19. 緑の目の吟遊詩人
 
 
 カミーユはフィンバラに、悪魔というより 仮装した映画俳優のような生身の人間を感じ た。もしかして、わたしの声をきいた村の誰 かがからかっているのかも?
 つかつかと、カミーユはフィンバラに近づ いた。
 
 
 近くで見れば見るほど、フィンバラはとて も美しかった。これほどの美男はハリウッド でもお目にかかれないと、カミーユは思った。
 これは夢だわ。カミーユは悟る。だから、 何をしてもいいはずよ。それに、これが現実 だとしても、わたしに失うものなどないわ。
 
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