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バックナンバー Vol.38

チャーリーとチョコレート工場
シンデレラマン
亀も空を飛ぶ

記者会見はエンタテイメントの一種類なのか? ■ ■ ■

ビートルズ、ストーンズ、モッズなどの影響を受けたフレンチ・ポップス="イェイェ"のリズムに、役者たちが身にまとうビビッドなファッション。今見ても実にカッコよくて、 さっそく取り入れたくなってしまった。ところで、私は芸能ネタに関しては、驚くほどに記憶力が冴える。どうやら母親譲りらしい。 「○○と▲▲は昔結婚してたけど、実は○○って結婚前から※※と付き合っていて、結局別れちゃったのよ…」「■■は地元で評判のワル(死語?)だったのよ…」などなど、 妙にいろんなことを覚えている。データベースはずっと蓄積されつづけてきたのだ。おそらく、多くの一般人たちの脳内にそんな機能が備わっているのではないだろうか。 "アイドル"はいつの時代にも存在し、人々は夢中になり、その言動に絶えず注目する。私生活のゴシップはアイドルの商品価値を上げるし、下げる。 それは最近のニュースをみても明らかだろう。作品に登場する3人のアイドルたち、狂乱ジジ、短刀のチャーリー、 魔術師シモンもエスカレートしたPR活動によって精神的な犠牲を被り、気づけば記者会見は大暴露大会。そして、思いがけない結末を迎えることとなる。 歌って、踊って、ぶっちゃけまくる彼らの叫びにどうか耳を傾けてほしい。今後、モニターの向こうで笑顔を見せる"アイドルたち"に同情するはず……ではなくて、 深読みしながら記者会見をもっともっと楽しめるかもしれないので。

(波多野えり子)

幻の60sフレンチ・ヴィンテージ・シネマ
「アイドルたち」(1968年・フランス)
●2005年10月29日〜渋谷アミューズCQNにてレイトロードショー
以後、11月12日〜シネ・リーブル博多駅、12月10日〜梅田ガーデンシネマ、12月24日〜京都シネマにて順次公開。

監督・脚本:マルク'O
出演:ビュル・オジエ、ピエール・クレマンティ、ジャン=ピエール・カルフォン、他
http://www.step-by.co.jp/idoles/

=1点、=0.5点。最高得点=5点
チャーリーとチョコレート工場

監督:ティム・バートン
出演:ジョニー・デップ、フレディ・ハイモア、デイビット・ケリー
配給:ワーナーブラザーズ
http://wwws.warnerbros.co.jp/movies/chocolatefactory/
no picture

カザビー      ★★★★★
 前作「ビッグフィッシュ」は父親と息子の絆を描いたファンタジー作品で、今回もその要素は含まれているものの全く違った世界観で感動させてくれます。それに前回よりもポップかつ毒のあるバートンテイスト満載で素直に楽しめました。主人公のチャーリーは「フランダースの犬」のネロぐらい良い子で目の輝きがめちゃめちゃいいんです。(他は挙動不審で怪しいウォンカやわがまま放題な子供ばかりなんで余計そう思えちゃうんですけどねぇ。)ジョーおじいちゃんもとってもチャーミングでいい味出してたし、ウォンカの父親が「ロード・オブ・ザ・リング」のサルマンでちょっと嬉しかったです。あと上映中、無性にチョコが食べたくなってしまったのでこれから観に行かれる方は板チョコ持参をオススメします。
団長        ★★★★
 シナリオ、舞台セット、キャスティング、音楽・・・どれをとっても素晴らしい! この映画についてもっと知りたくなって、終演後に数年ぶりにパンフレットを買ってしまいました。 初めてサントラも買いました(笑) ちょっと皮肉が過ぎるかな、と思う場面もありましたが、原作には載っていないエンディングのシーンには超感動! 少年のサクセスストーリーに、「家族愛」という側面が付加されたことで、作品に一段と深みが増したように思います。恋人と見るにも、家族で楽しむにも、ポッと心温かになれる超オススメ作品です!
舵芽衣子     ★★★★
 「チャーリーとチョコレート工場」まったく予備知識なしで観たわ。リメイクだと言う事も原作が有名という事も。ティム・バートン作品は「エド・ウッド」と「バットマン・リターンズ」が好きだけどこの人の映画いつも鬱色彩というか元気ないキャラというか歪んだ奴ばっかが主人公。セットも歪んでるし。でも今の時代にマッチして熱烈に支持された。鬱時代のヒーロー、救世主。今回は総天然色で精神病患者が撮ったみたいな色彩と感覚。チョコの匂いまで劇場に漂う徹底ぶり。オエッ!なんかチョコ食えなくなったよ。セットとかキャラが鴨川つばめが発狂した時に書いた漫画に凄く似てた。あの漫画ヘンリー・ダーガーみたいだったよ。この映画もそんな感じ。でも主人公の少年があまりにも純粋な顔してるから素直に感動。究極の貧乏描写が素敵過ぎる!
山内愛美     ★★☆
 まず思ったのは、ジョニー・デップの顔はきれいすぎるということだ。おかっぱ頭でシルクハットなんて奇抜な格好してるくせに。ストーリーとかそっちのけでときどき見惚れてしまったではないか。そしてウンパ・ルンパは荒井注にそっくりだ。日本人なら誰もが思うだろう。貧乏で家族思いなチャーリーなのに、拾ったお金で迷いもせずにチョコレートを買うのはアリか?と思う。チョコレート工場はまるでディズニーランドみたいで、かなりファンタジー入ってるのに実際に存在していそうだ。撮影のために100匹のリスを半年間調教したらしいが、その調教風景を見てみたかった。リスはかなり物覚えが悪そうだ。チョコレートの川も大量のチョコ素材を使っていたとのことで、みるだけで口の中が甘くなってくる映画だった。


シンデレラマン

監督:ロン・ハワード
出演:ラッセル・クロウ、レネー・ゼルヴィガー、ポール・ジアマッティ
配給:ブエナ ビスタ インターナショナル(ジャパン)
http://www.movies.co.jp/cinderellaman/
no picture

高井清子     ★★★☆
 レニーの結婚4ヶ月電撃離婚報道と相まってか(レニー、日本の公開中くらい待とうよ!)、この作品の売りである糟糠の妻よりも、ボクサーとセコンドとの関係の方が印象的だった。家族のために覚悟を決めた不屈のボクサー。その覚悟とヒーローになるべく選ばれた男のオーラを信じて自分の人生をかけるもうひとりの男。そしてそんなふたりに世界恐慌に喘ぐ民衆は自分たちの夢を託す。戦後の日本を熱狂させた力道山ほどのドラマ性はないけれど、普通に泣ける感動作です。
三笠加奈子    ★★★
 世界恐慌と足並みを揃えるように転落していったボクサー、ジム・ブラドック。愛する家族を守るため、彼は再びリングに上がろうとするが・・・。その先のハッピーエンドは前売券を買う前から"読める"。けれども、見たらやっぱり感動してしまった。昨今のあざとい泣きブームに流され、観客も私も涙の沸点がかなり低くなっているが、それでもドラマの底に脈々と流れるアイリッシュの骨太根性にノックアウト。ボクシングをスポーツではなく、労働の延長線上に位置づけてしまうのはアイルランド人の性なのか(監督ロン・ハワードはアイリッシュ系アメリカ人)。ジム・ブラドックが最後までボクシングを"金儲けの手段"とわりきっていたおかげで、ドラマが軸がブレずにすんだような気がする。これはスポーツによる感動ではない、労働による感動だ!
鍵山直子      ★★
 1929年、株の大暴落をキッカケにアメリカ経済は破綻。かつて一世を風靡したボクサー、ジム・ブラドックも子供のミルク代を稼ぐため、違反を承知でリングに上がる。まさに「一杯のかけそば」的な"ちょっといい話"。実話だから否定しないが、でも映画のブラドックはあまりにいい人すぎちゃって、ちょっと引いてしまった。壮大な感動ドラマには違いないんだが。そんなわけで、私にとってこの映画の一番の見どころは、大恐慌時代のニューヨークの街並みだった。あの美しきセントラル・パークが当時ホームレス横丁と化していたのには、ホントびっくり。
山本聡子     ★☆
 CMではなちゃんが「久々にいい涙を流しました!」って言っていたので、見てみましたが、あまりにも想像通りのストーリーでちょっとがっかり。やっぱり映画には、こちらの想像を裏切るような展開を期待してしまうわけですよ。大恐慌の時代に、名誉や名声ではなく、家族のためにチャンピオンを取ったジム・ブラドックというボクサーが居たという事実は語り継がれるべきであり、非常に感動的な話なんですが、イマイチ映画の中に入り込めませんでした。


亀も空を飛ぶ

監督・脚本・製作:バフマン・ゴバディ
出演:ソラン・エブラヒム、ヒラシュ・ファシル・ラーマン、アワズ・ラティフ
配給:オフィスサンマルサン
http://www.sanmarusan.com/kame/
no picture

中沢志乃      ★★★★★
 イラク戦争の現実をフィクションでありながらノンフィクション以上に力強く、鮮烈に、目前にまざまざと見せつけた本作。ショックと悲しみで上映終了後は、しばらく口も利けませんでした。そして日本の憲法改正問題や教育問題にまで思いを巡らせてしまいました。私は確実に9条堅持派です。今までに見たイラン映画とは毛色が違う本作を作った監督の力量に大拍手。ただ残酷なだけでなく、しっかりとしたストーリーがあり…。複雑な思いがよぎるラストシーンも圧巻。日本中の皆に見て欲しい。ただただ、ただただ必見です。皆さん、詳しいことはお話ししませんが是非是非、見てください!!
にしかわたく    ★★★★★
 すんごいもんを見てしまいました…これはもう理屈ではないです。イランとトルコの国境で、地雷を掘り起こして国連へ売ることで生きている孤児たち。その多くがすでに腕や脚を失っているにもかかわらず、当然のような顔をして地雷原へ入っていく。この矛盾に満ちた現実を目の当たりにして、怒りと困惑を覚えるのは誰しも同じ。しかし監督の視線はそこで止まらず、もっともっと高みへと昇っていく。他の監督が撮っていたらまったく違う映画になっていたと思います。テーマでなく、あくまで作品の勝利。少し早いけど今年のナンバーワン。これを越えるインパクトは、ちょっと想像できません。
伊藤洋次      ★★★★☆
 映画の冒頭、崖の上に立つ少女がゆっくり歩みを進めるシーンからして、すでに感動。その時点で「この作品は素晴らしいに違いない!」と確信しました。サテライトという行動派で、リーダー的存在の少年。彼を中心に描いた監督に、その着想の素晴らしさを感じずにはいられない。加えて、この作品、子どもたちとカメラとの距離感がいいんですよねぇ。近づきすぎず、離れすぎず…でも確かに同じ空間にいる。「臨場感」ともまた異なる、自然で透明感あふれる描写。人間味に満ちた温かさが、心をとらえます。
くぼまどか      ★★★
 イラクによるクルド人迫害を題材に、戦禍に生きる子どもたちを描いた作品である。訳知りで大人たちからも信頼の厚いサテライト(この名前がいい!)、いつも暗い顔で小さな弟の面倒を見ている少女アグリンと予知能力を持つその兄がなど、多くの戦災孤児が暮らすコミューンとその日常。アグリンの弟だと思いこんでいた赤ん坊は、実は弟ではなく…。常に子どもの視点を追って行くからこそよけいに痛ましい話。本来は美しい土地なのだろう、舞台となった地方の空の青さだけが妙に目に沁みた。観ることができた喜びと観てしまった後悔がいまだに心に引っかかっている。


2005.10.25 掲載

著者プロフィール
波多野えり子 :  1979年元旦の翌日に東京・永福町にて誕生。映画好きかつ毒舌な家庭で育ち、「カサブランカ」からB級ホラー作品まで手広く鑑賞する日々を過ごしながら、現在編集者を志しているところ。最近は、まんまと韓国映画とドラマにハマっています。

カザビー :  1978年生まれ。映画とお笑いをこよなく愛するOL。近況:フランス映画祭のサイン会でなんと憧れのセドリック・クラピッシュ監督と「ロシアンドールズ」のウェンディ役ケリー・ライリーに会えました。緊張していたもののキティちゃんを手渡すことに成功しました。他にも「ルーヴルの怪人」や今年9月公開ロマン・デュリス主演「ルパン」のジャン=ポール・サロメ監督にもサインしてもらったので大興奮でした。

団長  : スーパーロックスター。メジャー契約なし、金なし、コネなしながら、来秋、日本武道館でライブを行う。ラジオDJ、本のソムリエ、講演、コラムニストなどとしても活躍中。大の甘党で“スイーツプリンス”の異名をとる。バンドHP http://www.ichirizuka.com

舵芽衣子 : シャンソン歌手。山田花子原作・鳥肌実、立島夕子、綾小路翔出演カルトムービー『魂のアソコ』監督。

山内愛美 : 千葉県生まれ。Webでライター活動を行う。一番好きな寝具は毛布。2004年、映画『交渉人 真下正義』のエキストラに参加したのをきっかけに、映画ライターの道を考えるようになる。「映画の助監督をやっている人間」に特に興味を惹かれ、いつか助監督に関する本を作るのが夢。

高井清子 :  1966年愛媛県生まれ。企業勤めの後、1年間のロンドン遊学を経て、フリーの翻訳者に転身。映画のプログラムなどエンタテインメント関連の翻訳をしています。ストレート・プレイ、ミュージカル、バレエ、歌舞伎などの観劇も大好き。今はどっぷり韓流にはまってます。

三笠加奈子 :  ライター。念願のホームシアターが完成! D端子接続&プログレッシブ方式で映画を見るようになってから、ジャン・ジャック・アノー監督が隠れた(隠れてないけど)映像派だと気づき、もう一度この方の作品を見直してみようかと再考。

鍵山直子 :  テレビ&FMラジオの構成作家。現在、i-modeとauの携帯サイトで『シネマ通信』、ボーダフォンで『シネマ・エキスプレス』を担当中。 遅れてきたヒュー・グラント・ファンです。

山本聡子 :  1973年生まれ。商社OL時代を経て、2000年より編集者を志す。現在は某メーカーにて、広報誌を作りながら、山雑誌のライターも兼業中。座右の銘は「歩くことは生きること」。当面の夢はスペイン、サンティアゴの巡礼道を完歩すること。ラテン人のように、明るく楽しく生きたいな〜と思う今日この頃。映画も男もラテン系が好きです。

中沢志乃 :  1972年5月8日、スイス生まれ。小学校時代に映画好きになり友達と劇を作る。一時は別の道を目指すもやはり映画関係の道へ。 5年間、字幕制作に携わった後、2002年4月、映像翻訳者として独立。夢はもちろん世界一の映像翻訳者です。代表作は「ユー・ガット・サーブド」(ソニー・ピクチャーズエンタテインメント)。

にしかわたく :  漫画、イラストの他、最近はフリペで映画コラムも。映画館は汚ければ汚いほど良い、が持論。5年後は印税生活で悠々自適、年の半分はアジア映画館巡りの旅をしている予定。映画イラストブログ「こんな映画に誰がした?」http://takunishi.exblog.jp/

伊藤洋次 :  1977年、長野県生まれ。専門紙の会社員(営業)。メジャー映画はなるべく避け、単館系しかもアジア映画を中心に鑑賞。映画を観て涙したことが一度しかないため、現在は泣ける映画を探索中。

くぼまどか : 「人生すべてが経験値」をスローガンに、ピアニストからライターへと変身を遂げ、取材記事は元よりコラム・シナリオ、最近では創作活動にも手を染めつつあります。基本的に映画は何でも好きですが、ツボにはまると狂います。「ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還」封切りを観る目的だけでロンドンに飛んだのが自慢。

古東久人 :  1959年生まれ。1980年代にキネ旬常連投稿から映画ライターへ。 映画雑誌に執筆。編著「相米慎二・映画の断章」(芳賀書店)。 生涯のベストはブニュエルの「皆殺しの天使」と長谷川和彦の「太陽を盗んだ男」。


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