800労働
時間を早期に実現するのは、政府・企業の責務です。

 公的責任による保育所の整備、育児・介護休業の積極的推進など、特に働
く女性を励ます施策も欠かせません。

 また、最近の研究ですと、少子化の背景に、未婚率の上昇、女性の社会進
出・晩婚化などによる減少とともに、夫婦の「出生力の低下」という事も言
われています。

 夫婦になっても子供を産めない、一組のカップルが育てる子どもの数自身
も減っていることです。これを解決するには、子育てそのものを支えるため、
児童手当の拡充、乳幼児医療費の無料化なども重要です。

 日本共産党は、現在、乳幼児医療費無料化法案を準備しています。小泉総
理は「構造改革」の一環として、児童扶養手当の削減を行おうとしておりま
すが、子どもの未来を考えてのことなのでしょうか。「米百俵」の精神にも
逆行しているのではないでしょうか。


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  「ヴィーナスはぁと」参加議員一覧
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「ヴィーナスはぁと」に参加してくださったのは、次の16名の方々です。
詳しいプロフィールを知りたい方、顔写真を見たい方は、ロゼッタストーン
ホームページで公開しています。⇒ http://www.rosetta.jp/

 ◇衆議院
  川田悦子 (無所属・東京)  瀬古由起子(共産党・東海)
  武山百合子(自由党・北関東)  松島みどり(自民党・東京)
  水島広子 (民主党・栃木)  山内惠子 (社民党・北海道)
  山口わか子(社民党・北陸信越)

 ◇参議院
  有村治子 (自民党・比例)  井上美代 (共産党・東京)
  岡崎トミ子(民主党・宮城)  小宮山洋子(民主党・比例)
  千葉景子 (民主党・神奈川)  八田ひろ子(共産党・愛知)
  広中和歌子(民主党・千葉)  福島瑞穂 (社民党・比例)
  吉川春子 (共産党・比例)

                         計16名(敬称略)


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  編集後記
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「専業主婦」VS「働く女性」という視点で、語られることが多い年金問題
ですが、実際には「働く女性」が「専業主婦」になったり、「専業主婦」が
「働く女性」になったり、同じ女性でも立場が変わることは多いのです。こ
の問題は、長い目で見て考えることが必要かもしれません。

 また、いまの時代、子どもを育てるのはなにかと大変だと思います。子育
てする女性(男性)を支援する政策として、みなさんはどんな制度を望んで
いらっしゃいますか。「ヴィーナスはぁと」に寄せられた意見は、必ずヴィー
ナス議員に届けます。どうぞ日頃思っていることをこの機会に教えてくださ
い。

                (ロゼッタストーン・弘中百合子)

ご意見、ご質問はvheart@rosetta.jpまでお願いします。

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■次号予告
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次回は「年金と高齢化問題」についてお届けします。
ご意見、ご質問、お待ちしております。

  ◆小宮山洋子(民主党)   ◆井上美代(共産党)

※回答議員は変更になる場合もあります。


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女性国会議員メルマガ『ヴィーナスはぁと』
 編集長:ロゼッタストーン 弘中百合子
 発行 :株式会社ロゼッタストーン
     (〒171-0021 東京都豊島区西池袋5−27−9−101)
Copyright(C)ロゼッタストーン 許可無く転載することを禁じます
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