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2002年7月25日発行(毎週木曜日配信)
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          女性国会議員メルマガ『ヴィーナスはぁと』第36号

  ***   ***  台風が続けて来たかと思えば、うだるような暑さ!
 *****v*****  体調を崩している人も多いようですが、みなさまは
 ***********  大丈夫ですか?
  *********  「疑惑国会」といわれるほど、スキャンダルが続いた
   *******  いまの通常国会は、今月31日に閉会します。
     ***  会期末を控え、ヴィーナス議員たちの胸のなかにも、
      *  さまざまな思いが交錯しているようです。


◇◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
  目次
 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◇◆
■緊縮財政だからこそ、未来への先行投資を
   有村治子(参議院議員・自民党)

■第154回国会の終わるに当たって
   広中和歌子(参議院議員・民主党)

■戦争犯罪と、性奴隷を裁き、「慰安婦」の心の平穏を取り戻す法律を
   吉川春子(参議院議員・共産党)

■選択的夫婦別姓制度実現に向けて…国会論議の現状
   千葉景子 (参議院議員・民主党)

■ 「ヴィーナスはぁと」参加議員一覧

■ 編集後記


◇◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
  国会閉会を前に、ヴィーナス議員たちは何を思っているのか?
 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◇◆
 最近の「ヴィーナスはぁと」では、各議員に複数のテーマを提示し、書き
やすいテーマを選んでもらっています。そのなかには、「自由テーマ」とい
う項目もあるので、ヴィーナス議員から寄せられる原稿には、ますます個性
が出てきました。

 それぞれのヴィーナス議員が、いま何を思っているのか、これから何をし
ようとしているのか、じっくり読んでみてください。


■◇■==============================================================
 緊縮財政だからこそ、未来への先行投資を
             有村治子(参議院議員・自民党・比例)
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 議席を与えられた若手の一人として、日本の足腰を強くする先行投資をし
ていかねば、現役世代・次世代の限られた財源が、いつまでたっても対処療
法的で、過去の清算的な政策に注ぎ込まれるのでは・・・との危機感を持っ
ています。

 そこで今日は、昨年夏の選挙公約で掲げた「美しい日本語、使える英語の
普及」について、書いてみようと思います。外国語について不必要な劣等感
にさいなまれることなく、また私立学校や語学学校に莫大な資金をつぎ込む
という方法を選ばずとも、公立学校での教育において一定の、英語による実
践的なコミュニケーション能力が培われるような環境を整備していくことが、
今後のポイントだと考えています。

●まず英語教員の、語学力・教える力の向上

 中学・高校で英語を教える先生は、全国で約6万人です。実は今まで英語教
員の、英語力を測定する基準が、あいまいでした。先日全国紙でも報道され
ましたが、文部科学省は、英語教員が持つべき語学力の目標として、ようや
く「英検準1級程度」と具体的に打ち出しました。

「英語が話せる英語教員が、教育現場に少ない」との批判がしばしばなされ
ますが、意欲があっても今まで「生の英語」によるコミュニケーションに接
する機会が極端に少なかった現職の先生方にも、「聞き・話す」ことに重点
を置いた研修に参加する機会と予算を設け、プロフェッショナルとしての先
生の能力向上を応援することも、大事だと考えます。良い先生が、学生の可
能性を広げてくれるからです。

●「本物」に触れる、安心して挑戦する場を

 完璧を目指して、文法のあまりにも細かい部分にこだわるのではなく、実
践的なコミュニケーションを学びとるために、学生が、学んだことを安心し
て実践し積極的に英語を使う環境を、日本国内の教育現場に設けることも必
要です。

 中学・高校の授業で、週に1度以上はネイティブスピーカーの外国人の先生
に授業参画してもらえるような環境整備が、当面の目標です。

●高校・大学生・社会人の留学機会を増やす

 留学が門戸狭き特別な学習機会でなく、夢を持って努力する人が、未来を
切り拓いていくための1つの学習手段として、定着することを強く望んでいま
す。

 私自身も、伊藤国際教育交流財団という民間の善意からなる奨学金をいた
だき、これによって海外の大学院留学が実現しました。たとえば日本中の各
高校から、毎年少なくとも2名ずつ、留学するという目標を掲げると、留学を
経験している高校生を現行の4,000人から、年間10,000人までに増やす計算に
なります。

 日本人が海外に出て、困難が立ちはだかる他流試合「=アウェイ・ゲー
ム=」の苦楽を経験すると、日本をより客観的にとらえ、長期的には日本
人・アジア人としてのアイデンティティを強く持った国際人が増え、欧米先
進国ばかりに目を向ける傾向が強かった日本人の視点に、複眼的思考が加わ
るとみています。

●最終的には、「英語で専門領域の仕事ができる日本人」を何人育てられる
 か

 英語というコミュニケーション手段を使って、例えば営業活動、農業交渉、
研究開発、ボランティア活動やインターンシップ、国連など国際機関での協
働プロジェクト、国境を越えた医療活動、NGOやNPOの活躍など、各人の得意
分野で国際的なリーダーシップが発揮できる日本人を育んでいくことが求め
られています。

 日本が先進国の一員で居続けようとするのであれば、「ハロー、ハゥアー
ユー?」という最初の挨拶で、外国語にひるむことがないよう「英語を学ぶ」
ことも大事ですが、その段階から⇒「趣味や仕事で英語を使う」⇒「英語で
自分の領域の仕事をする」ことができる日本人を、戦略的に養成していくこ
とが必要だと考えています。

●外国語習得には、何よりもまず国語力

 国際社会における日本の存在感は、単なるODAの予算のみならず、結局、
日本のおかれている現状や文化・歴史的背景を知った上で、自分とは異なる
文化圏の伝統や風習に対する理解や好奇心を兼ね備えた発信型のコミュニケー
ション能力を持った人材を、日本としてどれだけ育成できるかにかかってい
ると言っても過言ではないでしょう。

 理解力・表現力・論理構築能力の基本は、やはり母国語である日本語なの
で、外国語による実践的なコミュニケーション能力を主張する時こそ、しっ
かりとした国語力の重要性を痛感します。自戒の念を込め、この点を改めて
強調したいと思います。

●人格的にも能力的にも、対等に渉りあえる日本人に

 私の限られた人生経験においても、海外の人々と対等に渉りあってモノを
言えなかったがゆえに、不条理な待遇や条件を突きつけられたり、くやしい
思いをした日本人を、数多く目にしてきました。今回のとりくみは、この
『道具としての英語を使えないことによって、不利益を被り続けることのな
い日本をめざしていこう!』とするものです。

 ちょっぴり背伸びして欲を言えば、「国際社会で知的リーダーシップをと
れる日本人になっていくための、勇気と現実的手段をご一緒に持っていきま
せんか?」という私たち、現役世代・次世代への呼びかけでもあります。


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 第154回国会の終わるに当たって
           広中和歌子(参議院議員・民主党・千葉)
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 昨年9月から3つの委員会に所属している。外交防衛委員会、金融問題及び
経済活性化に関する特別委員会、そして国家基本政策委員会である。

 外交防衛委員会では、実に多くの課題に直面した。9-11のアメリカ同時多
発テロに始まり、アフガニスタンにおけるアメリカを中心とする多国籍軍に
よるタリバン打倒と新政権樹立、イスラエル・パレスチナ問題とインド・パ
キスタン間の更なる緊張の高まり、日本周辺における不審船問題、中国・瀋
陽事件、外務省不祥事と鈴木宗男事件、田中眞紀子外務大臣辞任と川口外務
大臣の下での外務省改革、ODAのあり方等々。人気の田中外相在任中は、TVカ
メラが外交防衛委員会室に5、6台来ていたのが、辞められてからは1台になっ
た。それでも委員会は週2度確実に開催され、熱心な討議が行われてきた。

 金融経済特別委員会では途上国支援、貧困解消の手段としてのマイクロ・
クレジット、つまり小規模融資について、私はわが国でも女性や中高年の起
業支援に利用できないかという立場から質問した。

 私が参議院側の委員長に任命されている国家基本政策委員会(いわゆる党
首討論)はこの1年間、委員会が開催されたのはわずかに5回に過ぎない。国
会の活性化を期待し、毎週1回開催されるはずの党首討論が、なぜこの有り様
なのか。総理が他の委員会、例えば、予算委員会にその週1回でも出席を要請
される場合は例外とされるのだが、昨年9月私が委員長になって以来、予算委
員会のみならず、他の委員会でも重要法案の審議に総理の出席が求められ、
それを理由に党首討論は行われていない。そんな週ばかりが続き、従って、
冒頭申し上げたような事態となっている。

 つまり、この党首討論が開催されないのは他の多くの委員会との総理の取
り合いの結果であり、総理がどこの委員会に出席するかを最終的に決めるの
は衆・参の国会対策委員会のメンバーである。

 委員長に就任する時から、前任者に「この委員会ではフラストレーション
がたまりますよ」と言われていたが、開催されない委員会の委員長ぐらい気
の抜けた話はない。

“毎週開催”の代わりに“月一回”とし、総理の他の委員会出席条件を取る
など、新たな工夫をするか、それが不可能なら、このようにほとんど開催さ
れない有名無実の委員会は廃止した方がよい、という提言を残して、私は今
国会をもって国家基本政策委員長という役目から解放される。


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 戦争犯罪と、性奴隷を裁き、「慰安婦」の心の平穏を取り戻す法律を
             吉川春子(参議院議員・共産党・比例)
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 7月23日、参議院内閣委員会は立錐の余地もないほど満員の傍聴者が見
守る中で「戦時性的強制被害者(=慰安婦)問題解決促進法案」が行われま
した。

 いつもの委員長の近くの席から反対側の大臣席に移動し、岡崎、円、千葉、
八田、田嶋、大脇議員と一緒に座りますと緊張が走りました。「自民党の答
弁にうまく答えられるかな」ふと不安がよぎったりして・・・。

 10年間この問題に取り組んできた私としては、やっと法案審議にこぎつ
けた感慨を覚えます。「画期的なことだね」と声がかかります。それもその
はず、日本の国会で「慰安婦」法案の審議は開闢(かいびゃく)以来のこと
ですから。

 元「慰安婦」は名誉回復を求めています。政府の真摯な謝罪がほしいので
あってお金がほしいのではないのです。失った青春、人生を返してほしいの
です。それが叶わないならばせめて「商行為だろう」「金儲けのために性を
売ったんだろう」「本人にもスキあがったのではないか」こんな心ない言葉
に二重に心が引き裂かれた、その汚名を晴らしたいのです。

 質問者に立った野党男性議員の質問も圧巻でした。吉岡吉典議員は
1964年からこの問題に取り組んでいるベテラン議員として、島袋宋康議
員は沖縄に慰安婦も慰安所もたくさんあったことの事実に立って、また若干
35歳の黒岩議員はこの法案を世界で起きている性暴力廃絶の入り口にする
べきという主張でそれぞれ聞かせました。

 傍聴席にいる、宋神道(そん・しんどう)さんの「慰安婦」としての体験
を岡崎トミ子議員が読み上げました。傍聴席で涙をぬぐう姿がありました。
感想を聞かれて、杉浦外務副大臣は「一人の人間としては胸がふさがる思い」
と答弁しながら、他方「慰安婦問題は解決積み」を繰り返しつつ、「これで
全て終わったとは思えない」などと、迷走答弁に終始しました。

 有事法制のかかる国会に侵略戦争反省の法案審議がされた意味は少なくあ
りません。「慰安婦」問題に決着を付けることが日本の平和、女性の人権保
護に不可欠です。この法案が成立する日めざして頑張っています。


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 選択的夫婦別姓制度実現に向けて…国会論議の現状
              千葉景子 (参議院議員・民主党・神奈川)
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 参議院法務委員会で7月23日、昨年(平成13年)11月に野党3党
(民主、共産、社民)で共同提案し、今通常国会に継続審議になっていた選
択的夫婦別姓制度を軸とする民法改正案の趣旨説明が行われました。このま
ま、次の臨時国会に継続される見通しです。

 法制審議会が平成8年2月に改正要綱を決定して以来6年余り経過し、世
論調査の結果も制度導入への賛成意見が反対を上回る状況になり、男女共同
参画会議も制度の導入を希望する旨の中間取りまとめを出しているにもかか
わらず…もう、我慢ならぬ気持ちです。自民党の一部にある強い反対意見に
なぜ多くの人々の声がつぶされねばならないのでしょうか。

 今年に入り、実現が期待される状況がいくつかありました。4月、法務省
は「例外的な形ではあるものの夫婦別姓を認める」民法改正試案をまとめ、
自民党法務部会に提示、森山法務大臣も政府案の提出に向けて強い意欲を示
されました。私たちも大いに期待し、与野党でまとまるものなら“例外的”
な形でも良いから実現を待ち望んでいる人々に応えていきたいと思いました。

 ところが、この“例外的”な案ですら自民党法務部会はまとまらず、森山
大臣も今国会での政府案提出の断念を余儀なくされたようです。与党内にも
ある議員立法の動きに「…その成果を期待したい。…目的は同じですから、
それはそれで一つの方法だと思います」と述べられました。

 自民党にあっても、野田聖子衆議院議員を中心に努力が続けられてきたこ
とを承知していますが、今国会提出は断念されたとのこと。7月16日に自
民党の夫婦別姓制度導入推進派のみなさんが「例外的に夫婦の別姓を実現さ
せる会」を結成し、秋の臨時国会をめざすとのことですが、家庭裁判所の許
可を要件にするなど、当初からみると内容が大分変容してきたことは残念で
す。

 私にとって議員としての活動の主要なテーマで、初当選以来一貫して取り
組み続けてきたものでもあり、原点を踏まえて一歩踏み出すことができるよ
う引き続き頑張りたいと思っています。

 7月23日、趣旨説明の折、別の法案の趣旨説明のために森山法務大臣が
私の隣に着席されました。「本当は森山さんが民法の趣旨説明をされるはず
だったのに。今日は私が土台づくりをさせていただきます。みんなでいっしょ
に実現したいですね」と声をおかけしたところ、森山さんにも頷いていただ
きました。

 臨時国会で成果を挙げることができるよう、皆さまにも暖かい応援を引き
続きお願いします。


◇◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
  「ヴィーナスはぁと」参加議員一覧
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「ヴィーナスはぁと」に参加してくださったのは、次の16名の方々です。
詳しいプロフィールを知りたい方、顔写真を見たい方は、ロゼッタストーン
ホームページで公開しています。⇒ http://www.rosetta.jp/

 ◇衆議院
  川田悦子 (無所属・東京)  瀬古由起子(共産党・東海)
  武山百合子(自由党・北関東)  松島みどり(自民党・東京)
  水島広子 (民主党・栃木)  山内惠子 (社民党・北海道)
  山口わか子(社民党・北陸信越)

 ◇参議院
  有村治子 (自民党・比例)  井上美代 (共産党・東京)
  岡崎トミ子(民主党・宮城)  小宮山洋子(民主党・比例)
  千葉景子 (民主党・神奈川)  八田ひろ子(共産党・愛知)
  広中和歌子(民主党・千葉)  福島瑞穂 (社民党・比例)
  吉川春子 (共産党・比例)

                         計16名(敬称略)


◇◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
  編集後記
 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◇◆
 ほんの数日前に国会で起きたできごとを、国会議員から直接教えてもらえ
るというのは面白いなあ、と思います。新聞やテレビでは、審議の内容が報
道されるだけですが、当事者は嬉しさ、悔しさ、怒り、希望、無念さ、緊張
感…、いろんなものを抱えて闘っているのだ、ということが伝わってきます。

 できるだけ最新情報を掲載できるように、「ヴィーナスはぁと」ではギリ
ギリまで原稿を待って、作業をしています。というわけで、なかなか配信時
間が安定しないのですが、木曜日中には必ず配信しますので、どうぞ大目に
見てくださいね。


                   (ロゼッタストーン・弘中百合子)

ご意見、ご質問はvheart@rosetta.jpまでお願いします。

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●子どもたちは何処へ行くの?ー未来に向けて考える「理想の教育」
有村治子議員、広中和歌子議員、吉川春子議員、山内惠子議員が登場!
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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■次号予告
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 次回は次の方々が登場します。

 ◆川田悦子議員(無所属)
 ◆瀬古由起子議員(共産党)
 ◆山内惠子議員(社民党)
 ◆水島広子議員(民主党)

※議員の顔ぶれは変更する場合もあります。ご了承ください。


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女性国会議員メルマガ『ヴィーナスはぁと』
 編集長:ロゼッタストーン 弘中百合子
 発行 :株式会社ロゼッタストーン
     (〒171-0021 東京都豊島区西池袋5−27−9−101)
Copyright(C)ロゼッタストーン 許可無く転載することを禁じます
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