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2002年12月26日発行(毎週木曜日配信)
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          女性国会議員メルマガ『ヴィーナスはぁと』第58号

  ***   ***   今回は、今年最後の「ヴィーナスはぁと」です。
 *****v***** 年末の慌しいなか、5人の議員から熱いメッセージ
  *********  が届きました。また、福島議員からは、読者意見への
   *******   回答が寄せられました。というわけで、今回は、いつも
     ***    以上にボリュームたっぷり! 歳末大サービス(?)号
      *     となりました。お正月休みに、ゆっくり読んでください。

◇◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
  目次
 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◇◆
■ 「これからの日本は、G.A.S.T.で」
  広中和歌子(参議院議員・民主党・千葉)

■ 「日本が本気でやらねばならないこと」
  武山百合子(衆議院議員・自由党・北関東)

■ 「パートタイム労働者の声が聞こえますか」
  吉川春子(参議院議員・共産党・比例)

■ 「矯正施設の抱える課題」
  千葉景子(参議院議員・民主党・神奈川)

■ 「難病の子ども達を支援するための、税制(政令)改正」
  有村治子(参議院議員・自民党・比例)

■ 読者からの質問に回答(イージス艦の派遣について)
  福島瑞穂(参議院議員・社民党・比例)

■ 編集後記

■ 「ヴィーナスはぁと」参加議員一覧

---------------------------------------------------------[PR]-------
季刊ロゼッタストーン第12号 2003年1月9日発売!
  ●大特集「明日の家族」
  岡崎トミ子議員が「女性の年金」、山口わか子議員が「高齢者介護」、
  井上美代議員が「子育て政策」、千葉景子議員が「司法改革」について
  語っています。どうぞお楽しみに!
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 「これからの日本は、G.A.S.T.で」
               広中和歌子(参議院議員・民主党・千葉)
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 師走の候、2002年もあと一週間を残すのみ。わが国を取り巻く環境は実に
多事多難である。

 国内においては倒産、失業、ホームレス、自殺、そして増え続ける銀行の
不良債権問題と迫りくる金融危機‥‥‥‥。うち続くデフレ不況は今年も改
善がみられなかった。

 国際環境はといえば、昨年の9.11のテロ以降、イラクの核、生物・化学兵
器疑惑は一層高まり、アメリカは兵力をイラク周辺に集結。国連の安保理決
議1441を受けてイラクは目下査察に応じているものの、一触即発の状況であ
る。

 9月末の小泉総理の日朝国交回復へ向けての北朝鮮訪問は、少なくともアジ
ア太平洋に安定をもたらすと歓迎されたものの、5人の拉致被害者の帰国後、
交渉は滞ったまま。被害者の家族や5人を除く多くの行方不明者の問題が残さ
れ、また北朝鮮における核、生物・化学兵器の問題もある。

 こうした政治状況の中、小泉内閣の支持はもっと下ってもよさそうなのに、
それほどそうなっていないのは、マスコミでもコメントされているように、
小泉さんが自民党守旧派を敵役に、孤軍奮闘している姿を見せているかもし
れない。

 更に、本来政府与党を批判攻撃しなければならない民主党を中心とする野
党がだらしないからだと言われている。確かに去る9月の民主党代表選とそれ
に続く人事のゴタゴタは民主党として実に恥ずかしいことだった。

 それはついに鳩山代表の辞任という形で決着、再び今度は衆参の国会議員
のみの投票で菅直人氏が代表に選出され、代表選で敗北した岡田克也氏が幹
事長職を受け入れ、菅―岡田体制での再出発となった。現在、民主党の支持
率はどん底まで落ち、まさにがけっぷちからの再出発である。

 あとは団結あるのみ。落ちるところまで落ちた後、民主党国会議員一人び
とりが心を一つにしないとどんなことになるか、それぞれ充分に学習したこ
とと信じたい。

 見事な紅葉で都市住民を楽しませてくれた街路樹はすっかり葉を落として
の冬支度、早々と雪が降り、木々は見事な雪化粧。改めて日本の四季の変化
が嬉しい。

 バブル崩壊後の年末年始の過ごし方が家族・親戚・友人達と、より家庭的
になり、これが本来の姿なのだと納得している。

 成熟社会を迎えた日本、今後人々が益々元気に、個人として、あるいはグ
ループで参加するもの4つ:ゲーム、アート、スポーツ、ツーリズム。その
頭文字をとってG.A.S.T.。

 Gはゲーム。囲碁、将棋、マージャン、ブリッジ、コンピューターゲーム、
テレビゲーム、パチンコ、競馬 etc。

 Aはアート。絵画、写真、音楽、書道、陶芸、俳句、短歌、舞踊、社交ダン
ス等々。

 Sはスポーツ。自ら参加するスポーツと、観客として楽しむスポーツ。国体、
オリンピック、パラリンピック、ワールドカップ など。

 Tはツーリズム。国内旅行、海外旅行、登山、テーマパーク、各地の祭り、
阿波踊り、ねぶた祭、祇園祭など日本各地の伝統、文化は実に豊か。

 それぞれに良い新年をお迎えください。


■◇■==============================================================
 「日本が本気でやらねばならないこと」
              武山百合子(衆議院議員・自由党・北関東)
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 どこの国も日本から輸入しようとしない産業。国際競争力のない産業。若
い女性をひきつける魅力のない産業。補助金漬けで、温室で保護されてきた
日本の産業、それは農業です。食糧自給率40%未満の国、日本には農業改
革が必要です。

 「農業が国の基」だった時代から、3Kの代表選手みたいになり、跡取り
がいなくなり、農地がいつのまにか宅地に換わっていくのを見るのは、埼玉
の田んぼを見ながら育った私にとっては、つらいことです。

 でも、国民がその気になれば、日本の農業再生はそんなに難しいことでは
ありません。新しい農業資材とその技術を国をあげて使えば、5年もあれば
食糧自給率120%も夢ではありません。

 それも日本人が、日本で開発した技術なのです。世界のあちらこちらで、
この技術を導入し、成功しているというのに、日本では頭の固い人が関係省
庁に多すぎて、この素晴らしい、夢のある技術は見向きもされないで、過去
20年間無視されてきました。

 わたしが知っているこの技術は琉球大学農学部の、比嘉照夫教授によって
開発されたもので、微生物の働きに着目して研究を続けていた比嘉教授は、
1982年、その成果を「EM技術」として発表しました。

 EMとは、有用微生物群という意味の造語。自然界に存在する光合成細菌、
酵母菌、乳酸菌、発酵系の糸状菌、グラム陽性の放線菌の5グループから有用
な働きをする微生物80余種を糖蜜の培養液の中に共存させたものだそうです。

 EMは、本質的に性質が異なる微生物の混合利用はできないという学会で
の常識を打ち破る発見だったので、研究過程において比嘉教授は、繰り返し
土壌へのEM投入実験を行いました。そして、農薬や化学肥料で地力をなく
した土地が本来の力を取り戻し、「作物がよく育ち、病気にもならないし、
収獲も増え、味もよくなる」という成果を得ました。

 この一連の研究によって、発酵の過程で抗酸化物質を生成することや、有
用な働きをもつ微生物同志なら性質が違っていても、排泄物を餌として交換
しあうほか、互いの性質や力を利用しながら共存できることを発見しました。

 有用菌が増殖すれば、対立勢力である有害菌に勝つことができます。両者
の菌のほかに、状況が優勢なほうになびいて働く日和見菌もいますが、有用
菌集団であるEMを投入することで、EMが定着すれば日和見菌は有用菌の
仲間入りをします。有用菌集団は強い抗酸化作用を起こし、酸化して病気や
腐敗を引き起こそうとする有害菌の働きを抑えて、環境を健康な状態に保っ
てくれる仕組みとなっています。

 画期的な農業資材として登場したEMですが、のちにその技術は普遍的な
「考え方」として、さまざまな分野へと発展していきつつあります。その考
え方のベースにあるのが、「崩壊型から蘇生型へ」「酸化から抗酸化へ」最
近は、「エントロピーからシントロピーへ」という発想です。

 EM技術が描く夢は、わたしの夢とも重なり、無限大に広がっています。
EMがもつ強い抗酸化作用はEM技術の核となり、さまざまな分野で応用・
活用が進められてきました。

 たとえば、畜産にEMを使うと悪臭が嘘のように消え、EMを投入した魚
介類の養殖場では、多種多様なプランクトンが発生し、水は浄化され生態系
も保たれ、EMボカシは家庭から出る生ゴミを有機肥料に変えて、生ゴミの
リサイクルを可能にしました。

 簡単に作れる米のとぎ汁発酵液は、掃除や洗濯などで洗剤の代わりになる
ほか消臭作用もあるので、家庭内の環境浄化だけでなく、下水道の浄化やひ
いては河川、海を浄化します。米のとぎ汁はそのまま流せば汚染源ですが、
EMと糖蜜で発酵させて流せば浄化源に変わる技術も公開され各地で実践さ
れています。

 また、病気の原因のひとつといわれる体の酸化を防ぐ清涼飲料水EM・X
は、医療の現場からその強い抗酸化作用の成果が報告されて反響を呼んでい
ます。EM・XやEM・Zを加えたセラミックスも、水質浄化や工業省エネ
など多方面で応用の場が広がっています。最近では、ダイオキシンの発生を
抑制する力があることも発見され、すでに沖縄県具志川市、埼玉県和光市で
は実用化にむけての研究も進んでいます。

 このようにEMが農業問題だけでなく、畜産、農林水産、そして、より広
く環境問題をも解決し、循環型の社会を築く大きな力になってくれています。
病院での院内感染も、EMを使えば何千分の一の費用で解決できます。

 汚染された土地も、土を移動させるのではなく、EMを散布すれば健康的
な土地に蘇生させることができるのです。もちろんコストも何千分の一で済
みます。EMを使う上で最も大切なことは効くまで使うことです。

 ただし、コストが何千分の一で済むことになると、今までコストをかけさ
せるようにして利益を上げていた業界は、一時的に損害をこうむるかもしれ
ませんが、EM技術を利用した新しいビジネスの展開を考えてください。

 比嘉教授は、人の生存にかかわる技術の普及は競争原理からはずすべきと
いう信念のもと、EMが草の根ネットワーク的に普及・発展するよう尽力し
てきました。

 EMを使用することがすでにボランティア活動ですが、一歩すすめて「EM
を活用する事が国民の義務」とすべき段階にきているとわたしも思うのです。
法律で決めないと全ての国民が活用しないというのは本当に寂しいことです。

 EMこそが日本の農業を再生させ、地球環境を蘇生させる資材の横綱なの
です。冒頭の「どこの国も日本から輸入しようとしない、国際競争力のない、
若い女性をひきつける魅力のない産業」の革命的技術が、草の根レベルで世
界に輸出されていました。

 ODAで「お金だけあげる」のではなく、国をあげてEM技術をアフガン
のような国々に援助し、不毛の地を豊かな土壌に変え、自力で食糧を生産で
きるようにしてあげるのです。又、京都議定書のCO2問題もEMで解決でき
るかもしれません。

 有史以来、あらそい事の大きな原因は、食糧の確保にありました。EM技
術によって世界のあらそい事の大きな原因である食糧問題がなくなれば、こ
れに勝る安全保障対策はありません。そうなったら、ノーベル平和賞や、ノー
ベル科学賞ものです。

 EMがこのような素晴らしい技術であることを日本の政府や官庁がもっと
よく理解し、活用し、世界に発信していく時なのです。EM立国するのです。
これが今『日本が本気でやらねばならないこと』です。

(註:94年に設立されたEM研究機構は比嘉教授の考えをもとに、EMを使っ
て循環型社会の実現に向けて行動する人々や、商品開発をめざす企業にEM
情報を提供するほか、その活動をサポートする機関です。そして今では、農
業資材として出発したEMからさまざまな応用技術や商品が生み出され、循
環型の社会を築く第一歩として活用され始めています。尚、本文中のEM説
明個所は、EMROのインターネットを参考にさせていただきました)


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 「パートタイム労働者の声が聞こえますか」
              吉川春子(参議院議員・日本共産党・比例)
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 私は去年の参議院選挙公約にパート労働者問題の解決を掲げました。そし
て今年4月、川橋幸子(民主)、大脇雅子(社民)議員ら衆参四野党の有志56
名と一緒に「パートタイム労働者の均等処遇を実現する議員連盟(=パート
議連)」を結成しました。

 12回の勉強会を持ち、同じ回数の幹事会を持ち、パート問題の実態をつか
む努力を行ないました。そして参議院法制局と何度も協議を重ねて、12月
9日「パートタイム均等待遇立法案骨子」の発表にこぎつけました。

 「103万円は低すぎる。引き上げてほしい」「課税最低限度内で働きたいの
にオーバーしてしまう」「健康保険、社会保険に加入してもらえない」「有
給休暇など夢の話のよう」「病気で休む時、電話すると社員さんに何度も文
句を言われる」「社員が帰るのにパートが残業して仕事を終わらせるのは変
な感じ」「パートだからと馬鹿にされているような気がする」「他の職場が
なくあきらめています」「突然解雇されるか不安で仕方がない」

 全労連パート・臨時労組連絡会「パート臨時で働くみんなのアンケート実
態調査報告書(2002年10月A4版・209ページ)」にはこんな声が溢れていま
す。

 アンケート用紙を、組合加入者から6939部、組合員以外から7,963部回収
して大学教授など専門家の力も借りて分析した分厚い報告書がまとまりまし
た。その末尾に初めに紹介したパートタイム労働者の、怒り、不安、怨嗟の
声がびっしり書き込まれているのです。

 パート労働者は千百万人以上いますが、低賃金、不安定雇用、社会保障の
無権利に泣いています。れっきとした労働者でありながら、労働基準法はパー
ト労働者には及ばないかのようです。

 何故こんなことになったのでしょうか。政府は1993年にいわゆるパート法
を制定しましたが、企業へのパート労働者の均等待遇の原則もなく、差別し
た会社への罰則もなく、何の役にも立たない法律です。その後かえって正社
員との賃金格差は開き、また正社員を減らしてパートで置き換える企業も増
えています。

 パート問題を解決するためには、現行のいわゆる「パート労働法」を改正
して、パート労働者の均等待遇を企業に義務づける必要があります。どのよ
うに改正すべきかを私達は「骨子」で示したのです。

 パート労働者と正社員との違いは働く時間が短いという点だけです。労働
時間に比例して労働条件を決めるべきであって、私たちの提案は、賃金、福
利厚生、解雇など通常の労働者と差別を禁じています。

 厚生労働省は今年7月、パートタイム問題専門家会議の最終報告を発表し、
現在、労働政策審議会で議論を重ねていますが、「パート法」の改正を行な
わず、行政指導のガイドラインを示すに留まるのではないかと懸念されてい
ます。

 政府に、法改正とパート差別を禁じているILO75号条約の批准を求めま
しょう。2003年には「骨子」を法案にして国会に提案するため野党は力を合
わせる決意でいます。


■◇■==============================================================
 「矯正施設の抱える課題」
               千葉景子(参議院議員・民主党・神奈川)
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 刑務官による集団暴行で受刑者2名の死傷が明らかになったのは名古屋刑
務所。関与した刑務官らは、特別公務員暴行陵虐罪で起訴されました。

 いったい何が起こっているのか。特に事件で焦点になったのが、「保護房」
と「革手錠」です。これらは、刑務所等の中で暴力を振るったり、自傷のお
それがある場合などに使われるもので、制度的に認められているものではあ
ります。

 しかしそれが、目的のために適切な措置であるのか、人権の観点から許さ
れるべきものであるのかは疑問も呈されています。

 12月4日、野党議員による名古屋刑務所調査が行われ、私も呼びかけた
一人として参加してまいりました。私たちの強い要請で「保護房」を実際に
見ることもでき、「革手錠」の実物も提示してもらいました。

 「保護房」も「革手錠」もなかなか言葉で説明することが困難です。想像
をめぐらせていただくしかないのですが、「保護房」とは窓も、机とか備品
も一切ない四角い部屋。角は危険防止のため丸みを帯びた形態になっており、
部屋の端に水洗トイレの“穴”(水は自分で流すことができない仕組み)。
このような場所に長時間放置されれば、普通でも精神的にまいってしまいそ
うです。

 また、「革手錠」は腰の位置で両手を固定し、動かせなくする道具。“手
錠”との名称ではありますが、実質は国際法上使用が禁止されている「枷(
かせ)」と言うたぐいのもので、これで両手を固定されると、食事も用便も
自力では不可能です。

 人間の尊厳を奪い去るものなのです。「革手錠」で「保護房」に収容され
た状態を想像してみてください。いや想像をはるかに越えた状況なのだと思
います。

 刑罰の執行だからといって受刑者の人権が一切奪われるというものではあ
りません。肉体的にも精神的にも過剰に痛めつけられてはなりません。

 矯正施設はその性格上外部から隔絶されており、内部で起きる事態は密室
の出来事として監視の目が行き届かぬことが多いわけです。

 しかも、刑務官と受刑者は支配・被支配関係になりやすい。矯正施設の過
剰収容が、刑務官にも受刑者にもストレスとなっていることも背景に存在す
るでしょう。

 いずれにしても、犯罪者が適正な制裁を受け、自立した人間として社会復
帰することのできるシステムをあらためて真剣に考える時ではないでしょう
か。


■◇■==============================================================
 「難病の子ども達を支援するための、税制(政令)改正」
                有村治子(参議院議員・自民党・比例)
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 ヴィーナス読者の皆さま、こんにちは!有村治子です。前回の投稿に対し
て、数々のメッセージを頂きました。心温まるメッセージを1通1通、拝読し
ながら、すごく勇気付けられました。頂いたお気持ちを、今後も大事にして
いきます。本当に有難うございました!!

《勝負の秋、着実な実り、1点》

 年の瀬も迫り国会が閉会した12月13日後も、週末の夜が深くなった時間帯
に、永田町にある参議院会館に入っている与党議員の事務所には、灯がともっ
ています。

 11月から連日のように詰めてきた税制改正の最終案がまとまった13日以降
も、各省庁による来年度の予算配分を決定していく折衝が行われているから
です。

 当選直後だった昨年の秋には、あまり意識していなかったのですが、与党
議員にとっては、秋から年末にかけての税制改正・予算の時期こそが、政治
家としての本来の「勝負どころ」なのですね。

 今回の原稿では、この1年取り組んだ税制改正への取り組みの中で、特に攻
防戦の動きが活発だったこの4ヶ月あまりの活動について、「税制調査会」を
中心に、皆様にご報告してみようと思います。

《現行の不備を、税制で是正する》

 生活現場の声が各行政分野ごとに「要望」というカタチで、自民党本部に
おける「部会」にぶつけられ、秋の深まりと共に、現行税制の問題点が整理
され、「自民党 税制調査会(党税調)」の場で、一覧になって示されます。

 毎年秋、テレビ画面に映し出される(おとなしそうな)「自民党税調」の
現場ですが、実際には、緊迫する雰囲気の中、来年度の税制のあり方をめぐっ
て、党の所属議員が、数え切れないほどの先輩・同僚議員を前に、「税制と
は、かくあるべき」との持論や信念を、互いに強く主張していきます。

 自民党所属の国会議員なら、もちろん当選回数、男女、衆参等の区別無く、
誰でも発言することができるのですが、この場に身を置くと、本当に緊張し
ます。

 「政治とは、(つまるところ)税制である」と言ってのけた英国の
サッチャー元首相の言葉どおり、ここでは国民生活全般に確実に影響力を及
ぼす税の有り方、取り方、非課税の有り方、幅の設け方…それぞれに託され
た理念や概念、租税の哲学など、本質的な議論が次々に展開され、公正な税
の有り方を考え主張していくことが、国会議員としてのまさに最も基本的か
つ重要な仕事の1つだということを実感します。

《論陣を張って、言葉で勝負する政治の現場》

 部屋いっぱいに議員が陣取り、熱気がムンムンとこもるこの「自民党 税
制調査会」においては、「決戦の論陣」を周囲が寛容の目で迎え、集中力を
もって聴いてくれる時間は、せいぜい30秒程度です。それぞれに独自の意見
を持った議員の手が次々と挙がる中で、他の議員よりも一瞬でも先に手を上
げマイクを手にとり、限られた時間内で、ポイントを堂々とかつ効果的に主
張していかなければ、「はじきとばされてしまう」かのような雰囲気です。

 各行政分野ごとに存在する、豊富な知識・経験を持ったエキスパート議員
がずらっと並んでいますが、論旨さえしっかりしていれば、沸騰した(!?)
議論を戦わせる会場でも一瞬静かに聴いてもらえることができ、ここでは「論
陣を張って言葉で勝負する政治の現場」を目の当たりにします。

 私自身、脇の下に冷や汗をじっとりかいて、心臓がバクバクしているのを
感じながら、震える手でマイクをつかみ、発言しました。私にとっては、「税
調」での、初めての「勝負」でした。

 実は1点、読者の皆さまに共有したい、すごく嬉しいことがありました。こ
の1年、私が最も多くの時間を割き、目に見える成果をハッキリ出したいと自
分に強いプレッシャーをかけて取り組んできた政治的懸案があります。

 「難病の子ども達を支援するための、税制(政令)改正」です。本格的に
動き始めた春・初夏の段階から、「税制を変えるなんて、1年生(議員)には
無理。10年早い!」と皆からそっけなく突き放されてきた取り組みでしたが、
「ダメでもともと。つぶされるまで、少しでも前進させておきたい」との思
いで取り組んだ結果、連日の税制改正審議を経て、やっと今月、「昭和42年
に制定された政令を、改正する」という結果を出すことができました。

《政権責任政党こそ、難病の家族の声に立ち上がるべき》

 現在、慢性特定疾患(いわゆる難病)の子ども達は、日本全国に14万3000
人以上いて、彼らは年間平均で、3.8ヶ月ものあいだ保育園や学校に行けず、
入院生活を余儀なくされています。今まで、難病と闘う子ども達や、その家
族の悩みを共有してきたのは一般的に野党だったのですが、与党が動かなけ
れば、家族の叫びも、単なる議論に終わってしまいます。

 難病と闘い、日常生活に本当に困っている方々の声こそ、しっかりと耳を
傾けてその想いを受けとめ、予算や制度によって結果を出していくのが、政
権責任政党の役目だと考え、税調での取り組みでは、一貫してこの主張を繰
り広げてきました。「猛者」が陣取る税制調査会において、理念に訴える「正
面突破」は、1年生だからこそ投げられる直球かもしれません。

《新鮮な情報は、動いて発信するところに、むしろ集まる》

 難病児が置かれている現状のニーズを、ご家族や関連団体から直接聞き、
関係する省庁にかけあって、現行の問題点を整理し、税制改正に賛同してく
れそうな議員を一人一人訪れていきました。秋には少しずつ理念に賛同して、
難病支援の動きを一緒に推進する仲間として、加勢して下さる先輩・同期議
員・難病議員連盟が現れ、税調の舞台で勝負をかけた結果、やっと10日前に
税制改正の結果を出すことができました。

 地味で面倒な作業を繰り返しましたが、その過程で、理念に賛同して一緒
に汗をかいてくれる人が誰なのか、どこで政治の中枢の意思決定が、何を基
準になされているのか、省庁のどのあたりの人が本当のリーダーシップを発
揮しているのか…など、どこにも書かれていない「政治のアナログ情報」を
学びました。

 この税制改正について何から着手してよいのか全く見当がつかなかった春
から、「議論をカタチにして、主張に賛同する仲間の声をどう大きくしてい
くか」運動展開の手順を暗中模索する中で、次々に起こる人間もようを通じて
、仕事に結果を出していくための経験則としてのノウハウが少し貯まり、同
じような政治姿勢を持った議員との人脈が広がったと思っています。

 病と闘う子どもの家族や難病の支援団体・ボランティア・全国社会福祉協
議会も含め、この動きに賛同して、共に立ち上がって歩んで下さったすべて
の方々に、感謝しています。ご関心を持っていただけるようであれば、今回
の「政治の場における正面突破」のプロセスで学んだアナログ情報も、今後、
読者の皆さまに報告していきますネ。

 今年最後になりましたが、皆さまどうぞ良いお年をお迎え下さい。ご多幸
を祈念しています。


◇◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 読者からの質問に回答     福島瑞穂(参議院議員・社民党・比例)
 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◇◆
 「イージス艦の派遣」に関しては、たくさんの意見が寄せられました。そ
の多くが「イージス艦派遣」に反対する声でしたが、なかには、「どうして
反対するのか?」という意見もありました。その意見に対して、福島議員か
ら回答が届いたので掲載します。

Q:イージス艦派遣は国会で正式に決定したことです。それが抗議運動によっ
て覆るということは国会、民主主義の否定ではないでしょうか。こういう文
は国民の国会軽視につながりかねず、国会議員として自らの首を絞めている
ようなものです。国会での決定に至るまでには大いに議論して欲しいと思い
ます。しかし、一度国会で決まったことを、さらに国会外で抗議運動をする
ということは、果たして国会議員の行動として適切なのでしょうか。

A:いつも読んでくださってありがとうございます。また、たくさんのご意
見ありがとうございます。

 「イージス艦派遣は国会で正式に決定したことです」というご意見があり
ましたので、返信させていただきます。

 イージス艦派遣は国会で正式に決定したことではありません。このような
重要なことは、国会で議論し決定すべきであると主張してきましたし、本来
なら国会承認事項とすべきことだと思います。しかし、そのような国会での
決定手続きはまったくなかったのです。

 テロ対策特別措置法に基づくインド洋への自衛隊派遣でも国会での決定と
いう手続きはとられておりませんし、これが11月19日に延長されるとき
も、閣議決定だけで国会審議も決定手続きもありませんでした。

 イージス艦の派遣にいたっては、政府は直前まで派遣は未定という答弁を
しており、国会終盤の12月に入って急に派遣決定という流れがつくられた
ものです。

 少なくとも、イージス艦派遣のような重要なことは、国会で審議し決定す
るという手続きを踏むべきだと思います。


◇◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
  編集後記              ロゼッタストーン・弘中百合子
 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◇◆
 長いメルマガを最後までお読みいただき、ありがとうございました。
 来週1月2日は、お正月休みをいただきますので、次回の発行は1月9日
となります。
 ヴィーナス議員からの意見はもちろんですが、読者のみなさまからのお便
りにも、とても考えさせられた1年でした。
 来年もご愛読をよろしくお願いいたします。どうぞ良いお年をお迎えくだ
さいませ。

 ご意見、ご質問はvheart@rosetta.jpまでお願いします。

◇◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
  「ヴィーナスはぁと」参加議員一覧
 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◇◆
「ヴィーナスはぁと」に参加してくださったのは、次の15名(敬称略)の
方々です。

 ◇衆議院
  川田悦子 (無所属・東京)  瀬古由起子(共産党・東海)
  武山百合子(自由党・北関東)  水島広子 (民主党・栃木)
  山内惠子 (社民党・北海道)  山口わか子(社民党・北陸信越)

 ◇参議院
  有村治子 (自民党・比例)  井上美代 (共産党・東京)
  岡崎トミ子(民主党・宮城)  小宮山洋子(民主党・比例)
  千葉景子 (民主党・神奈川)  八田ひろ子(共産党・愛知)
  広中和歌子(民主党・千葉)  福島瑞穂 (社民党・比例)
  吉川春子 (共産党・比例)

詳しいプロフィールを知りたい方、顔写真を見たい方は、ロゼッタストーン
WEBページで公開しています。⇒ http://www.rosetta.jp/
各議員のWebページにもリンクしています。

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( http://www.rosetta.jp/ )
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■次号予告
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 次回の発行は、2003年1月9日です。

 川田悦子議員(無所属) 瀬古由起子議員(共産党)、
 山内惠子議員(社民党)、水島広子議員(民主党)が登場します。

 ※登場する議員の顔ぶれは、変更する場合もあります。ご了承ください。

====================================================================
〒171-0021 東京都豊島区西池袋5−27−9−101 株式会社ロゼッタストーン
発行人・編集人:弘中百合子
Copyright(C) ロゼッタストーン 許可無く転載することを禁じます

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