10.
緑の目の吟遊詩人
その日以来、少女は夏至の日を怖がり、フィ ンバラという名前を何度も忘れようとした。し かし、あれから20数年経った今でもふと、 その名前を思い出してしまうのだ。それも、 逃れられないようなストレスを感じた時に。 そうね、だってあの頃はわたしの人生で一番 幸せな時だったから。人間にだって帰巣本能 はあるわ。帰りたいと願う思い出がある。
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