「ヴィーナスはぁと」バックナンバー バックナンバー一覧

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2002年1月24日発行(毎週木曜日配信)
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          女性国会議員メルマガ『ヴィーナスはあと』 第10号

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  ***   ***  今回は、読者のなかでとても関心の高い「テロ対策」
 *****v*****  についての前半です。アフガニスタンでの戦争が一段落
 ***********  したとはいえ、「これからの戦争は、国家間の戦争で
  *********  はなく、テロとの戦いだ」という声もあります。
   *******  日本がとったテロへの行動を、ヴィーナス議員たちは、ど
     ***  のように評価しているのでしょうか。また、今後のテロに
      *  対して、どんな政策が必要だと思っているのでしょうか。
    難しいけど大切な問題です。


◇◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
  目次
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 ■「テロ対策」について

 ●広中和歌子(民主党)
 「必ずしも同盟国と同じ行動をとる必要はない」
 ●山内惠子(社民党)
 「テロを力で押さえ込むより、原因の除去を!」

 ■「ヴィーナスはぁと」参加議員一覧

 ■編集後記

◇◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
  「テロ対策」について
 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◇◆
テロに関しては、短い言葉では語りつくせないと思うので、質問数を絞り、
議員の人たちにじっくり語ってもらいました。今回取り上げたのは、次の2
つの質問です。

Q1 世界貿易センタービルに対する同時テロに起因する、今回のわが国の
   一連の動きについて、どのようにお考えなのでしょうか?
Q2 テロに対する「現実的」な施策についてお聞きしたいです。現実に日
   本がテロの対象とされたらどう対応するか、それを防ぐために今すべ
   きこと、出来ることは何なのでしょうか。

 今回は民主党の広中議員と、社民党の山内議員に意見をお聞きしました。

■◇■==============================================================
「必ずしも同盟国と同じ行動をとる必要はない」
                    広中和歌子(参議院議員・民主党)
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Q1 米国同時多発テロに対するわが国の対応をどう思うか?

 実際、わが国の対応は素早かったです。テロへの断固たる態度を表明し
、 アメリカ支援を誓い、その2週間後に小泉首相は7項目の米軍支援策を発表
しました。それを携えてアメリカに出かけて行ったのです。他の国々が具体
的な支援の中味についてはアメリカの出方を見守っていたのに・・・。

 ヨーロッパ諸国、ロシア、そしてアジアの国々にはアラブ系の人々、イス
ラム教を信じる人々が数多く住んでいます。アメリカの報復次第では更なる
テロが世界中に広がって、第3次大戦になるかもしれません。軍事力の行使
には慎重になることを、世界の多くの国々は望んでいます。
 小泉政権は1991年に起こった湾岸戦争の二の舞を踏みたくない、要するに、
お金を出して評価されなかったことを恥じているのでしょう。しかし、財政
難に苦しむ当時のアメリカにとって、130億ドルの資金提供ほど有難い支援は
なかったはず。ただ誰もそのことを指摘しなかったに過ぎないのです。後方
支援という点でも、報復措置として利用できる米軍基地を日本が提供してい
ること自体、同盟国として立派にその役割を果たしてきましたし、今回の場
合もそうでありました。

 同盟の形はいろいろあっていいと思います。必ずしも同じ行動をするので
はなく、補完的役割を、自国のできる範囲でやること、場合によっては望ま
れなくても、彼らの見落としている視点、例えば、イスラム圏の人々が、貧
困の中で西側のユダヤーキリスト教圏の国々に抱いている絶望的フラストレー
ションに思いを至し、テロの起きない世界を築く「文明間の対話」のための
世界会議を呼びかけるのもその一つなのです。

 さて、9・11事件から早や4ケ月が経ち、タリバン勢力は壊滅。そして、
今や世界の注目はアフガン復興に集まり、現在、東京ではアフガン復興会議
が開かれています(1月21・22日)。日本がそのイニシアティブをとったこ
とは素晴らしいことだと思っています。その会議の具体的な結果はまだ発表
はされていませんが、多くの支援の申し出がなされているようです。私は、
その復興のための支援が、長い伝統と高い文化を持つアフガンの人々の自尊
心を尊重し、アフガンの真の意味での自立を助け、またその支援が一過性の
ものではなく継続的に行われていくものであることを強く期待しております。


Q2:日本がテロの対象にされたらどうするか。それを防ぐためにできるこ
   とは?

 今回のアメリカ同時多発テロのように、テロ犯罪の多くは罪を承知で、場
合によっては命を賭しても罪を犯すという、いわば確信犯です。少々罪を重
くするくらいでは、テロ犯罪が防げるのか、少々首を傾げてしまいます。そ
れより、今後、起こり得るテロに対して、わが国は未然にどう処理していく
のかを考える必要があります。
例えばテロの情報をどのようにして事前に入手していくのか、一昨年国会で
通過した盗聴法はここでどう活かしていくのかといったような・・・

 わが国にはアメリカのCIAのように総合的に諜報活動を行う機関がありませ
ん。それでもアメリカでは今回のテロ事件が起こったのです。21世紀の新し
いタイプの戦争であるテロに対して、アメリカも日本もソフト面、ハード面
で本格的なテロ対策に取組む時期に来ているのかもしれません。しかし、個
人の自由、人権などとどう折り合いをつけるかが問題です。とにかくテロリ
ズムという新しい敵に対して、国際社会は試行錯誤を今後繰り返していくこ
とになるでしょう。

 さらにテロは何故起こるのでしょう。その根本ともいうべき原因を探り出
す必要があります。また、その原因が貧困であれ、非民主的政治体制であれ、
その原因を取り除くために恵まれた国々は支援の手を差しのべ、地球をより
公正で、より平等なものにしていく必要があると思います。

■◇■==============================================================
「テロを力で押さえ込むより、原因の除去を!」
                    山内惠子(衆議院議員・社民党)
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(Q1、Q2をまとめて回答)

 昨年11月16日に、私たち社民党議員は、「テロにも反対! 戦争にも反対
!」の行動として、新宿西口で「社民党アフガン基金」カンパを呼びかけま
した。これに応えてくれたのが高校生であり、若い人達であったことに感動
しました。この流れを喜ぶとともに、平和への貢献に対する政治の責任を痛
感しました。

 私たちが夢見た21世紀の初めの1年が、想像を絶する最悪の年となってし
まったことを思うとき、米国同時多発テロ事件が示したものの背景に、テロ
を生み出す土壌として貧困、差別、人口爆発、環境破壊等があることを直視
しなければならないと思います。同時に、今までの世界を競争原理で勝者と
敗者を分けていく経済のグローバル化をどうするかが問われています。この
積年の課題を解決しないでテロの根絶はあり得ないと思います。

 20世紀から21世紀へと移行する時に生きているものとして、同時代を地球
上に生きている人々への想像力を働かせて行動したいと思います。

 テロは一般的な「殺人」とは少し訳が違い、社会が閉塞状況にある中で、
政治の一手段として直接訴えたいという時に起こるのではないでしょうか?
テロという行動を起こす深層には彼らなりのいわゆる「正義感」があるのだ
と思います。

 テロという手段でしか表現できない状況に彼らを追い詰めている原因は何
なのかを見極めずに、「もし日本がテロの対象にされたら?」と仮定して、
100万人の警察官、機動隊員、100万人の自衛隊員を増やして監視体制を強化
したとしても、死をかけて行うテロを防ぐことは、難しいと思います。

 貧困や差別、抑圧に対する怒りや人権が失われていることに対する怒りが
テロの原因にあるとしたら、私たちは地道にこの問題の除去にとりくまなけ
ればならないと思います。環境問題にとりくむこと、地球上の南北格差をな
くしていくことなど平等な社会を築いていくことが、遠道のようですが、テ
ロの最大の予防になると思います。それには、今、世界中で使われている莫
大な軍事予算をそのためにつぎこむことです。

 アフガニスタンで17年間診療活動をしてきたペシャワールの中村医師は、
「今回の空爆や自衛隊の派遣は、百害あって一利なしだ」と断言しています。

 その意味で21世紀は、日本の平和憲法が世界に輝く時だと思います。21世
紀を生きる子どもたちに遺す最大のプレゼントは、憲法であり、かけがえの
ない自然・地球であり、核のない大地、貧困のない社会、戦争のない21世紀
です。私たち政治に関わる者は、憲法の理念を形にしていく実践をする責任
があると思います。そのために、全力を傾ける決意です。


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  「ヴィーナスはあと」参加議員一覧
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「ヴィーナスはあと」に参加してくださったのは、次の18名の方々です。詳しいプ
ロフィールを知りたい方、顔写真を見たい方は、ロゼッタストーンホームページで公
開しています。⇒ http://www.rosetta.jp/

 ◇衆議院
  川田悦子(無所属・東京)  瀬古由起子(共産党・東海)
  武山百合子(自由党・北関東)  中林よし子(共産党・中国)
  松島みどり(自民党・東京)  水島広子(民主党・栃木)
  山内惠子(社民党・北海道)  山口わか子(社民党・北陸信越)

 ◇参議院
  有村治子(自民党・比例)  井上美代(共産党・東京)
  岡崎トミ子(民主党・宮城)  小宮山洋子(民主党・比例)
  千葉景子(民主党・神奈川)  西山とき子(共産党・京都)
  八田ひろ子(共産党・愛知)  広中和歌子(民主党・千葉)
  福島瑞穂(社民党・比例)  吉川春子(共産党・比例)

  計18名(敬称略)


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  編集後記
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 「テロ対策」についてのおふたりの意見はいかがでしたか?
 タリバン政権は壊滅しましたが、テロ組織が根絶されたわけではありませ
ん。遠く離れたところで起きる争いでも、決して無縁ではいられないほど、
世界は密接につながっています。今後、日本は世界のなかでどういう役割を
果たしていくべきなのか。アメリカとの関係はどうあるべきなのか。ぜひ、
あなたの意見もお聞かせください。

 ご意見、ご質問は vheart@rosetta.jpまでお願いします。


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■次号予告
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次回は「日本のテロ対策について」の後編です。

◆有村治子(自民党)
◆西山とき子(共産党)

                ほか


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女性国会議員メルマガ『ヴィーナスはぁと』
 編集長:ロゼッタストーン 弘中百合子
 発行 :株式会社ロゼッタストーン
     (〒171-0021 東京都豊島区西池袋5ー27ー9ー101)
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