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バックナンバー Vol.42

プライドと偏見
ホテル・ルワンダ
博士の愛した数式

B型の彼氏 ■ ■ ■

 『B型の彼氏』は、2005年2月に韓国で公開され大ヒットした。血液型に興味があるのは日本人くらいと思われがちだが、 おとなりの韓国でも血液型ブームが沸騰しているのだ。 ストーリーは、まさに典型的B型の自己チューでマイペースな男性のヨンビン(イ・ドンゴン)に、 運命的な出会いをする女子大生のハミ(ハン・ジ)が振り回されつつも、魅かれていく。 B型男大嫌いなハミのいとこに妨害されつつも二人は付き合っていたのだが、 ヨンビンの自分勝手さについていけなくなりハミは別れる決心をするのだが・・・。 B型男って思ったらすぐに行動して、びっくりさせられるけど、その予想できない行動がかえってスリリングで魅力的だ。 しかも、優しい。この映画でもそんなB型男の魅力が満載。笑えて、ちょっとほろっされるすてきな映画だ。

(田中ひろみ)

監督:チェ・ソグォン、出演:イ・ドンゴン、ハン・ジヘ、シン・イ
配給:角川ヘラルド・ピクチャーズ http://www.herald.co.jp/official/b_kare/index.shtml

=1点、=0.5点。最高得点=5点
プライドと偏見

監督:ジョー・ライト
出演:キーラ・ナイトレイ、マシュー・マクファディン
配給:UIP 
http://www.pride-h.jp/
プライドと偏見

にしかわたく       ★★★★☆
 文句無しに面白かったでーす。しっとりした文芸色もきちんと残しつつ、『ラブ・アクチュアリー』のワーキング・タイトルらしい誠実でテンポのいいラブコメぶりに、おじさんうっとり。この映画、とにかく主役から脇にいたるまでキャスティングが抜群。脚本のキャラの描き分けが秀逸な上に出てくる人の顔がことごとく面白い。若い役者たちがいくらかはしゃぎ過ぎてもドナルド・サザーランド、ブレンダ・ブレッシン、ジュディ・デンチの凄腕ベテラントリオが屋台骨を支えているので安心して見ていられます。ジェーン・オースティンやE・M・フォースターの映画化作品を見てるといつも思うのですが、イギリスってのはほんとにラブコメの歴史がある国なんだなぁと。漱石がもっと長生きして『それから』みたいな小説をあと20本くらい書いてくれていたら、日本ラブコメ映画事情は今とはまったく違ったものになっていただろうに・・・。早くも今年のベストワン候補です!
中沢志乃         ★★★★
 プライド…というより偏見が邪魔をして、なかなか男女が結ばれないこの映画。「品のない家族が嫌」だったり伯母さんが余計な口出しをしてきたり、身分が違うと言っても王様と乞食ほどではないし、200年ほど前の話ながら現代に十分通じるものがあります。恋のさや当て、玉の輿狙い、好きな女性へのプロポーズに悩む男性。朝もやの中、愛する人を理解しようと歩く男性もナイスです。(でも私は天真爛漫なビングリーの方が好きですが。)美しい田園風景と心地いいピアノ音楽、さすがのドナルド・サザーランドの名演も手伝って、なぜかエリザベスの父親に一番、感情移入。「MASH」以来、ドナルド・ファンの皆様、いらっしゃったら必見です。
三笠加奈子       ★★★★
私はキーラ・ナイトレイを“イギリスの高倉健”と呼んでいた。健さんがどんな役を演じたって高倉健でしかありえないように、スクリーンの中のキーラは、いつだって天然お譲のキーラ・ナイトレそのまんまだ。ところがどっこい、今作『プライドと偏見』のキーラは、ちゃんと役作りをしているではないか! 斜に構えた椅子の座り方一つとっても、ソフィスケイトされた貧乏女をうまく演出している(お譲専門のキーラが貧乏役かぁ…)。ストーリーが『若草物語』を彷彿とさせるが、キーラなら次女のジョー役をしっかり演じられそう! ポスト“ウィノナ・ライダー”はキーラで決まり?!
くぼまどか        ★★★☆
原作はいわゆる文芸大作だけに、予告編も何かとそういう雰囲気をかもし出していただけに、実際観てビックリな作品だった。いや、やっぱり映画館に足を運ぶまでは分からないものです。主人公エリザベス・ベネットを演じるキーラ・ナイトレイが美しすぎて、原作では「一番美しい」はずのジェーンがかすんでました。あ、綺麗でしたけどね。全体を通して「結婚に命かける妙齢女性のドタバタバトル」感は否めないけれど、イギリスの美い風景と、美しい音楽、そして原作の時代背景をよく表しているところは好感が持てたかな。出演者みんながやってた優雅なお辞儀、どこかで真似したい!
高井清子         ★★★
プライドが邪魔して本心を言えない。自分の勝手な思い込みから相手を誤解する。この愚かな人間の煩悩があるかぎり、恋愛がままならないのは古今東西変わらないのだろう。どんなにコミュニケーション手段が発達して便利になろうと同じこと。最後にその重い障害を突き動かすのは人の想いでしかない。ふたりを客観視している観客はどうしてもふたりが想いを寄せ合っていることがわかるだけに、もっとじらしてほしかった。もっとふたりに悶々としてほしかった。そうすればその壁を突き破る愛の力に勇気がもらえるのに…。それはそんな勇気の持てないいくじなしの願望です。


ホテル・ルワンダ

監督:テリー・ジョージ
出演:ドン・チードル、ソフィー・オコネドー
配給:メディア・スーツ
http://www.hotelrwanda.jp/
ホテル・ルワンダ

波多野えり子       ★★★★★
 昨日までの隣人、友人同士が殺し合う、路上に在る無数の遺体……すべて1994年にルワンダのある「日常」で起きた事だ。「ニュースが流れれば世界中の人が助けてくれるはずだ」と希望の光を見出そうとするポール(ドン・チードル)に、ジェノサイドの決定的映像をスクープした報道カメラマン(ホアキン・フェニックス)は「世界中の人は食卓でこの映像を見て『怖いね』と言うだけに過ぎない」という――否めなかった。そして見わってから改めて、自分の周りの「日常」に目を向けてみる。何が起きても不思議ではない「日常」がそこにはあった。これはある立派な英雄の本当にあった話、なんてひと言では終われない。怒り、恐怖、悲しみ、そしてラストに得る安堵と希望、人間のあらゆる感情を見事に撮った秀作だ。
悠木なつる         ★★★★★
「世界の人々はあの(虐殺の)映像を見て“怖いね”と言うだけでディナーを続ける」という台詞が、1994年当時のルワンダと先進国の距離感を表していて印象深い。実話をベースにした脚本だけに説得力があるのは勿論のこと、ドン・チードルの迫真の演技が作品の完成度を高めている。一瞬先には死が待ち受けている緊迫した状況下。葛藤を抱えながらも、高級ホテルの支配人としての威厳を保ち、家族やホテルに駆け込む人々を必死守ろうとする姿に胸を打たれる。観ているうちに、大量虐殺を黙殺した先進国に対する苛立ちが込み上げてきた。そして、その苛立ちは、世界中で起きている問題を他人事で済ませてしまおうとする自分自身へと向けられる。
カザビー          ★★★★★
「近所の人がいきなり自分達を殺しに来たらどうする?」ごくフツーの人が虐殺に加担していたというルワンダの大虐殺。人間性を失ってしまった人間達が街に溢れていて逃げ場がない。これほど残酷で恐ろしい事が他にあるだろうか。地獄絵図と化した最悪の状況の中で、主人公ポールはありとあらゆる手段を尽くして自分の家族と難民1200人を守り抜く。死の恐怖が迫っていても気丈に立ち向かっていくポールの勇気に涙が止まらなかた。それとともに我が国を含めた先進国の無関心さに対して恥ずかしくなった。私たちはこの事実を真摯に受け止め、率先して知ろうとしなければならないと感じた。今年のベスト1になりそうな作品。
鍵山直子         ★★★
情けない話ですが、この映画を見るまで、ルワンダでこんな恐ろしいことがあったとは知りませんでした。映画のエデュケーション・パワーはすごいですね。教科書で勉強するよりよっぽど身につきます。ルワンダがベルギー領だったっていうのも、この映画で始めて知ったし。さて肝心の映画ですが、ジェノサイドがテーマなので、きっとしんどいんだろうなぁと覚悟していました。ところがどっこい!ハラハラ・ドキドキのサバイバル・エターテイメントに仕上がってるじゃぁないですか!主人公は、明日をも知れぬ危険な情勢の中、1200人の人々をホテルに匿ったルワンダのシンドラー、ポール・ルセサバギナ。一介のホテルマンである彼が、死の恐怖と闘いながら、巧みな交渉術と的確な況判断力を武器に、暴徒化した民兵から人々を守る…。その姿は腕力頼みのヒーローよりもよっぽどクールでカッコよく、ポールを演じたドン・チードルにもう少しで惚れるところでした。もう彼の鼻の穴に指が何本入るかなぁなんて、考えません。
松本トオル        ★★
こういう真実を扱った社会派の映画って批判しにくいんですが、鑑賞後にふつふつと不満が大きくなった。それはこの作品が持つ「正しい映画」という空気感から来るのかもしれない。確かに道路を埋めるほどの死体の上を車で移動するシーンはショッキングだし、家族愛を描きそれなりの感動作に仕上がっている。主人公のポールさんも立派な方なんだけど、この映画は「正しい」ことを「正しい」視点で描いているに過ぎない。ジェノサイがいかに非道なものであっても、この映画のように「正しい」視点で描かれる、どこか客観的過ぎる印象を受けてしまい不満を感じてしまうのである。


博士の愛した数式

監督:小泉堯史
出演:寺尾聰、深津絵里、吉岡秀隆、浅丘ルリ子
配給:アスミック・エース 
http://hakase-movie.com/
博士の愛した数式

河西春奈         ★★★★★
 今まで、原作のある作品の映画化は、期待しないようにしていました。原作とまったく同じになりかねないうえに、それを2時間という限られた時間の枠に収めることが難しいと思っていたからです。「博士の愛した数式」は、そういうプレッシャーを軽々と飛び越え、原作を尊重しながらもさらにわかりやすく、映画らしい作品に仕上げています。原作とは違った監督の意図も、余すことなく演出していることに感動しました。映画化してよくなった小説を久しぶりに見て、嬉しくなってしまいました。
団長            ★★★★☆
 ベストセラー小説の映画化、ということですが、読んでなかったので、特に期待もなく、あらすじも知らないまま見ました。う〜ん、いい作品でしたね、これは。無機質な数式を介して博士の口から語られる言葉の数々が、なんと愛に満ちあふれていることでしょう! この映画を見た後、数学が好きになる人はけっこういると思います(笑) いわゆる古風な作品だと思いますが、この古さは気持ちいいです。時代を超えて愛され続ける作品になりえます。ぜひとも多くの方に見ていただきたいです。
山内愛美         ★★★★☆
 いい映画でした。自分はごくたまに、まだ始まって間もなくなぜか感受性を揺さぶられてしまい、なぜかわからないけどうるうるしてしまう映画があるのですが、これは完全にソレでした。きっと画面から醸し出される雰囲気にヤラれてしまうんですね…。吉岡秀隆さんのあの魅惑の声も大いに関係しているでしょう。もう冒頭からいっぱいいっぱいです。そういう映画、大好きなんですが(笑)。記憶が80分しかもたない博士の存在は、とかくあたたかいです。博士を見守る家政婦役の深津絵里のまなざしは、もっとあたたかいです。その子供はちょっと出来がよすぎる気がするものの(笑)、救われるような気持ちにさせてくれます。そして博士が教えてくれた数のひとつである「友愛数」。こんなにキレイな言葉、数学にあったのですね…。
伊藤洋次         ★★☆
 監督が小泉堯史、主演が寺尾聰&深津絵里と来れば、もう高得点は当然!と思っていましたが……うーむ、あまり深く感動できず。ストーリーは悪くないし、音楽も美しいのですが、肩に力が入ったような感じと、どこかよそよそしい印象が最後まで残ってしまいました。友愛数やオイラーの公式など、さまざまな数学の話の方が魅力的で面白く、肝心の本編がかすんでしまった感じ。小泉堯史には、やはり時代劇を作ってほしい気がしてなりません。


シネ達日誌
イラスト 2005年もベストテンを発表しようと考えていましたが、思いのほか票が割れてしまい、集計して順位をつけ、発表する意味が見出せませんでしたので、休止させていただきました。投票してくださった皆さん、ありがとうございました。(古東久人)

2006.3.1 掲載

著者プロフィール
田中ひろみ : 元ナースのイラストレーター&ライター。雑誌、広告、webにてイラストとマン ガと文章で活動中。昨年11月に発売した14冊目の著書『B型男と幸せ になる方 法』(東洋経済新報社)が増刷に!田中ひろみホームページ  http://www.usagitv.com

にしかわたく :  漫画、イラストの他、最近はフリペで映画コラムも。映画館は汚ければ汚いほど良い、が持論。5年後は印税生活で悠々自適、年の半分はアジア映画館巡りの旅をしている予定。映画イラストブログ「こんな映画に誰がした?」http://takunishi.exblog.jp/

中沢志乃 :  1972年5月8日、スイス生まれ。小学校時代に映画好きになり友達と劇を作る。一時は別の道を目指すもやはり映画関係の道へ。 5年間、字幕制作に携わった後、2002年4月、映像翻訳者として独立。夢はもちろん世界一の映像翻訳者です。代表作は「ユー・ガット・サーブド」(ソニー・ピクチャーズエンタテインメント)。

三笠加奈子 :  金星人のライターです。細木数子の説く大殺界からようやく抜け出しました。2006年は書いて、書いて、書きまくるぞ!

くぼまどか : 「人生すべてが経験値」をスローガンに、ピアニストからライターへと変身を遂げ、取材記事は元よりコラム・シナリオ、最近では創作活動にも手を染めつつあります。基本的に映画は何でも好きですが、ツボにはまると狂います。「ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還」封切りを観る目的だけでロンドンに飛んだのが自慢。

高井清子 :  1966年愛媛県生まれ。企業勤めの後、1年間のロンドン遊学を経て、フリーの翻訳者に転身。映画のプログラムなどエンタテインメント関連の翻訳をしています。ストレート・プレイ、ミュージカル、バレエ、歌舞伎などの観劇も大好き。今はどっぷり韓流にはまってます。

波多野えり子 :  1979年元旦の翌日に東京・永福町にて誕生。映画好きかつ毒舌な家庭で育ち、「カサブランカ」からB級ホラー作品まで手広く鑑賞する日々を過ごしながら、現在編集者を志しているところ。最近は、まんまと韓国映画とドラマにハマっています。

悠木なつる : 映画と観劇をこよなく愛する、1973年生まれの独身女。安定していたOL生活を わざわざ手放し、現在、映画ライター見習い中。人生のモットーは「楽しく大胆不敵に」。でもその割には気が小さい。

カザビー :  1978年生まれ。映画とお笑いをこよなく愛するOL。近況:フランス映画祭のサイン会でなんと憧れのセドリック・クラピッシュ監督と「ロシアンドールズ」のウェンディ役ケリー・ライリーに会えました。緊張していたもののキティちゃんを手渡すことに成功しました。他にも「ルーヴルの怪人」や今年9月公開ロマン・デュリス主演「ルパン」のジャン=ポール・サロメ監督にもサインしてもらったので大興奮でした。

鍵山直子 :  テレビ&FMラジオの構成作家。現在、i-modeとauの携帯サイトで『シネマ通信』、ボーダフォンで『シネマ・エキスプレス』を担当中。 遅れてきたヒュー・グラント・ファンです。

松本トオル :  1974年生まれ。ネコと戯れ、泡盛に泥酔し、映画に溺れる生活が夢。 2005年は月10万円のギャラで某フレンチ映画に没頭したが、2006年は某ビデオメーカーに勤務予定。

河西春奈 : 1979年東京都生まれ。編集者を経てシナリオライター、フォトグラファーとして活躍中。共同監督している西川文恵と作り、主演した映画「While you sleep」を、第59回ヴェネツィア国際映画祭に出品。他10か国でも上映される。

団長  : スーパーロックスター。メジャー契約なし、金なし、コネなしながら、来秋、日本武道館でライブを行う。ラジオDJ、本のソムリエ、講演、コラムニストなどとしても活躍中。大の甘党で“スイーツプリンス”の異名をとる。バンドHP http://www.ichirizuka.com

山内愛美 : 千葉県生まれ。Webでライター活動を行う。一番好きな寝具は毛布。2004年、映画『交渉人 真下正義』のエキストラに参加したのをきっかけに、映画ライターの道を考えるようになる。「映画の助監督をやっている人間」に特に興味を惹かれ、いつか助監督に関する本を作るのが夢。

伊藤洋次 :  1977年、長野県生まれ。業界紙の会社員(営業)。 メジャー映画はなるべく避け、単館系しかもアジア映画を中心に鑑賞。 最近気になっている監督は、廣末哲万・高橋 泉、園子温、深川栄洋、女池充など。

古東久人 :  1959年生まれ。1980年代にキネ旬常連投稿から映画ライターへ。 映画雑誌に執筆。編著「相米慎二・映画の断章」(芳賀書店)。 生涯のベストはブニュエルの「皆殺しの天使」と長谷川和彦の「太陽を盗んだ男」。


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