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2003年3月6日発行(毎週木曜日配信)
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          女性国会議員メルマガ『ヴィーナスはぁと』第67号

  ***   ***    風はまだまだ冷たいけれど、ちょっとした日の光にも
 *****v*****  春を感じる瞬間が増えてきました。一方で、なかなか
  *********  明るい兆しが見えてこないのが、いまの日本です。
   *******    不況は、とくに、立場の弱い人たちを直撃します。本当に
     ***    困っている人たちは、「困っている!」ということを、社会に
      *     訴えるのも難しい。そこで、ヴィーナス議員の出番です。

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  目次
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■「抽選で子育てが選ばれるなんて・・日航のママさんスチュワーデス」
   瀬古由起子(衆議院議員・共産党・東海)

■「『エッセンシャルドラッグ(必須医薬品)リスト』を早急につくるべき」
   川田悦子(衆議院議員・無所属・東京)

■ 編集後記

■ 「ヴィーナスはぁと」参加議員一覧


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  ●大特集「明日の家族」
  岡崎トミ子議員が「女性の年金」、山口わか子議員が「高齢者介護」、
  井上美代議員が「子育て政策」、千葉景子議員が「司法改革」について
  語っています。どうぞお楽しみに!
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 「抽選で子育てが選ばれるなんて・・日航のママさんスチュワーデス」
             瀬古由起子(衆議院議員・日本共産党・東海)
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 日本航空が、2月10日、「深夜(午後10時から午前5時)業免除の適
用者を抽選で選出する」と提案しました。JALとJAS企業再編で、路線
構成が変わることを理由に、現在約100名いる日本航空の深夜業免除者を
75名を上限に無作為の抽選で選出するというのです。

 深夜の勤務時間の免除といっても、実際には自宅に帰るのは、深夜11時、
12時になることも多く、二重、三重保育をせざるをえないのです。何日も
続く海外フライト勤務とくらべ、1日1回は家に帰ることができるというだ
けです。

 75名といっても、以前から免除されている人は継続しますから、新たに
免除されるのは、多くて20数名、実際に数名だけが新たに選ばれるという
場合もあります。新たに申請者が増えると、ほとんどの人が抽選からはずれ
てしまいます。客室乗務員組合が実態調査をしたら、回答者の約半数が、抽
選ではずれた場合、「辞めざるを得ない」と回答しているのです。

 会社は「(今のままでは)効率をそこなう」と言います。これは、小学校
就学前の子どもを育てる労働者から請求があった場合、深夜労働をさせては
ならないとする育児介護休業法19条の精神と相容れないものです。「効率」
という理由で、子育て最中の深夜働けないママさんスチュワーデスを抽選で
振り落とすとはとんでもありません。合併するというなら子育ての配慮がで
きる勤務体制がより可能になるのではないでしょうか。

 現在日本では、1000名以上のママさんスチュワーデスが働いています
が、かつて彼女たちは、「産休明け」で働くか「一年休職」かの選択肢しか
なく「飛びながら育児をする制度」はありませんでした。

 その後、涙ぐましい運動をして国の法整備をさせ、働きながら子育てをす
る条件をつくってきたのです。それでも早朝・深夜乗務や国内・海外ステイ
という特殊な勤務形態で、フライトと育児の両立は大変なのです。

 その女性たちを一網打尽で職場からおいだそうというのです。厚労省に日
航への助言・指導を申し入れた一人の客室乗務員は語りました。「抽選で子
育てが選ばれるなんて、人間らしい扱いとは思えない。独身ですが、明日は
わが身だと思うと悔しさで体が震えます・・・」

 私も、なんだか聞いていて体が震えてきました。

 これって、合併を口実にしたリストラじゃないの?

 男だったら抽選で勤務時間の選択をさせるなんてことある?

 日航は日本の働く女性たちをみんな敵にまわすつもりなの?


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 「『エッセンシャルドラッグ(必須医薬品)リスト』を早急につくるべき」
                 川田悦子(衆議院議員・無所属・東京)
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●値段が高いエイズ治療薬

 昨年末にタイを訪問し、タイでのHIV・エイズの状況を視察したおり、予防
対策はある程度成果を上げていることは分かりましたが、特許権の壁に阻ま
れて、患者・感染者は治療薬を入手することができない状況になっているこ
とを目の当たりにして衝撃を受けました。

 薬の値段が高いために治療ができず、ただ死を待っている大人や子どもた
ちの姿を見て私は何とかしなければならないと思いました。

 そこで日本に帰国してから、日本のエイズ治療薬の値段を調べました。そ
うしましたら、日本でもエイズ薬はおしなべて高い値段がついていたのです。

 現在、効果的なエイズ治療は多剤併用です。通常、3種類の薬を組み合わ
せて飲みます。

 その中の一剤であるDDIは、200mg1カプセルが2008円になっていて、体重
が60キロ以上の人は1日1回200mgを2カプセル飲むことになります。そうす
ると、1日約4000円になり、この薬1剤で年間146万円になります。

 そしてなんとこのDDI場合、外国平均と比較して約4倍の値段になっている
のです。これが内外格差の問題です。

 ところで薬の値段のつけかたは、各国さまざまです。オーストラリア、カ
ナダ、イタリア、オランダなどは、外国の医薬品の値段を直接薬価に反映さ
せていますし、アメリカは自由価格です。薬価はその国の医療制度と関連し
ていますから、単純に比較はできません。

 しかし、エイズ薬の場合、飲み始めたらずっと使うことになりますから、
日本の場合、市場が小さいからと言って値段が外国と比べてこのように高い
のは大問題です。

 輸入の価格との関係はどうなっているのか、また販売量をどのくらいか知
りたいところです。ところがこれは厚労省に聞いても分らないというのです。
(企業秘密とのこと)

 現在、先進国でHIV感染者、患者が増え続けているのは日本だけです。
年間900人が感染し、うち4割は発病して気がついて来院するケースが多いそ
うです。

 エイズの場合はジワジワと増えてその後爆発的に増えるのが特徴です。日
本においても今後このまま放置すればたいへんなことになり、高い値段のつ
いたエイズ治療薬は医療費を圧迫させていくことが予想されます。

●薬剤費比率がなぜ高いか

 保険財政の中で医療費は今や大問題です。ついに健康保険本人三割負担導
入になってきました。このことに対しては、国会でも野党3党が凍結案を出
していますし、医師会も強く反対していますが、問題は医療費に占める薬剤
費比率だと思うのです。

 薬剤費比率は、10年前に約30パーセントを占め、強い批判の対象になって
きましたが、ここへきて、徐々に下がり、約20パーセントに低下しています。
しかし、それでも主要先進国と比べるとまだまだ高い状況であり、保険財政
の健全化のため、薬剤比率を下げることは不可欠なのです。

 日本の薬剤比率が高い原因は、内外格差や新薬の使用率が約半分を占めて
いることにあります。ですからこれらを解決すれば、いいわけです。その解
決に有効な方法が、「日本版エッセンシャルドラッグ(必須医薬品)リスト」
を作ることです。エッセンシャルドラッグという言葉は耳慣れない言葉だと
思いますが、これは翻訳どおり、必須医薬品です。

「世界のエッセンシャルドラッグ」(三省堂)という本が出版されていますが、
これは必須医薬品についてWHOがまとめたものです。このリストに挙げられた
薬剤は約300種類あり、これらの薬剤はいずれも病気の予防や診断・治療に不
可欠であり、質の高い優れた薬剤です。

 これを参考にして、日本でもエッセンシャルドラッグリストを作り、新薬
に頼るのではなく、必須医薬品を中心とした薬事行政をすすめれば、薬剤比
率が一気に下がります。この本によれば、エッセンシャルドラッグの使用比
率をドイツ並みにすれば薬剤費を3兆円削減でき、イギリス並みにすれば5.5
兆円は削減できると提言されています。

 新薬を使わずにエッセンシャルドラッグにしたり、内外格差を解消したり
すれば、患者負担を増やさなくても保険財政を健全に保つことは十分可能に
なってくるのです。

 つけ加えて言えば、今後、バイオテクノロジー産業だとか、知的財産権だ
とかを声高に叫んで医薬品企業を育成しても、日本政治の不味さから貧富の
差がひどくなり、さらに医療制度がひどくなっていき、(つまりこれはアメ
リカの医療の実態ですが)、市民が医薬品を使えなくなってしまうのでは、
いったい誰のための医薬行政であるのか、本末転倒になりかねません。

 現在、WTOで医薬品の特許権の問題が議論されていますが、日本は国際貢献
の観点からも、安い医薬品が世界中で使えるように積極的に努めるべきです。

 試され済みの薬を厳選することによって、院内感染を防ぐこともでき、ま
た医療費に占める医薬品の比率を下げることもでき、結果、日本の医療制度
を守りぬいていくことができるのです。

 このように日本版のエッセンシャルドラッグリストづくりはたいへん重要
です。「エッセンシャルドラッグリスト」づくりは、具体的かつ抜本的な解
決方法なのです。

 私はこの問題を厚生労働委員会でも取り上げて質問しましたが、さらに厚
労省が動きだすよう今後も働き続けたいと思っています。


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  編集後記              ロゼッタストーン・弘中百合子
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 ヴィーナス議員たちを応援したいと思うのは、彼女たちがお金や名誉や権
力のためではなく、純粋に、「困っている人たちのために力になりたい」と
動いているからです。

 といっても、困っている状況は人によって違います。歩道を歩いていると
自転車がこわいし、自転車に乗っていると歩行者を邪魔に感じる。車道を自
転車で走ると車がこわいし、車を運転していると自転車を邪魔に感じる。人
間はわがままな動物なので、どうしても自分中心に何が正しいかを考える傾
向があります。

 政治家を選ぶときには、自分自身の価値観が問われるのかもしれません。

 ご意見、ご質問はvheart@rosetta.jpまでお願いします。

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  「ヴィーナスはぁと」参加議員一覧
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 「ヴィーナスはぁと」に参加してくださったのは、次の15名(敬称略)の
方々です。

 ◇衆議院
  川田悦子 (無所属・東京)    瀬古由起子(共産党・東海)
  武山百合子(自由党・北関東)   水島広子 (民主党・栃木)
  山内惠子 (社民党・北海道)   山口わか子(社民党・北陸信越)

 ◇参議院
  有村治子 (自民党・比例)    井上美代 (共産党・東京)
  岡崎トミ子(民主党・宮城)    小宮山洋子(民主党・比例)
  千葉景子 (民主党・神奈川)   八田ひろ子(共産党・愛知)
  広中和歌子(民主党・千葉)    福島瑞穂 (社民党・比例)
  吉川春子 (共産党・比例)

詳しいプロフィールを知りたい方、顔写真を見たい方は、ロゼッタストーン
WEBページで公開しています。⇒ http://www.rosetta.jp/
各議員のWebページにもリンクしています。

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■次号予告
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 次回の発行は、3月13日です。

 井上美代議員(共産党)、山口わか子議員(社民党)、
 岡崎トミ子議員(民主党)が登場します。

 ※登場する議員の顔ぶれは、変更する場合もあります。ご了承ください。

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〒171-0021 東京都豊島区西池袋5−27−9−101 株式会社ロゼッタストーン
発行人・編集人:弘中百合子
Copyright(C) ロゼッタストーン 許可無く転載することを禁じます

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