6. 緑の目の吟遊詩人
 
 詩人は泣いている。しかし、黙ったまま。
 女はその膝に倒れ込む。

 詩人の傍らの鳥が一斉に飛び立つ。
 「ねえ、わたしは美しい。わたしを差し上げるわ。だから歌ってちょうだい!」

 
 
 詩人は美しい緑の目に涙を光らせて、とても悲し気に女の顎に手をかけた。
 月明かり、詩人は女にキスする。
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