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2002年8月8日発行(毎週木曜日配信)
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          女性国会議員メルマガ『ヴィーナスはぁと』第38号

  ***   ***  国会が閉会し、ヴィーナス議員たちも、地元に帰ったり、
 *****v*****  海外に視察にいったりと、永田町を離れている人が多い
 ***********  ようです。でも、「ヴィーナスはぁと」は、夏休みなしで
  *********  発行します。インターネット時代は、どこにいても、メー
   *******  ルのやりとりができるのがいいですね。
     ***  一昨日8月6日は、広島の57回目の「原爆の日」でした。
      *  終戦記念日も近づき、「平和」について考えたくなる季節です。


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  目次
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■“八月や、むいか、ここのか、じゅうごにち”
  岡崎トミ子(参議院議員・民主党・宮城)

■2人の勇気あるアメリカ女性に会って
  井上美代 (参議院議員・共産党・東京)

■「ヴィーナスはぁと」参加議員一覧

■編集後記


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  バーバラ・リーさんって、いったい何者?
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 今回は、偶然、岡崎議員も井上議員も、バーバラ・リーさんという女性の
お話でした。彼女は先日来日した、アメリカ民主党の下院議員。ふたりの
ヴィーナス議員は、彼女のどこに魅力を感じたのでしょうか。

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 “八月や、むいか、ここのか、じゅうごにち”
               岡崎トミ子(参議院議員・民主党・宮城)
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 原爆投下、敗戦から57年目の夏を迎えました。被爆者は高齢となり、原爆
の実相を知る人は年々少なくなり、戦争は風化しつつあります。しかし世界
に目を向けると、数十カ国が紛争のさなかにあります。

そんななか昨年の9月11日、米国で同時多発テロ事件がおきました。これまで
私たちが積み上げてきたつもりの平和が、根底から破壊されたような衝撃が
あり、世界中の人々に恐怖と不安を抱かせ、同時に怒りと深い悲しみをあた
えました。

そして空爆から3日後の9月14日、テロの原因が分からないまま、米国議会は
ブッシュ大統領に武力行使の権限をあたえる決議を採択しました。最初に世
界貿易センタービル崩壊のニュースを見たときに感じた、“報復戦争”が始
まるかもしれないという恐い予感が的中したのです。

この決議採択から2日後の朝日新聞の記事で、私は米国民主党の下院議員、
バーバラ・リーさんの名前を初めて知りました。報復戦争決議にただ一人反
対票を投じた議員です。

この囲み記事は、彼女がこれまでもイラクへの爆撃支持の決議にも反対し、
コソボ紛争の際の軍事行動にもただ一人反対したことも伝えていました。そ
の後、バーバラ・リー議員を日本に招聘する計画がNGOの皆さんを中心に持ち
上がりました。

我が朋友にして盟友である、同じく民主党の金田誠一衆議院議員が市民の皆
さんとアメリカに出向くなどして、ついに8月2日、彼女の日本講演会が実現
しました。私も、バーバラ・リーさんを呼ぶ会の呼びかけ人の一人となりま
した。

当日、講演の行われたホテルの会場には2000人の皆さんが詰めかけ、彼女の
言葉に熱心に耳を傾けてくださいました。

報復戦争決議に反対した理由について彼女は、この決議が大統領に「テロを
おこなう、または援助する、またはかくまう国、組織、個人に対する武力を
行使する権限」を、世界中どこにでも適用される形で、しかも無期限に与え
るものであり、このような広範な権限を大統領ひとりに与えることは反対だ、
宣戦布告をする権限は憲法上、議会にあるはずだ、と語りました。合衆国憲
法を何度も読みなおしているという、彼女らしい言葉です。

バーバラ・リーさんは、偉大な反対者であるだけではありません。彼女は、
「平和とは、緊張がないと言う状態ではなく、正義が存在することである」
というキング牧師の言葉を引用し、積極的に平和を創る意思を明確に示しま
した。

その意思を具体的なかたちとして提起したのが、テロに先立つ7月、彼女が同
僚議員とともに提出した「平和省設置法案」です。これは、閣僚レベルの平
和長官を設け、平和を実現するために正義と民主主義を促進し、また、具体
的に方策をたて、アメリカおよび世界の紛争を話し合いなどによって解決し
ていこうとするものです。

「9月11日のテロ後、閣議での議論の際に国防省長官の横に平和省長官が座
り、外交政策、安全保障戦略を議論したら事態は違っていたでしょう。戦争
は犠牲をともないます。こうした試みを通して私たちは平和を現実的なもの
にしなければなりません」と語ってくれました。

アメリカの一国主義的傾向に警鐘をならす彼女はまた、平和を望む世界の市
民が連帯することの重要性を訴え、さらに、私たちひとりひとりの行動を求
めました。

戦争の過去をみつめ、現在を問い、未来に向けて決意を新たにする8月という
月に、彼女の次の言葉に出会えたことを大切にしたいと思います。

「平和こそが私たちの最終目標であり、その実現のために、私たちは行動し
なければなりません。私たちが行動しなければ、誰も平和を構築してくれな
いからです」

「私たちはそれぞれの信念に基づいて、何が大切かという自分自身の基準を
持って、困難な道を突き進んでいく必要があります。そうしてこそ、テロに
よる自由の侵害を防ぐことができるのです」


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 2人の勇気あるアメリカ女性に会って
                井上美代 (参議院議員・共産党・東京)
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 私はこの夏、平和を願う2人のアメリカ女性に会いました。1人はバーバ
ラ・リーさん(東京と広島で懇談)、もう1人は同時多発テロで弟を失った、
リタ・ラザールさん(福岡と広島で)。

 バーバラ・リーさんは、テロ事件直後の昨年9月14日、米連邦議会が
「必要で適切なあらゆる軍事力を行使する権限」をブッシュ大統領に与える
決議に、ただ1人反対したカリフォルニア州(バークレー・オークランド)
選出の民主党下院議員です。

 彼女は、98年12月のイラク爆撃を支持する決議にも、99年3月のコ
ソボ紛争への軍事行動にも反対票を投じた勇気ある女性です。

 彼女から直接聞いた話を紹介します。

「(決議は)どんな人物、どんな国でも軍事力を行使できるという、かなり
広範な権限を大統領に与える決議案であった」

「私は反対した方がいいと考え、反対票をいれてみたら自分1人だった。同
僚議員で反対といっていた人もいたが、反対票には至らなかった」

「戦争については冷静でなければ、罪なき人々を犠牲にしてしまう。“平和
な戦争”というものはありえない」

 そして「今、アメリカが対応しているのは、イラクへの攻撃だ。一般の間
でも、議会でもそのことが議論されている」「暴力は暴力を生むしかない」
と強調しました。この主張は、私の思いと重なります。

 リタ・ラザールさんは言いました。

「飛行機が突っ込んだとき、弟は同僚と一緒でした。この友人は四肢マヒで
容易に動けないので、一緒に避難に加わらず待機しました。しかしビルは炎
に包まれ崩れ落ち、まもなく2人とも死んだのです」

「私は“遺族”と呼ばれています。でも、私はむしろ自分のことを
“目撃者=証人”であると考えています。弟の死が、罪もない人たちの死を
正当化するために使われることを知ったとき、私の悲しみはもう耐えられな
いものとなりました」と。

リタさんは「平和な明日をめざす9月11日の家族の会」のメンバー。「同
じように暴力の犠牲となった世界の人々との共通を見つけ出すこと」と、ア
フガニスタンを自分の目で見て、米軍の爆撃の犠牲者のために「アメリカ議
会に補償基金をつくらせることだ」と言います。

そして「何の罪もない家族がこれ以上苦しみを受けないよう活動し、戦争が
つくり出す、果てしない暴力の悪循環を断ちたい」と述べました。

私は、この勇気あるアメリカの平和の心に学びます。支配者・大統領は、
「今年は戦争の年」と言いましたが、アメリカ国民の間には脈々と平和への
心が育まれているのです。

 7月31日に終わった通常国会では、有事法制関連3法案の成立をはばみ
ました。政府は、次の臨時国会で成立させようとしています。世界における
アメリカの介入戦争に日本も参加し他国の人民を殺戮することになる、また
日本国民の1人ひとりに戦争協力を義務づける法案、絶対に許すわけにはい
きません。

 国際紛争は、正義と国連憲章、国際法で裁くしかない、平和的手段で解決
するしかないのです。日本国憲法の平和的原則と9条を高く掲げ、世論と運
動で廃案に追い込む、アメリカ女性2人の勇気と行動にこたえることになる
でしょう。命を育む女性こそ、全力で命輝く世紀を築くときではないでしょ
うか。


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  「ヴィーナスはぁと」参加議員一覧
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「ヴィーナスはぁと」に参加してくださったのは、次の16名の方々です。
詳しいプロフィールを知りたい方、顔写真を見たい方は、ロゼッタストーン
ホームページで公開しています。⇒ http://www.rosetta.jp/

 ◇衆議院
  川田悦子 (無所属・東京)  瀬古由起子(共産党・東海)
  武山百合子(自由党・北関東)  松島みどり(自民党・東京)
  水島広子 (民主党・栃木)  山内惠子 (社民党・北海道)
  山口わか子(社民党・北陸信越)

 ◇参議院
  有村治子 (自民党・比例)  井上美代 (共産党・東京)
  岡崎トミ子(民主党・宮城)  小宮山洋子(民主党・比例)
  千葉景子 (民主党・神奈川)  八田ひろ子(共産党・愛知)
  広中和歌子(民主党・千葉)  福島瑞穂 (社民党・比例)
  吉川春子 (共産党・比例)

                         計16名(敬称略)


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  編集後記
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 どんな状況でも、たったひとりで反対するというのは、とても勇気のいる
行動だと思います。日本のように、「和」を大事にする社会では、なおさら
です。でも、自分の信念を曲げずに主張することは、政治家の原点。ヴィー
ナス議員たちも、古い永田町体質の「数の力」に負けないで、頑張ってほし
いですね。

 当たり前だと思っていた「平和」が、だんだん努力しないと得られない貴
重なものになりつつあるような気がします。どうすれば平和な世の中であり
つづけられるのか、それを考えることは、「ヴィーナスはぁと」の大きなテー
マです。

 「平和」のために日本はどうあるべきか、ぜひ、みなさまもご意見をお聞
かせください。

                   (ロゼッタストーン・弘中百合子)

ご意見、ご質問はvheart@rosetta.jpまでお願いします。

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■次号予告
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 次回は次の方々が登場します。

 ◆武山百合子議員(自由党)
 ◆八田ひろ子議員(共産党)
 ◆小宮山洋子議員(民主党)
 ◆福島瑞穂議員(社民党)

※議員の顔ぶれは変更する場合もあります。ご了承ください。


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女性国会議員メルマガ『ヴィーナスはぁと』
 編集長:ロゼッタストーン 弘中百合子
 発行 :株式会社ロゼッタストーン
     (〒171-0021 東京都豊島区西池袋5−27−9−101)
Copyright(C)ロゼッタストーン 許可無く転載することを禁じます
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