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第6回
仕事への自信をなくしてしまった男性をコーチ!



相談者のプロフィール 高橋弘樹さん(35歳)仮名
都内の中堅出版社に勤めて12年。いままで企画は順調に通ってきたはずが、ここ3か月くらい企画が会議で通らない。企画が通らないと仕事が進められず、会社での居心地が日々悪くなっている。
相談者の悩みごと 提案する企画についてすべて難癖をつけられているような気がする。まるで間接的に会社に「辞めろ」といわれているよう。 だんだん自分に自信がなくなってきている。自信を取り戻したい。
本間 「コーチングについてどういうものだか、聞いてきましたか?」
高橋 はい。カウンセリングだと、相談を聞いてもらうだけになるけれど、コーチングだと『それでどうするの?』というところまで聞かれると…」
本間 「そうですね、『こうしたらいいよ』というアドバイスより『それでどうするの?』というところまで突っ込んで聞くところがコーチングなんです」
高橋 「怖いですね」
本間 「今日は突っ込まれる覚悟はできていますね?」
高橋 「はい」
本間 「いま、なにか達成したい目標とか、解決したい問題とかはどんなことですか?」
高橋 「これが山積みでして…」
本間 「一番手強いヤツは?」
高橋 「仕事ですね。企画が通らないというか、仕事をさせてもらえないというか、半分リストラじゃないかってことで」
本間 「具体的にいうと」
高橋 「週刊誌や月刊誌なら定期的に仕事があるんですが、単行本の場合だと企画が通らないと仕事にならないんですね。 それで出す企画、出す企画が差し戻されてしまうんです。その理由はもちろん『企画がよくない』というのと『会社が決断してくれない』の両方なんですね」
本間 「その『会社が決断してくれない』ということですが、それは別に株主総会をやるという話ではないですよね」
高橋 「はい」
本間 「するとそこには明らかに人格を持った個人がいると思うんです。それは個人ですか? それとも集団ですか?」
高橋 「集団です」
本間 「それではその仕組みを教えてください」
高橋 「私の部署には直属の上司が3名いるのですが、その部署で決定した企画を、さらに上の社長を含めた重役会議にかけるというものです」
本間 「はい」
高橋 「部署には常務もいるのですが、そこで決定したものが、必ずしも重役会議で通るものとは限らないんですね」
本間 「部署のほかの2人というのは、また違った意見を持っているんですか?」
高橋 「いいえ、常務の意見がすべてです」
本間 「じゃあ、常務と社長ですね、キーマンは。では常務の好きなものはなんですか?」
高橋 「かっこいいものですね、どちらかというとうちの会社らしくないもの」
本間 「社長は?」
高橋 「社長はこだわりがあるというか、言ってしまえば会社のカラーに合った、うちの会社らしいものが好きですね」
本間 「相容れないですね」
高橋 「ただ、会社としてはもう企画の内容というよりも、儲かるか儲からないかという部分での判断が強くなってきているので、 そこの部分で難しいのかもしれないなと思います。編集としては『面白い』と思っていても、『儲からないんじゃないの?』と反対されるんです。 出さなければそもそも、なにも儲からないのにって」
本間 「いま、日本の会社はそればっかりですね。30代40代の人が企画を出すと、その上の人たちが『まあ、やらなくてもいいんじゃないか』と企画を潰す。 なにも御社に限っての話ではないですね」
高橋 「なにもしなければ給料だけがでていく。でも何かやって失敗すれば給料の何倍も損するじゃないかという考えなんですね」
本間 「必ずうまくいくものなんてないんですけれどね。困りましたね」

※  ※  ※

本間 「最近出した企画はどの段階まで進んでいるのですか?」
高橋 「常務の段階までですね。ただ、それが社長のOKをもらえるとは限らない」
本間 「それは高橋さんの自信作ですか?」
高橋 「いいえ…、会社の総意を私なりに汲み取った企画ですね。会社の望んでいるのはこういうことだよね、と」
本間 「社長に企画を通すにあたって、高橋さんの部署の常務からのアドバイスはなに かあるんですか?」
高橋 「特にないですね。なんとなく社長と常務の主導権争いのなかに入っているような気もします」
本間 「やりたい仕事がある人はそれではスピンアウトしてしまいますね」
高橋 「そうですね。やりたい仕事をやれないですね」
本間 「それではいま、仮に高橋さんがやりたいことを会社がすべてOKしてくれるとしたら、どんなことをしたいですか?」
高橋 「自分のやりたいことをやるよりは儲けを出しましょう。会社が儲けを出すのに会議を繰り返しているくらいだったら、私に任せてくれれば儲けを出せるのにって思うんですよね」
本間 「どうしてそうさせてくれないと思いますか?」
高橋 「立場にないから」
本間 「それから?」
高橋 「信用がない」
本間 「それから?」
高橋 「やらせたくない」
本間 「そうそう、何でそう思いますか?」
高橋 「やらせてしまうと自分たちの立場がなくなるから」
本間 「それですよそれ、一番大きいのは。やらせて任せて、うまくいってしまうと、俺たちの存在理由がなくなっちゃうじゃない。 それが一番怖いんですよ。だからそうなってもメンツが立つ対策を考えるというのはいいんじゃないですか?」
高橋 「おそらく任せてもらうには信用を得ないとだめですね。一度でもいいから結果を出せれば」
本間 「俺たちが手伝ってやったから、あの仕事がうまくいったんだと彼らが思えるようにしなければいけないということなんです。 だから高橋さんが自信をつけるというのは、高橋さんが優秀だということを証明するわけじゃないですか。それは高橋さん自身もそうしたいじゃないですか?  でもそうすると逆に彼らのメンツを傷つけるわけです。だからアドバイスになってしまうけれど、彼らの立場からいうと 『アイツのもとの企画は駄目だったんだけど、俺がこういってやったからあれはうまくいったんだ』という最初に隙のある企画を作る訳ですよ。 で、『ここが難しいけれど、どうしたらよいでしょうか?』とお伺いを立てるわけです。教えを請いにいく。そういうのはやったことないでしょう?」
高橋 「ないですね」
本間 「おそらく高橋さんが持っている顔の雰囲気とか声の調子で出るんですよ。『俺に任せればうまくいくのに』『くだらない会議だ』 とかが出ているんですよ。それはある意味、自分の生き方とか筋を通すのはいいんですよ。だから実を取るか名をとるかだと思うんですよね。 登場人物が少ない分まだいいと思います。確かに社長と常務との意見の相違はけっこう根深いかもしれないし、 どっちにコミットしてもなかなか難しいかもしれないけれど、等距離平和外交という方法もあるし」
高橋 「どちらともにいい顔をするというか…」

※  ※  ※

本間 「社内のそういう争いは続きそうですか?」
高橋 「常務が定年まであと3年ですね。社長のほうはまだ10年ありますね」
本間 「3年ですか、いまの3年は長いですからね」
高橋 「だからあと3年我慢すれば、やりたいことができるかなと思っているのですが」
本間 「会社を飛び出してフリーになるよりも、いまの立場の方がやりたいことがやれると思っていますか?」
高橋 「はい」
本間 「いま3つほど提案があるのですが、

ひとつは常務も社長もOKする完璧な企画を出すこと。
ふたつ目は常務に社長の扱い方を覚えてもらうなり、社長に常務の扱い方を覚えてもらう。つまり社長を変えるか、常務を変えるか、なんですが。社内の信頼関係を築きなおす。
みっつ目は名を捨て実を取る、隙のある企画をつくる。


まあ、ひとつ目の自分も納得してみんながOKする企画を作るというのが王道だとは思いますが」
高橋 「実は最近の重役会議で以前にやった企画すべてについて徹底的に非難されて、それで自信がなくなってしまったんですよね」
本間 「バッドコーチングの典型ですね」
高橋 「2時間ぶっ通しでした」
本間 「その高橋さん自身が気持ち悪くなるような会議で、学んだことはなんですか?」
高橋 「こいつらを黙らせる結果を見せてやる、という決意ですね」
本間 「いま、とりあえず仕事をするということならば三番目をやってみるのがいいんじゃないのかな。 アドバイスは全部取り上げなくてもいいんだし、アドバイスをしたという事実とうまくいったという事実があれば、途中のプロセスなんて気にしないんだから、みんな。 『ありがとうございました、助かりました』と言っておきながら、ぜんぜん採用しなくてもかまわないんだから。
いいこと考えました。いま『高橋弘樹新創刊』なんですよ。そこで『新創刊』のキャッチコピーを考えてみましよう」
高橋 「【かわいげのあるヤツ】ですかね」
本間 「ちなみに前はなんだったんですか?」
高橋 「【かわいくないヤツ】ですね。【突っ張っている】とか」
本間 それは別に悪いことではなくて、羊の皮にかぶせておけばいいんじゃないですか」
高橋 「そうですね」
本間 「さっきの2時間の会議でなにを学んだかということで、私が用意していたことは、3年後にマネージメント側の立場になったとき 『こんな無駄な会議はやってはいけないよ』という反面教師なんだと思ったらいいじゃないですか。 『部下のやる気を出す会議をするべきだ』と暖かいムチだと思えばいいんです」
高橋 「はい」
本間 「だからいまはチャンスをもらっていると思って、少しマネージメントの勉強もして【かわいげのあるヤツ】でいることがいいんじゃないでしょうか?」
高橋 「そうですね少し自分の立場の見方を変えて【かわいげのあるヤツ】になります。ありがとうございました」
感想 自分のキャッチフレーズというのを決めるのがとても参考になりました。自信を取り戻すだけじゃなく、 相手との関係のなかで対処することが大切だと感じました。
コーチからの一言 やる気の高い部下の企画や提案を、上にいる人がボツにして、旧態依然、古色蒼然たる状況が続く。 高橋さんの会社だけでなく、日本中の多くの会社で見られる光景ではないでしょうか? そんな時に、上司の世代をけなしても、挑戦してもあまりうまくいかないことが多いでしょう。 さすが編集長さんだけあって 【かわいげのあるヤツ】という短いキャッチフレーズの中に、これから取るべき行動のツボを凝縮した形で、 うまく表現していただきました。企画が百発百中 とはいかないかも知れませんが、打率3割は軽く超えそうな予感を感じました。(本間正人)
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