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2002年2月21日発行(毎週木曜日配信)
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          女性国会議員メルマガ『ヴィーナスはぁと』 第14号

  ***   ***  「ヴィーナスはぁと」に寄せられるお便りには、
 *****v*****  二通りあります。ひとつは政治に関する意見を
 ***********  述べたもの。もうひとつは、「いまのこの状況を
  *********  なんとかして!」という当事者からのSOSです。
   *******  今回取り上げたのは、子育てに関する問題。
     ***  質問というよりは、当事者からの切実な要望が目立
      *  ちました。その分、いつもより質問部分が長めですが、
    ご了承ください。


◇◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
目次
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■児童扶養手当の切り下げを見直してください
■公立保育園に、給食を導入してください

(回答者)
  瀬古由起子(衆議院議員・共産党)
  小宮山洋子(参議院議員・民主党)
  八田ひろ子(参議院議員・共産党)

■「姓」に関する質問への回答)
  小宮山洋子(参議院議員・民主党)

■「ヴィーナスはぁと」参加議員一覧

■編集後記

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  児童扶養手当の切り下げを見直してください
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※今回も、読者のみなさまから寄せられた質問、要望にお答えします。

(読者の要望)
 不況下でますます生活が厳しい母子家庭にとって児童扶養手当は命綱です。

 主に生別母子家庭に支給される児童扶養手当は、現在約70万母子世帯が受
給し、子ども一人の場合、月額42.370円(非課税世帯)か28.350円が支給さ
れています。

 しかし、厚生労働省は、来年度から「子どものしあわせを第一に考えた総
合的な母子家庭等の自立支援策」を行うと発表、その中で子育て支援や就労
支援、養育費確保などをする代わりに、児童扶養手当を見直し、支給期間を
5年間に短縮すると同時に、年収120万円から年収が1万円上がるごとに手当
を2000円減額し、非課税世帯からも減額措置を行うとしています。

 私たちは、この「母子家庭等の自立支援策」は子どもをより困窮化させ生
活保護受給世帯を増やす結果になると考えます。

 生別母子世帯の平均年収(児童扶養手当等も含む)は216万(『平成10年
度全国母子世帯等調査結果の概要』厚生労働省)で、パートの母子世帯が
38.4%に増加、悩みのトップに家計を挙げています。

 特に、収入200万円以下の母子世帯から手当を減額することは絶対に避け
るべきです。パートで年収が180万円(手当額含)という母子世帯が手当を
月額1万円程度減額されるのは過酷すぎます。

 母子家庭の就労支援の内容がきちんときまってないのに手当てだけが削減
される現状です。養育費は現在は2割の家庭しか受けられていない状況なの
に「努力義務」にしたところで解決につながるとは思えません。努力では駄
目です。強制的にとりたて機関をつくって支援してください。

 母子世帯の母への就労支援策を実施して効果があがったのちに、児童扶養
手当を見直すべきで、現時点では切り下げ案を撤回してください。

(母子家庭共和国主宰・新川てるえ)


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「命綱を切る大改悪。支給期間が5年間に限られるのも問題です」
 瀬古由起子(衆議院議員・共産党・東海)
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 児童扶養手当の受給者は母子家庭の7割を超える約70万人。このうち約半
数が改悪の影響を受けます。支給額が減らされることによって1万円から2万
円減る家庭が出てきます。

母子家庭の平均年収は236万8千円で一般世帯の3分の1ほどです。ところに
よっては生活保護基準以下の家庭もあります。まさに「命綱」を切る大改悪
です。支給額が少なくなるのとあわせて、支給期間を5年間に限られる改悪
は、これから子どもにお金がかかる時期にうちきられることになり、母子家
庭には死活問題です。児童扶養手当が18才まで支給されることを前提に離
婚したのに、将来設計が崩れてしまったと途方にくれている家族も少なくあ
りません。

5年前、年収上限を一気に切り下げ約6万人の支給停止を強行したのは小
泉厚生大臣でした。さらに小泉内閣は「構造改革」の名による母子家庭への
「痛み」を押し付けてきたのです。母子家庭の「自立に向けた相談活動の強
化」等を施策として言い訳程度にかかげていますが、母子家庭の母たちは必
死に働いているのです。それでもこの低賃金、不安定雇用です。「もっと働
け。児童扶養手当に頼らず自立せよ」とムチ打つのでなく、母子家庭には、
仕事と子育てが両立できる社会、男女平等の職場づくりで経済的に心配なく
暮らしていける保障をすることこそ政府の責任ではないでしょうか。


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「まず就労。また父親に払わせる。切り下げはそれからです」
 小宮山洋子(参議院議員・民主党・比例)
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「児童扶養手当の切り下げは、新川さんがいわれているとおりで、小泉改革
の痛みが、実際は弱い立場の人により強くという弱肉強食のひとつの形だと
考えています。

 母子家庭のお母さんたちは、必死に働いています。あるいは働こうとして
も、男の人でもリストラされる時代に、小さい子どもをかかえて、仕事は見
つからないのが実態です。中には、いくつもの仕事をかけもちしてクタクタ
になっている人もいます。就労支援をするから切り下げてよいということに
はなりません。

 また、離婚した父親がいるのだから養育費を払うべき、それも正論です
が、15%くらいの父親しか約束しても払っていません。努力するよう義務
づけるといっても、誰が払わせるのでしょうか。スウェーデンのように、給
料天引きにするなどしなければ実効性がありません。

 とにかく、まず、就労できるようにする、また父親に払わせるようにす
る。切り下げるとしても、それからのことで、順序が違います。

 予算全体からみたら、切り下げても、わずかのお金です。政治的に強い力
がないから、弱いところから切り捨てようというやり方は許せません。特殊
法人をひとつなくす、公共事業のやり方を見直すなどで何とかなる額なので
す。

 民主党では、予算の組換え要求の中で、児童扶養手当は、そのままにする
考えを明らかにしています。

 これは、法律改正ではなく、政令の改正でできてしまうので、国会でも機
会を作って質問はするつもりですが、世論をおこすことが必要です。


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「政府は、寡婦控除までなくし、手当て額を抑えようとしています」
 八田ひろ子(参議院議員・共産党・愛知)
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 児童扶養手当のカットは本当に許せません!

 2月13日の参議院国民生活・経済に関する調査会で、この改悪によって手
当が減らされる人が33万人にものぼることが明らかになりました(日本共産
党西山登紀子参議院議員の質問)。現在児童扶養手当を受給している人は、
母子家庭の7割を超える約70万人。約半数が改悪の影響を受けるのです。

 また、ご指摘の改悪のほか、厚生労働省は、これまで手当額を算定するさ
いおこなわれていた「寡婦控除」(現行27万円、特定の寡婦には35万円)を
なくし、手当額を抑えようと考えています。

 ご要望にもある通り、母子家庭の平均年収は、一般世帯の3分の1程度。
この原因は、多くの女性が差別的な不安定・低賃金労働を強いられ、男女の
賃金格差は、パートを含めれば女性は男性の49.8%(一時金などを含めれば
さらに格差は拡大)という状況を政府が放置しているからです。

 なぜ、子どもを育て、懸命にくらしている国民への生活保障のための手当
を減らすのか。本当に子どものことを考えているのか、怒りでいっぱいです。

 小泉内閣の2002年予算案は、全体的に大銀行・大企業向け施策には熱
心で、国民の福祉・暮らしには冷酷という性格が色濃く出ています。私たち
日本共産党は、党をあげて児童扶養手当削減という無慈悲な改悪は中止し、
拡充を、と要求していますが、みなさんとご一緒に大きな運動にしたいと考
えています。


◇◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
  公立保育園に、給食を導入してください
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(読者の声)
 私の育った発展途上国の中国では、30数年前から「朝、昼、晩」3回の
手作りの暖かい食事が保育園から提供されています。これこそは本当の「完
全給食」です。

 これによって兄弟3人とも産後9週目から安心して保育園に預けられて、
両親は仕事に専念でき、生涯のキャリアをまっとうすることができました。

ところが、日本の多くの公立保育園にいる子供達は、未だに毎日暖かいご
飯を食べることができず、自宅から持参した冷たいまずいご飯を食べていま
す!子供たちが持参したご飯は食べられるまで室温で4、5時間も放置されて
真冬でも真夏でも何の処置もされていません。冷めたご飯の味は当然美味し
くないし、味より衛生上に非常に問題があります。いつ食中毒になってもお
かしくないのです。

 日本の公立保育園にも給食を導入できないでしょうか。


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「公立およびすべての園で給食実施は必要だと思います」
 瀬古由起子(衆議院議員・共産党・東海)
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 子どもたちにとって食事は生活・成長にとって大変重要な一部です。

 ところが、私が今まで訪問した保育園のなかには弁当屋から取り寄せて大
人の辛めの弁当を分けて食べさせている園があって胸が痛みました。

 私の子どもは2人とも保育園で育ちましたが、離乳食から栄養のバランス
を考えた食事、手作りのおやつなど共働きでいそがしい私たちにとっても、
食事に対する位置付けの重要性の指摘やアドバイスは大変勉強になりました。
アレルギー除去食づくりにも挑戦してもらいました。

 公立はもちろん全ての園での給食実施は必要だと思います。そしてそのた
めの施設や人員の確保について国と自治体は責任を果すべきです。

 しかし「規制緩和」のもと、今まで実施していたところも継続が危ぶまれ
ています。これがどうして「改革」でしょうか。私が小泉首相に聞いてみた
い!


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「安全でおいしい給食を導入すべき。国は自治体に財政的援助を」
 八田ひろ子(参議院議員・共産党・愛知)
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 わたしが、子どもを預けていた自治体の公立保育園には給食(昼食)があ
り、当時地方議員の私にとって、大きな助けとなったことを思い出します。

 自治体ごとに違うのだと思いますが、基本的には、子どもたちに安全でお
いしい給食を導入すべきで、国が自治体に財政的援助をするのは当然だと思
います。


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 「夫婦同姓」以前の女性は、何割くらいの人が姓を持っていたのか
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※先日のメルマガで紹介した選択的夫婦別姓制度について、読者から質問が
寄せられました。

(読者からの質問)
夫婦同姓を強制する国は世界でわずかで、日本でも夫婦同姓になったのは明
治以降……と書いてありましたが、国民の何割が姓を持っていたか判ってい
たら教えていただきたい。名前はあったでしょうけど……。昔は名のるべき
姓は無くても人間同士のつながりは地域に密着して強いものがあったので
しょう。よろしくお願いします。

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「正確な統計は見当たらないが、多くの女性はもっていたのでは?」
 小宮山洋子(参議院議員・民主党・比例)
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 調べましたが、どれくらいの女性が姓を持っていたかという統計はないそ
うです。

 ただ、先日お答えしたとおり、太政官布告で平民に氏の使用が許された
後、1875年の太政官指令で、氏の使用が義務化されていますので、これ
に従ったのだと思いますから、多くの女性はもっていたのではないでしょう
か。
 追って、1876年に太政官指令で妻の氏は実家の氏を用いることとされ
たことも先日お答えしたとおりです。(「ヴィーナスはぁと」第11号参照)


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  「ヴィーナスはぁと」参加議員一覧
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「ヴィーナスはぁと」に参加してくださったのは、次の17名の方々です。
詳しいプロフィールを知りたい方、顔写真を見たい方は、ロゼッタストーン
ホームページで公開しています。⇒ http://www.rosetta.jp/

 ◇衆議院
  川田悦子 (無所属・東京)  瀬古由起子(共産党・東海)
  武山百合子(自由党・北関東)  中林よし子(共産党・中国)
  松島みどり(自民党・東京)  水島広子 (民主党・栃木)
  山内惠子 (社民党・北海道)  山口わか子(社民党・北陸信越)

 ◇参議院
  有村治子 (自民党・比例)  井上美代 (共産党・東京)
  岡崎トミ子(民主党・宮城)  小宮山洋子(民主党・比例)
  千葉景子 (民主党・神奈川)  八田ひろ子(共産党・愛知)
  広中和歌子(民主党・千葉)  福島瑞穂 (社民党・比例)
  吉川春子 (共産党・比例)

                         計17名(敬称略)


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  編集後記
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 前回、「議員の質問は官僚が考えているのか」というテーマを扱ったとこ
ろ、読者の方から、「予算委員会で、『金(きん)だけが上がっている』を
『金(かね)だけが上がっている』と発音している議員がいた。自分で質問
をつくっていたら、決して間違うはずがない間違いだ。大物議員でもこの程
度か、とがっかりした」というメールをいただきました。

 先日、ロゼッタストーン本誌でヴィーナス議員の川田悦子さんを取材した
ところ、「無所属だと、どんなに勉強していても、国会で質問できないのが
辛い」と嘆いていました。

 最終的に決定するのは多数決だとしても、質問は、その案件に深い知識と
関心を持っている議員ができるしくみがほしいなあと思いました。

 みなさまからのご意見、ご質問は、私が責任をもって議員の方々に届けて
います。「ひとこと言いたい!」「これを聞きたい!」という方は、どうぞ
お気軽にメールをお寄せください。(ロゼッタストーン・弘中百合子)

 ご意見、ご質問は vheart@rosetta.jpまでお願いします。


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■次号予告
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次回も「保育問題」がテーマです。
◆瀬古由起子(共産党)
◆小宮山洋子(民主党)
◆八田ひろ子(共産党)

ほか
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女性国会議員メルマガ『ヴィーナスはぁと』
 編集長:ロゼッタストーン 弘中百合子
 発行 :株式会社ロゼッタストーン
     (〒171-0021 東京都豊島区西池袋5−27−9−101)
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