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2002年1月31日発行(毎週木曜日配信)
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          女性国会議員メルマガ『ヴィーナスはあと』 第11号

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  ***   ***  大荒れ国会に、政治から目が離せない毎日。ヴィーナ
 *****v*****  ス議員のみなさんも、睡眠時間を削って活動している
 ***********  ようです。「外務省問題」に関しては次週扱います。
  *********  今回は、前回にひきつづき「テロ対策」についてです。
   *******  「力で押さえ込むより原因の除去を」という意見に対して
     ***   は、「理想論ではあるが非現実的なのでは?」という感想
      *  が目立ちました。今回は自民党の有村治子議員と、共産党の
    西山とき子議員に、前回と同じ質問をぶつけてみました。


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  目次
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 ■「テロ対策」について

●有村治子(自民党)
 「信頼を基盤とした外交ルートの確立に、時間と労力と意欲を注ぐべき」

●西山とき子(共産党)
 「国連中心に力を合わせ、報復戦争を食い止める外交活動が必要」

■「アフガニスタン支援」について
 水島広子(民主党)

■「選択的夫婦別姓制度」についての質問への回答
 小宮山洋子(民主党)」

■「ヴィーナスはぁと」参加議員一覧

■編集後記

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  「テロ対策」について
 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◇◆
 前回のメルマガに対しては、「現実的にテロが起きたら武力以外にどんな
解決手段があるのか」「話し合いでは通じない相手もいるのではないか」と
いった質問や意見が何通も寄せられました。国民のテロへの不安は、かなり
大きいようです。


 テロに対して、日本はどんな態度をとるべきなのか。今回は、政党として
は両極にある自民党の有村議員と、共産党の西山議員の意見をお聞きしまし
た。

■◇■==============================================================
「信頼を基盤とした外交ルートの確立に、時間と労力と意欲を注ぐべき」
 有村治子(参議院議員・自民党・比例)
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 テロ対策という分野に関しては、ヴィーナスはぁとの読者の皆さんの中で
も議論が分かれるところでは・・・との印象を持っていますが、「完璧なテ
ロ対策(これさえやっておけば十分で、国民の大多数の理解や支持も得られ
る)」という完全策は、いつの時代も世界中のどこに行っても、まずありえ
ないでしょう。

 それでもなお、テロを徹底的に排除するよう努めていかなければならない
のは、無差別殺戮を行うテロがひとたび日本で起ってしまうと、私達の誰か
が、「帰らぬ人」となってしまう可能性が非常に高いためです。テロが一旦
起ってしまえば、「かすり傷」では済まされず、取り返しのつかない事態を
招いてしまうというのが、テロの恐怖ですね。

 私は日頃、わかりやすい言葉づかいを心がけてはいるのですが、今回は、
そのテーマからして、ちょっぴり硬い文章になるかもしれません。ご興味の
ある方は、ぜひご一緒に考えていきましょう。

Q1:米国同時多発テロに対するわが国の対応をどう思うか?

 日本にとって舵取りが難しかったのは、国内の世論を集約することと、テ
ロ撲滅に立ち上がった国際社会の一員としての日本に対する信頼の構築を、
同時に進めなければならなかった点です。国際社会と協調して、断固テロを
許さない姿勢をいち早く表明し、政府の行うべき事項を迅速に取りまとめた
点では、湾岸戦争の時の教訓が活かされたと思います。

 またテロ組織壊滅への後方支援に自衛隊を参加させるための協力支援活動
の項目から、武器・弾薬の補給や、戦闘行動を行う航空機への給油・整備の
機能を除外するなど、野党も賛同し得るようなテロ対策特別措置法案を作る
ことに努め、これを限られた時間の中で成立させたことは、数々の制約条件
が重なる中での対応として、的確だったと思います。

 これによって、協力支援活動を円滑に行うための通訳や現地ガイド、政府
やNGO関係者、国際機関職員など現場に居合わせた人々に身の危険が生じたと
き、自衛隊員が彼等を守ることが可能になりました。

 ただ、緊急異常事態が起こらなければ、このような議論自体がタブー視さ
れ、ひとたび国際的な脅威が表面化すると与野党とも慌てて議論を再開する、
というサイクルを今回も踏んでおり、平時にこそ与野党ともに、国際的な紛
争・テロ等に対するオープンで理性的・現実的な議論を進めていく土壌を、
整えていくべきだと感じています。

 また、始まったばかりの国会を空転させるきっかけとなった今回のNGO問
題に関しては、今後政府とNGOがどのような補完・協力関係を持っていけば
良いのか、これからもっとノウハウを蓄積していく必要性があるでしょう。


Q2:日本がテロの対象にされたらどうするか。それを防ぐためにできるこ
   とは?

 今回同時テロを起こしたイスラム原理主義者の関係者が、かつて日本に潜
入し、日本での航空機関係のテロを計画していたことが、全国紙に報道され
ています。テロ対策がもはや「杞憂の仮定」ではなく、現実的に対応策を想
定しなければならない課題になってしまったことは、それ自体、残念なこと
だと思います。

考えられるテロ対策のポイントは、
 (1)テロリストを日本に出入りさせないこと。
 (2)日本国内にテロリストの拠点・資金調達源など、彼等に都合のよいイ
  ンフラを作らせないこと。
 (3)「日本には、堅牢なテロ対策網が敷かれている」との印象を持たせ、
  国内でテロ行為を起こすことが困難な状況を創り上げていくこと。
だと考えます。

 そのためには、関係省庁が提携を密にして、国際的な情報交換を強化し
、 徹底した出入国管理を行うことが必要です。同時に、重要施設および沿岸警
備の強化、テロ資金・動向把握が重要になってきます。上のポイントは、一
見当たり前のように見える項目ばかりですが、先般の不審船問題が起ったと
きには、これらの基本的な連携がうまく機能していなかったことが露呈しま
した。

 残念ながらテロ対策というのは、常にコストと労力がかかり、例えばサリ
ン事件のようなバイオ化学テロに対しては、被害を最小限にくい止めるため
の最先端の技術や、行政ノウハウの蓄積も必要です。安全に暮らすためのこ
のようなコストは、他でもなくやはり私達の税金で賄われています。

 人々の安全と財産を守るために、私達が何を原則として掲げ、どんな手を
打つべきなのか、日本ひいては世界中からテロを撲滅するためには、どのよ
うな予防外交・コスト・不便を、私達が負担しなければならないのか―――
その方向を見誤ることがないよう、討論をオープンに進めなければならない
時期に来ていると考えています。

 昨年秋の臨時国会は、私が議席を与えていただいてから初めての本格的な
国会となったのですが、その会期中、南アフリカ大統領が来日されたことが
ありました。しかしその時間帯の前後に本会議があったため、南ア大統領ご
夫妻と超党派の議員が懇談したのは、歓迎の挨拶も含めて30分程度で、先方
に礼を尽くしたとは残念ながら言えないものでした。

 地道な取り組みですが、このような日頃の対等な友好関係と、信頼を基盤
とした外交ルートの確立こそ、もっと私達が時間と労力と意欲を注ぐべき
「予防外交」です。そしてこれが結果的には政府の支出を抑えながらも、私
たち国民の生命を守る、長期的なテロ牽制につながる「平時の取り組み」だ
と考えています。


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「国連中心に力を合わせ、報復戦争を食い止める外交活動が必要だった」
 西山とき子(参議院議員・共産党・京都)
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 21世紀の2年目があけました。みなさんはどのような新年をお迎えに
なったことでしょうか。私は京都の国会議員団の恒例の行事で先人のお墓に
お参りしたあと、八坂神社の前で核兵器廃絶署名にたちました。不況のため
か晴れ着姿がめっきり少なく、心が晴れませんでしたが、署名はいつもより
たくさん集まりました。「平和の願い」を強く感じました。


Q1:米国同時多発テロに対するわが国の対応をどう思うか?

 さて、昨年の同時多発以降の日本政府の対応についてです。テロ根絶の国
民の願いを逆手にとった憲法違反の自衛隊の海外派兵など戦後最悪の戦争の
道を歩んでいるとみています。それもアメリカのいいなりに「ショー・ザ・
フラグ」を優先させる道理のない恥ずかしい属国のような対応です。

テロ根絶には何が求められていたのでしょうか。

 命の尊さを今一度全世界がかみしめ、いかなる理由によろうともかけがえ
のない命を奪うテロを憎み、この犯罪の根絶のために国連中心に力をあわせ
ることでした。日本政府としては、かつての侵略国の反省から、二度と戦争
はしないと世界に誓った日本国憲法を持つ国として、報復戦争とテロの泥沼
化を食い止める積極的な外交活動を行うべきでした。

 私は、日本共産党が9月17日と10月11日に世界約130カ国に出し
た書簡をもって、ブルネイとイギリスの大使館を訪問しました。報復は国連
宣言でも禁止されていること、テロの根絶には、国連中心に容疑者の特定と
身柄の引渡し、法による裁判と厳正な処罰こそ必要であること。国連憲章
41条・42条もふくめた制裁の道も国際社会の総意によってテロ根絶の有
効手段になりえること、アフガンの罪なき人々と国土を戦争の犠牲にする権
利などいかなる国でも許されるものではないと訴えました。

 事実、報復戦争によって、タリバン政権の崩壊を喜ぶ声も伝えられますが、
アメリカのある研究者の試算では3767人の市民が空爆の犠牲になり、ク
ラスター爆弾などによる地雷の被害は数10年にも及んで、犠牲は計り知れ
ません。ビンラディンの消息は不明、テロ組織の破壊のために、ブッシュ大
統領は「他の場所の捕捉のために2002年は戦争の年になる」と公言して
います。

 世界中を戦争に巻き込む新しい覇権主義に冷静な世界の目が向けられてい
る中、小泉内閣はますますアメリカに追随し基地を含めて、共同の軍事行動
に走ろうとしています。「日本国憲法守れ」「報復戦争反対」「テロ根絶は
国連で」の声を今こそあげましょう。平和は黙っていては守れませんから。
ご一緒に。


Q2:日本がテロの対象にされたらどうするか。それを防ぐためにできるこ
   とは?

 テロを根絶するためには、国際社会と日本国民が「テロはいかなる宗教的
信条、政治的見解によっても絶対に正当化できない卑劣な犯罪行為であるこ
と」の一致した立場にたって、テロ集団を許さず追い詰めるために団結する
ことです。

 テロは犯罪であり、それの具体的な取り締まりや起きた場合の容疑者の逮
捕や再発防止、裁判による厳正な処罰は基本的に警察と司法が行うべきです。
国際的なテロに対しては、国際社会と協力して国連中心にテロを防止し、起
こさせない対策も政府の責任です。

 同時多発テロにたいして、国連で禁止されている報復戦争を拡大している
アメリカの行為は、テロによる報復の口実を拡大し新たなテロと戦争の危険
が増すばかりです。

 今、日本をテロの危険から守るためには、まず、なによりも、アメリカの
報復戦争支援をやめること、テロ集団の攻撃に口実を与え、その標的となる
ような愚挙は直ちにやめるべきです。

 もちろん、テロ根絶を口実として、米軍有事の国家総動員を図ろうとする
有事立法は許せません。日米安保条約によって、戦後半世紀以上たった今な
おアメリカの基地があり、アメリカの戦争の出撃基地となっていることが日
本の主権と平和と安全を脅かす根源であるとかんがえます。安保条約を廃棄
通告できる国会を早くつくりたいと思っています。


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「アフガニスタン支援」について(水島広子・民主党)
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 読者の方から「ヴィーナス議員の人たちは、アフガニスタンへの援助をし
ていないのですか」という質問がありました。みなさんに問い合わせたとこ
ろ、民主党の水島広子議員から回答がありました。

「民主党として、募金活動を行っております。私の所属する民主党栃木県連
や、協力関係にある連合栃木でも、街頭募金などの活動を行っており、私も
参加しております。
 また、私のボランティアの方々が、毎月一回フリーマーケットでタイラー
メンの屋台を出店し、収益金の半分をアフガニスタンに送っております。こ
れらの募金は、ペシャワール会など現地で活動しているNGOに直接届けられて
います」(水島広子・衆議院議員・民主党)


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「選択的夫婦別姓制度」についての質問への回答(小宮山洋子・民主党)
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「選択的夫婦別姓制度」の小宮山議員の意見に対して、「明治民法では別姓
でひとつの戸籍に入っていた、という意味がよくわからない」という質問が
ありました。以下は、それに対する小宮山議員の回答です。

「明治8(1875)年2月に“平民苗字必省令”が布告されました。その
3ケ月後に、石川県から内務省に妻の氏は、従来の慣行どおり“実家ノ苗字”
なのか、“夫家ノ苗字”を名乗るべきかを伺い出て、太政官が法制局に審議
させた結果、身分と姓氏は別のものであり、妻に夫家の氏を称す(夫婦同氏)
を認めれば歴史にも反し大困難が生じるから、官法に従うべきと、翌年9
(1876)年に答申がありました。太政官は、これを受けて、『夫婦の氏
は、妻が夫家を相続したときを除き、古来の慣行どおり“夫婦別氏”』とし
ました。その後、明治31(1898)年の明治民法で「家」制度の下で、
夫婦同姓になって以来、戸籍も同姓になっているのです。
 こうした事実から、別姓を選択できるようにし、前例もあるので、戸籍法
を改正して、別の姓で夫婦がひとつの戸籍に載ることは可能ということをいっ
ているのです」(小宮山洋子・参議院議員・民主党)


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  「ヴィーナスはあと」参加議員一覧
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「ヴィーナスはあと」に参加してくださったのは、次の18名の方々です。詳しいプ
ロフィールを知りたい方、顔写真を見たい方は、ロゼッタストーンホームページで公
開しています。⇒ http://www.rosetta.jp/

 ◇衆議院
  川田悦子(無所属・東京)  瀬古由起子(共産党・東海)
  武山百合子(自由党・北関東)  中林よし子(共産党・中国)
  松島みどり(自民党・東京)  水島広子(民主党・栃木)
  山内惠子(社民党・北海道)  山口わか子(社民党・北陸信越)

 ◇参議院
  有村治子(自民党・比例)  井上美代(共産党・東京)
  岡崎トミ子(民主党・宮城)  小宮山洋子(民主党・比例)
  千葉景子(民主党・神奈川)  西山とき子(共産党・京都)
  八田ひろ子(共産党・愛知)  広中和歌子(民主党・千葉)
  福島瑞穂(社民党・比例)  吉川春子(共産党・比例)

  計18名(敬称略)


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  編集後記
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 「テロ対策」についてのおふたりの意見はいかがでしたか?
 タリバン政権は壊滅しましたが、テロ組織が根絶されたわけではありませ
ん。遠く離れたところで起きる争いでも、決して無縁ではいられないほど、
世界は密接につながっています。今後、日本は世界のなかでどういう役割を
果たしていくべきなのか。アメリカとの関係はどうあるべきなのか。ぜひ、
あなたの意見もお聞かせください。

 ご意見、ご質問は vheart@rosetta.jpまでお願いします。


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■次号予告
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次回は「日本のテロ対策について」の後編です。

◆有村治子(自民党)
◆西山とき子(共産党)

                ほか


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女性国会議員メルマガ『ヴィーナスはぁと』
 編集長:ロゼッタストーン 弘中百合子
 発行 :株式会社ロゼッタストーン
     (〒171-0021 東京都豊島区西池袋5ー27ー9ー101)
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