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2002年10月3日発行(毎週木曜日配信)
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          女性国会議員メルマガ『ヴィーナスはぁと』第46号

  ***   ***  前回、小泉訪朝を評価する意見を紹介しましたが、
 *****v*****  川田悦子議員の考えは、ちょっと違うようです。
  *********  みなさまは、どちらの意見に共感しますか?
   *******  また、瀬古由起子議員からは、先日行なわれた内閣改造
     ***  についての感想が、早速届きました。かなり、厳しい意見
      *  です。おふたりの言い分をじっくり読んでみてください。

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  目次
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■ 「北朝鮮との国交正常化交渉に関して」
   川田悦子 (衆議院議員・無所属・東京)

■ 「小泉改造内閣と日本の景気の行方」
  瀬古由起子(衆議院議員・日本共産党・東海)

■ 編集後記

■ 「ヴィーナスはぁと」参加議員一覧

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 「北朝鮮との国交正常化交渉に関して」
                川田悦子(衆議院議員・無所属・東京)
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●被害者を冒涜する行為

 小泉首相の北朝鮮訪問は、国交正常化への第一歩と国内外でも評価され、
下がり続けてきた支持率は上がってきている。確かに国交回復はした方がい
い。しかし、私は納得できないことがある。それは拉致問題をどう見るかで
ある。

 小泉首相は、拉致問題の解決なくして正常化はないと言いながら、8人死亡
のリストを入手しても相手に正々堂々と主張せずにすぐに共同宣言に署名を
した。この行為に少なくない人びとが疑問を抱いた。席を立って、喧嘩をす
るべきだと言っているのではない。本当にあの場で交渉の余地はなかったの
だろうか。この疑問について首相はていねいに答える責任があるはずだ。最
初から日帰り交渉で済まそうという姿勢に、実はリストの内容は知っていた
のかもしれないという疑問や、交渉に真剣さが感じられなかったという意見
は当たっているように思える。

 今回の交渉で率直に感じたことは、またも「国家」のために「個人」が犠
牲にされていくのではないかという危惧である。

 先の戦争での被害者も同じ思いをしている。今年8月27日、東京地方裁判所
は731部隊の細菌戦裁判で、細菌戦の実行を認める画期的な判決を下した。し
かし、事実認定をしても賠償責任はないというひどい内容であった。当然、
原告は控訴した。

 今回、731部隊の残虐な行為を裁判所がようやく認めるに至ったのも、中国
の被害者遺族が日本政府を相手にして裁判に訴え、それに応えて日本の弁護
士・学者が惜しみない協力をし、法廷で事実を次々と明らかにしてきたから
である。

 一方、日本政府は戦後一貫して戦争責任をあいまいにしてきた。731部隊細
菌戦にしても検証を行うどころか資料の隠蔽を続けてきた。昨年の夏に判決
が下された劉連仁さんの裁判(中国人強制連行強制労働事件)も同様だ。日
本政府は事実から目をそらし、戦争の責任を認めず、個人賠償もおこなって
いない。

 被害者にとって辛いことは、まず被害を受けたこと、そのものにある。が、
さらに辛いのは、加害者が事実を隠し、あったこともないという嘘をつき、
謝罪しないことである。被害者は二度傷つけられ、傷はさらに深まる。

 小泉首相は本当に被害者の気持ちを分かろうとしているのだろうか。私に
は到底そう思えない。人間の悲しみを理解しようとする態度がない。先の戦
争責任をも曖昧にしている。だから今回の拉致問題のとらえ方は浮ついてい
て、北朝鮮にきちんとしたことが言えないのである。彼のパフォーマンス、
支持率アップの舞台に使われたような気がする。

●個人を犠牲にする思想

 しかし、問題は日本政府だけにあるのでない。中国との関係でいえば、中
国政府は1972年の国交回復時、共同声明で「日本国に対する戦争賠償の請求
を放棄する」との宣言をおこなった。さらに、78年の日中友好条約では、こ
の声明の遵守を確認しあった。

 中国政府は、日本軍隊の残虐な蛮行を追及しないということを日本政府と
約束し、個人の賠償要求を事実上放棄した。日本政府はそれと引き換えに社
会還元という名のもとに金を出してきた。そしてその金は、国民、被害者に
関係のない無駄な開発費に使われてきたのだ。

 国家間で処理したからもはや個人に賠償請求権がないというこのようなや
り方は国際的にも人道的に通用しない。

 また日本は国内において旧日本軍の遺族には恩給を出していながら、被爆
者や空襲被害者に対してはバラつきがあり、日本の賠償・補償基準は矛盾に
満ちている。

 なぜ、日本は国内外でこのようないい加減なことをしているのだろうか。
司法までもが731部隊の細菌戦の事実認定をしていながら賠償請求は不当であ
るという判決をだし、その一方では、責任がないと言いながら、国は経済支
援という名で金を出す。

 それは日本政府が「侵略戦争」を認めないことに起因していると同時に
「国益」のためには個人が犠牲になってもいいという思想が、戦中、戦後
(「国益」は「組織」「会社」という言葉に置き換えられる)一貫して変わっ
ていないからではないだろうか。

●まずは真実を明らかにすることから

 731部隊細菌戦被害者の裁判判決の翌日、私は国会議員会館で原告・弁護団
と外務省・防衛庁・厚労省との意見交換会の仲介をおこなった。あらかじめ
質問を提出していて、それに各省が答えるという方法をとったが、各省の担
当者からの返事は、具体性に欠けていた。

 官僚と話をしていて毎回感じることだが、彼らの言葉は完全に死んでいる。
生きている人間の口から発せられる言葉なのに、生きていない。顔の表情も
死んでいる。どういうことなのだろうか。中国からやってきた人々の声に耳
を傾け、悲しみを理解しようとしていない。賠償金欲しさで動いていると思っ
ているのだろうか。そうでなければ、もっと違った対応があっていいはずだ。

 人はいったい誰のため、何のために仕事をしているのだろうか。今、その
原点を私たちは問われているのではないだろうか。

 731部隊細菌戦被害者遺族に直接会ったり、拉致された家族の嘆きを映像で
見ていて、私はやりきれない思いになった。1996年のあの薬害エイズの和解
成立前夜のことを私は思い出す。あの日、私は和解に賛成せざるを得ないと
ころに追い詰められていた。翌日の和解調印時も私は納得できない気持ちで
臨んでいた。

 私たち原告が望んだことは、「謝罪」であった。それは加害者が頭を下げ
たり、土下座をすることではない。何が悪かったのか、その真実を加害者が
自ら明らかにすることなのである。そして二度とこのようなことが起きない
よう誓い、そのシステムをつくっていくことなのである。

 拉致された家族の人たちの「どのようにして拉致され、どのような生活を
していたのか、今どのようになっているのか、その真実を知りたい」という
願いは当然である。まずは真実を明らかにすべきなのである。それはあらゆ
る事件に共通したものである。
 すべては事実からスタートしなければならない。

●人間の尊厳を重視した外交を

 日本政府は過去の戦争犯罪に対して、事実を明らかにし、きちんと謝り、
賠償すべきである。そして拉致問題についても堂々と交渉すべきである。
「真実をすべて明らかにし、きちんと被害者に謝り、賠償をすべきである」
と、北朝鮮に主張すべきである。

 ここでかつての中国と同様に国交回復に当たって、経済的支援だけですべ
てをウヤムヤにするのは、互いの国民を愚弄するものである。

 経済優先で走ってきた日本は今、物質的に豊かになっていながら、欺瞞に
みちた社会の中で、人々は希望を失い、自殺者が増加している。

 経済優先で人間を置き去りにした社会の行き着く先は、索漠とした私的利
益優先社会、弱肉強食の社会である。人びとのこころは空洞化し、無気力化
し、あらたなファシズムを生み出していく温床になっていく危険が潜んでい
る。 今こそ、国策、国益優先でなく、一人ひとりの人権、尊厳を尊重した
交渉をおこなう必要がある。拉致された家族、一人ひとりが納得する解決を
する義務が政府にある。

 徹底した情報公開がなされず、真実が明らかにされない状態で、対等な交
渉の議論がされないまま、曖昧に終結させていく方法は民主主義に反する行
為である。個人、少数者、弱者を犠牲にしたやり方は真の外交ではない。

 解決に当たって、拉致された家族の声を封殺したり、逆にナショナリズム
を煽るために利用してはならない。


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 「小泉改造内閣と日本の景気の行方」
             瀬古由起子(衆議院議員・日本共産党・東海)
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 改造内閣のあたらしい顔ぶれが発表されました。なんらかのイスを待って
いた一部の議員を除けば、もともと国民に期待されてはいない内閣ですが、
本当にどうしようもない無責任・無反省内閣だと怒りを通りこしてつくづく
情けなくなりました。

 小泉内閣の「構造改革」で何がおきたでしょうか。史上最悪の倒産、失業
の長期不況の「痛み」に国民の暮らしはおしつぶされそうです。ところが来
年4月からは健保本人3割負担をはじめ、介護保険料や雇用保険料の引き上
げ、それなのに年金給付は、引下げであわせて3兆円の負担増です。これが
景気と経済に致命的な打撃を与えることは明らかです。

 さらに所得税・住民税の5000億円の増税、9割以上の中小企業が増税
になる外形標準課税。許せないのはこの国民と中小企業の増税による税収を
大企業の法人税減税のために使うというのです。

 大企業には、人減らしリストラすれば減税になる制度まで作ってやり、失
業者の供給源は大企業。やりたい放題です。

 この内閣は「不良債権の早期処理」という路線を、さらに大銀行に公的資
金をつぎ込み、中小企業には融資の貸ししぶり、貸しはがしでつぶすことで
強行しようとしています。大体この1年間で10兆円の不良債権を処理した
のに新しく20兆円の不良債権が生まれて増えてしまう悪循環におちいって
しまったのです。この経済の破綻の責任もとらず、反省もなくさらにこの道
をすすみますよといわんばかりのこの内閣の布陣です。

 いやまったく嘆いてなんかおられない。ムダな公共事業を止めさせ。軍事
費にメスを入れて社会保障最優先の税金の使い道に転換させなければなりま
せん。景気回復は社会保障や税金の国民負担増をやめさせ、地域経済と中小
業者に責任を負う金融の再建、「職場の憲法なし」といわれる大企業の無法
に立ち向かう「秋の陣」は、いよいよ気合を入れて、もりもり食べて決意新
たな私なのです。


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  編集後記              ロゼッタストーン・弘中百合子
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 川田議員は官僚への不信感をあらわにしていますが、そういえば、外務省
改革は、いまどうなっているのでしょう。一時期は盛んにマスコミで取り上
げられていましたが、最近はすっかり下火になってしまいました。進んでい
るのか、停滞しているのか、進んでいるなら何が変わったのか、 ヴィーナ
ス議員たちも、しっかり目を光らせておいてほしいです。

 瀬古議員は、景気の先行きを心配しています。確かに私のまわりも、不景
気に悩んでいる話が多いです。一方で、ヴィトンの開店時に、1日1億円以
上の売上があったなんて話を聞くと、あるところにはあるのかなあ…という
思いも拭えません。お金が円滑にまわっていくには、どんな政策が必要なの
でしょうか。読者の方も、よいお知恵があれば、教えてください。

 ご意見、ご質問はvheart@rosetta.jpまでお願いします。

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  「ヴィーナスはぁと」参加議員一覧
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「ヴィーナスはぁと」に参加してくださったのは、次の次の16名(敬称略)の
方々です。

 ◇衆議院
  川田悦子 (無所属・東京)  瀬古由起子(共産党・東海)
  武山百合子(自由党・北関東)  松島みどり(自民党・東京)
  水島広子 (民主党・栃木)  山内惠子 (社民党・北海道)
  山口わか子(社民党・北陸信越)

 ◇参議院
  有村治子 (自民党・比例)  井上美代 (共産党・東京)
  岡崎トミ子(民主党・宮城)  小宮山洋子(民主党・比例)
  千葉景子 (民主党・神奈川)  八田ひろ子(共産党・愛知)
  広中和歌子(民主党・千葉)  福島瑞穂 (社民党・比例)
  吉川春子 (共産党・比例)

詳しいプロフィールを知りたい方、顔写真を見たい方は、ロゼッタストーン
WEBページで公開しています。⇒ http://www.rosetta.jp/
各議員のWebページにもリンクしています。

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■次号予告
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 次回は、松島みどり議員 井上美代議員 山口わか子議員、
 岡崎トミ子議員が登場します。

 ※登場する議員の顔ぶれは、変更する場合もあります。ご了承ください。

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〒171-0021 東京都豊島区西池袋5−27−9−101 株式会社ロゼッタストーン
発行人・編集人:弘中百合子
Copyright(C) ロゼッタストーン 許可無く転載することを禁じます

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