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バックナンバー Vol.23

ブラザーフッド
21グラム
トスカーナの休日

第一回東京平和映画祭レポート ■ ■ ■
 うだるような暑さの中、平和を祈るさらに熱い人々であふれた東京平和映画祭に行ってきました。 第一回目となる今回は、核汚染の実態を伝える『ヒバクシャ』などを含む6本のドキュメンタリーを上映。 その中で私が見たのが『テロリストは誰?』というアメリカのドキュメンタリー映画です。 80年代から現在までの10のドキュメンタリーフィルムを編集したオムニバス映画で、元CIA高官らによって語られる内容はかなり衝撃的。 なんとなく分かっていたアメリカ政府の裏の顔をストレートな形で暴いていました。 第二次大戦以降、アメリカは民主主義と自由の名の下に、頼んでもいないのにラテンアメリカを筆頭にしたいろんな国に首を突っ込んで、 民主的な選挙で選ばれた政権を倒して親米政権を作り上げてきた。 その戦争好きでおせっかいな外交政策は、裏を返せば大量虐殺、その犠牲者は何百万人もの現地民たち。 これって今のイラクで起きていることとまったく同じですよね。願わくば、この映画が多くの日本人に見られますことを!
公式サイト http://www.wa3w.com/ 
(山本聡子)
=1点、=0.5点。最高得点=5点
ブラザーフッド

監督:カン・ジェギュ
出演:チャン・ドンゴン、ウォンビン
配給:UIP映画 
http://www.brotherhood-movie.jp/
ブラザーフッド

中沢志乃     ★★★★☆
 圧巻。衝撃的。朝鮮戦争によって運命を狂わされた兄弟の物語だが、正直、映画館のイスに釘付け。固まった。 戦場の映像、人物描写、どれをとってもハリウッド映画とはかけ離れたリアリティがある。深い、重厚、すごい!  変にヒーロー感を出すわけでもなく、でもしっかりエンターテイメント。伏線バリバリ。韓国映画のすごさに改めて圧倒された。 今をときめく韓流スターの演技力も半端じゃない! ☆アーンド、やっぱり戦争反対。何のために命を奪い合うのか?非常に意味のある映画。
みちのく     ★★★★
「韓国映画もここまできたか〜!」と驚きました。言ってしまえば、ミーハー気分で観られるような映画ではなかったですね。 超絶リアルな戦闘シーンに、物凄い臨場感。恐怖で息をするのを忘れるくらいでした。そしてすれ違う兄弟愛が、また切ないのですよ。 戦争なんていつでも残酷なものなんだけど、その残酷さが嫌という程描かれていて、どうにもやるせない気分にさせられます。 …しっかし、お兄ちゃんのとった、最後の行動。何故そうなるんだ〜っ(号泣)
波多野えり子  ★★★★
 日本映画と韓国映画、同じアジアなのに、今明らかに韓国映画の方が勢いを増している。何が違うのか?  理由はさまざまだろうけど、ひとつにはスクリーン映えする俳優が今の日本に少ないせいだろう。 そういった点で、本作におけるチャン・ドンゴンの魅力はすごい! そもそも朝鮮戦争という記憶に新しい現実を題材にしているわりには、 この兄弟のエピソード自体はちょっとフィクションっぽい。何せフツーの一靴職人が、戦場では一躍無敵の英雄となってしまうのだから。 なーんて突っ込みを入れつつも、最後は泣きじゃくって見ていた。今年に入って「ビッグフィッシュ」以来かも。 あの甘いマスクはもちろんのこと、(私はヨン様より彼が好み…)全身全霊が込められた演技から目が離せない。
三笠加奈子   ★★★
“時代に翻弄される”というより、“時代に翻弄されやすい”兄弟を描いた超大作。 『プライベート・ライアン』に負けるとも劣らない爆撃シーンは、かなりの見応えがありました。 だって、初めて見ましたよ、カメラのレンズに血のりが飛びついたのを。ふつうの戦争映画はスクリーンの1メートル先で戦闘が起こりますが、 この作品は奥行きが1ミリもありません。勢いあまって、血のりがレンズにべったりです。とはいえ、ちょっとストーリーが荒かったような・・・。 いくら壮絶な時代だったとは言え、お兄さんも兄さんの嫁も、弟も運命に遊ばされすぎです。もうちょっと地に足がついた生き方をしてほしい。 キャラひとりひとりの人生が荒いから、ラストもそんなに泣けなかった。


21グラム

監督:アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ
出演:ショーン・ペン、ナオミ・ワッツ
配給:ギャガ=ヒューマックス
http://www.21grams.jp/
ビッグ・フィッシュ

伊藤洋次    
★★★★
 さすが、という表現がピタリ。初めはショーン・ペンら主役3人の卓越した演技と時間を断片化した作りに、出来過ぎた感や分かりにくさがあったものの、 最後モーテルで3人が争う場面で覆され、一気に引き込まれました。3人の存在感やバランス、そして特に眼の表情がいい。 彼らの眼の力強さが、どっしりと重厚な展開を引き立てていました。それと実はベニチオ・デル・トロってこれほど上手いとは知らなかった。 しかも『プレッジ』にも出ていたなんて・・・反省。今後注目します。
Kozo      ★★★★
 ショーン・ペン、ナオミ・ワッツ、ベニチオ・デル・トロの抑えた、 落ちついた演技がすばらしかったのとシャルロット・ゲンズブールの少したどたどしい英語での演技がいいアクセントになっていた。 でも過去、現在が錯綜する編集は賛否両論あると思う、が、僕は普通に編集していたら緊迫感が薄れてつまらなくなっただろうと思う。
久々に緊張感あふれる映画を見た。
にしかわたく  ★★★
 「アモーレス・ペロス」で一躍脚光を浴び、ハリウッド進出を果たしたイニャリトゥ監督。ハリウッドシステムに負けずに自分の映画を撮りきったが、 前作にあって今作にないものが・・・それはメキシコシティという舞台が放っていた独特の魅力。 「21グラム」は、監督のエゴがからまわりする、ただひたすら深刻なだけの凡作になってしまった。 ショーン・ペンやベニチオ・デル・トロの濃い演技もやや食傷気味。あまりのクソ真面目さに、だんだん腹が立ってくる。 いい俳優なのはよくわかってますから、もっと楽しい映画作りましょうよ、みなさん。
中沢志乃    ★★
 ショーン・ペンが出ているというだけの理由で、この映画を見た。でも…。ヨーロッパ映画のマネをしたかったの?と思ってしまった。 エンドクレジットで監督・スタッフがスペイン系なのが分かり、納得と言えば納得だが、でも、うーん…。 アメリカのヒスパニック系の人なら共感できる内容なのかしら??  フラッシュバックも多用され、事前にあらましを知らなければまずストーリーが分かりづらいかも。 心臓移植を受けた患者の気持ちを改めて考えさせられるテーマや、ショーン・ペンが病院のベッドに横たわり心の声が聞こえるシーンは、 死を宣告された患者の視点が分かってすっごく良いのですが…。


トスカーナの休日

監督:オードリー・ウェルズ
出演:ダイアン・レイン、サンドラ・オー
配給:ブエナビスタ・インターナショナル
http://www.movies.co.jp/tuscan/

小松玲子    
★★★★★
 離婚した米国人女性が、たまたま訪れた旅行先イタリア・トスカーナに魅せられ、そこの古い屋敷を買い受けて住んでしまう。 そこでイタリアの陽気な人々やゆったりとした生活(今風にいうところのスローライフ)に触れながら、もう一度、人生のシアワセをつかみ直すというお話。 ラストでドンデン返しがあり。トスカーナの自然、古い屋敷、オリーブオイルとワインに彩られた食卓、ポルトガルの季節労働者たちとの心のふれあい、 加えて女とみればすべからく口説きはじめる伊達なイタリア男や、きまぐれな恋がとても印象的に描かれる。 アメリカの拝金主義や離婚文化、出世欲、ミーイズムなどを皮肉くっているのだが、あながち米国だけの皮肉とも受取れない。 話の後半、同じくトスカーナに魅せられて主人公と同居するのもアジア系女性だしね。 (日本・韓国・中国はいまやアメリカ主義の牙城のひとつなんだな、と実感)勝ち組・負け組という言葉を使っていうなら、ここで描かれるのは、 負け組たちの豊かな日常。印象的だったのは、頭のイカれたオバサンが噴水の中で踊り出すシーン。 伊達なイタリア男が、マストロヤンニの映画の如く、彼女を抱き寄せてそこから連れ戻そうとするまで、彼女はやめようとしない。 バカといわれようが皆から笑われようが、「私は女よ」って主張しながら生きている。ラテンな女の生き様がステキ!
鍵山直子    ★★★★
 見るまでは正直、ダイアン・レインがラブ・コメ?似合わないんじゃないの〜!?と高を括っていたんだけど、ところがどっこい、全然いい!  妙にハッピーな気分になれる1本でした。人生ドン底のダイアン・レインが、トスカーナのオンボロ屋敷を修復しながら、同時に心の傷をも修復してゆく。 脇役のエピソードもいいし、要所要所にトスカーナの伝承が織り交ざり、インテリジェント!それに、うまそうなトスカーナの料理やワイン、 ダイアン・レインの素敵すぎるリゾート・ファッション、年下イタリア男との恋など、30代女子の憧れがいっぱい詰まってて、実に完成度の高いラブ・コメです! 大満足〜!
タカイキヨコ   ★★★☆
 傷ついた主人公が異国の地で、自然や人々と交流する中で心を癒し、新しい人生を見つける。ストーリーとしては定番中の定番。 トスカーナの美しい風景で引っ張ってくれなければ、飽きていたかもしれない。でも女性が憧れがちな単なる夢物語では終わらない。 人が勇気を持って一歩を踏み出し、悩みもがき、そして自信と満足を取り戻したとき、生活の中に何気なくやってくる本当の幸せ。 すべては「自然にゆっくりと」という現実に即したスタンスは、とても好感が持てる。 機が「熟す」ことを知っている国イタリアで、古い蛇口から少しずつ落ちる水滴がやがてあふれ出す水になったとき、スクリーンの前の私たちの心も潤っている。
カザビー     ★★★
 先が読めてしまうほど単純なストーリーではあったけれど、トスカーナ地方の美しさに感動し、主人公フランシスのひたむきさに共感できる作品だった。 衝動買いした古い一軒家を「大改造!劇的ビフォーアフター」していくまでの過程は観ていて楽しかったし、 ゆったりとした時間の中で和気あいあいと食べていた料理はとても美味しそうだった。ポジティブな気分になれる一本。
シネ達日誌
イラスト 2度目の写真展を行います。興味のある方はぜひお越しください。(Kozo)

「Woman's World」
期間 8月23日(月)〜9月10日(金)
    (9月4日(土)以外の土、日は休みです) 時間 11:00〜18:00
会場 かながわサイエンスパーク(KSP)
交通 東急田園都市線溝の口駅下車
    南武線武蔵溝の口駅前バスターミナル9番乗り場から
    無料専用送迎バスで5分。
ちなみに4日は短編映画の上映とワークショップを行います。
(株)ケイエスピー http://www.ksp.or.jp/
住 所:神奈川県川崎市高津区坂戸3-2-1
TEL:044-819-2001
著者プロフィール

山本聡子 :  1973年生まれ。2年前に脱OLして編集者を志す。現在は自然の中を歩く本などを製作中。都会の喧騒に疲れると、吸い込まれるように映画館に行く。 見るのはアメリカ映画よりもヨーロッパ映画が多い。映画も男もラテン系が好きです。

中沢志乃 :  1972年5月8日、スイス生まれ。小学校時代に映画好きになり友達と劇を作る。一時は別の道を目指すもやはり映画関係の道へ。 5年間、字幕制作に携わった後、2002年4月、映像翻訳者として独立。夢はもちろん世界一の映像翻訳者です。

みちのく :  1976年生まれ。印税生活を夢見る、ぐ〜たらイラストレーター。映画に関してはかなりの偏食で、ラブコメ及びハラハラドキドキ系が好物。一方ファンタジー、SFは食わず嫌い。耳とかとんがってるのが許せないらしい。 http://777.sh/michinoku

波多野えり子 :  1979年元旦の翌日という中途半端な日に東京・永福町にて誕生。現在はブライダル情報誌の編集部で修業中。 映画好きかつ毒舌な家庭で育ち、「カサブランカ」からB級ホラー作品まで手広く鑑賞する日々を過ごす。 最近はエモーショナルな韓国映画やドラマがお気に入り!

三笠加奈子 :  1978年、食事の美味しい富岡産婦人科で生まれる。映画とタバコ厳禁の10代を送ったので、20代は反動のシネマ生活に。会いたい芸能人は『完全なる飼育』の小島聖ちゃん。そうそう、私の職業はライター。「キネマ旬報」5月下旬号で『パッション』について執筆。著書『友達より深く楽しむ外国映画の歩き方』(こう書房)。

伊藤洋次 :  1977年、長野県生まれ。専門紙の会社員(営業)。メジャー映画はなるべく避け、単館系しかもアジア映画を中心に鑑賞。映画を観て涙したことが一度しかないため、現在は泣ける映画を探索中。

Kozo :  1970年、鹿児島生まれ。故·我王銀次主宰の劇団「大阪バトルロイヤル」で俳優として映画、TVに出演。 L.A.C.C.映画科卒業後C.S.U.L.B.に編入しスピルバーグと一緒に卒業。現在は林海象監督と”Cinema Showcase”を主宰し毎月、短編映画を上映中。

にしかわたく :  漫画とイラスト描いて暮らしてます。映画好きが高じて現在『季刊ロゼッターストーン』に「でんぐり映画館」連載中。 映画とコーラとポップコーンがあれば基本的に幸せ。「飲食禁止のスノッブ映画館を打倒する会」主宰(嘘)。

小松玲子 :  1970年生まれ。雑誌・新聞を中心にフリーライターとして活動中。わが心のベストシネマは『さらば我が愛〜覇王別姫』。作家になったら、ああゆう愛憎ものが書けるようになりたい。売れっ子ライター目指して、現在まだ夢の途中。

鍵山直子 :  テレビ&FMラジオの構成作家。現在、i-modeとauの携帯サイトで『シネマ通信』、ボーダフォンで『シネマ・エキスプレス』を担当中。 遅れてきたヒュー・グラント・ファンです。

タカイキヨコ :  1966年愛媛県生まれ。企業勤めの後、1年間のロンドン遊学を経て、フリーの翻訳者に転身。映画のプログラムなどエンタテインメント関連の翻訳をしています。ストレート・プレイ、ミュージカル、バレエ、歌舞伎などの観劇も大好き。

カザビー :  1978年生まれ。映画とお笑いをこよなく愛するOL。好きな監督は周防正行、矢口史靖、SABU、ペドロ・アルモドバル、セドリック・クラピッシュなど。今年、嬉しかった出来事は矢口監督からサインをもらったことと、田口トモロヲ監督「アイデン&ティティ」のエキストラに参加したことです。

古東久人 :  1959年生まれ。交通新聞社勤務。キューブリックで映画に目覚め、1980年代にキネ旬常連投稿から映画ライターへ。 「キネマ旬報」「フリックス」などの映画雑誌に執筆。編著は「相米慎二・映画の断章」(芳賀書店)。 生涯のベスト1はブニュエルの「皆殺しの天使」と長谷川和彦の「太陽を盗んだ男」。

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