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第6回  「史上最悪&最強のダメ社を紹介」


 私事で恐縮だが、この歳になってはじめて夏バテというものを経験した。

 もちろん生まれてはじめてのことなので、最初は夏バテなのかどうかもわからず、なんか大変な病気になってしまったのではないか、と思い悩み、 そのおかげかどうかわからないが体重が2キロも減った。わずか2週間で、マイナス2キロなのだ!

 なんて、喜んでいる場合ではないか。

 さて、今回は今までのダメ社度数を100倍パワーアップした史上最悪&最強のダメ社を紹介しようと思う。

 この経験があるから、今の自分が存在するのだが、人間できればこのような凶事には遭わないほうがいい。

 その会社は今も神田にあり、代表取締役も当時のままだ。この情報は、今も懇意にしている某警察署の刑事さんから定期的に入手している。 というか、被害者のワタシに情報提供してくれているのだ。

 なんとこの会社もハローワークの紹介である。あーこわ!


一見、健全でクリーンな会社なのに、経営者が裏社会の人だった!

 この会社にワタシは4年半在籍した。あとで刑事に「おたく、ほんとにいい度胸してるねー」と、つくづく感心されたというか、あきれられたのだ。 「あのね、この会社はね、舎弟企業なの。わかる?舎弟だからね、ふつうの会社じゃないの」。 もちろん、シロウトのワタシに「舎弟」などという縁のないキーワードがわかろうはずもない。

 でも、今は立派!?にわかるけれどね。あーこわ。そーなのだ、これがホントの知らぬが仏だ。

 会社は完全週休2日制、給与はいいし賞与もすこぶるいい。職種は事務だから、そんなに難しいということもない。なのに、舎弟企業なのだ。 舎弟企業というのは、表向きは普通の法人会社なのだが、役員あるいはその会社の実権を握り運営しているのが、裏社会の方たちという訳だ。

 いや、しかしである、会社名は普通だし、代表取締役もすこぶる上品且つ紳士だし、だれがどう見たってその筋の方とは神様に誓って (ま、誓わなくてもいいか)見えないのだわ。

 刑事いわく「今日びね、見てすぐ○○ザとわかる奴はその筋の下のランクなの(だそーだ)。 トップにいる奴は、大企業の重役みたいなインテリだし(そーなんだ!)、ひと目で判れば警察はいらないでしょ(そりゃそーだ)」ときたもんだ。 ま、その刑事さんはいわゆるマル暴という、その筋の方たちに詳しい専門職である。

 それで、である。入社してからというもの、あとから判ったように、当初はその筋らしき方たちは会社に来ないし、 もうホントに健全でクリーンな会社に見えたのだが、例えば会社にいろいろな営業がくるでしょ。 「ごめんください。こちらNTTの代理店の○○と申しまして、ただ今電話料金が最大25%もお得になるキャンペーンを実施しておりますが、 ご担当の方はいらっしゃいますか?」なんていうの。 そりゃ彼らだって、この会社がそーゆー会社と知っていたら間違っても来なかっただろうけど、来ちゃったわけよ、不幸にも。

 で、うちの会社の社長が「ふーん、何がどれだけ得になるの?詳しいハナシを聞きたいな」なーんて言ったら、 普通の営業マンは喜ぶよね「いいカモが見つかった!」と思ってさ。ところが、これが大間違いのもとなのだ。 延々と説明を一通り聞いたあと、事細かに質問を浴びせかけ、それに答えられないでいると「即答できないような営業は信用できないな。悪いけど」。 この言い方だってとってもソフトで紳士なのだ。

 でも、さすがの営業マンたちもグッタリするよね。さんざん説明させられたあげくに、加入できないなんて言われたら。 グッタリついでにイヤミの一言も言いたくなっちゃうんだろうね。で、その営業マンの一人が言っちゃったわけ、帰りがけに。 「フン、こんなショボイ会社じゃ、加入するわけねーって言っただろう、バカ」と。 ま、もちろん、これはもう一人の相方の営業に言ったセリフだったのだが、聞こえるように言ってしまったのが彼らの最大のミステイクだった。 この一言を聞き逃さなかった社長の返したコトバのすごさに、さすがのワタシも固まってしまった。

 「ショボイ会社だって言ったのはオマエか?言った奴は残れ、相方のオマエは帰れ」このときすでに、社長は○○ザモードに切り替わっちゃっていたので、 声も喋り方のトーンも先ほどの紳士口調ではない。で、帰れといわれたもう一人の営業マンだって、ハイ、そーですかとは帰れないよね、先輩営業マンを置いて。 オロオロしているその営業に一言「オマエもここに残りたいのか、度胸いいね」と社長が最後まで言い終わらないうちに、その一人はエレベーターに直行! 社長はワタシに「○○さん、僕の用事頼まれてくれる?」と来た。

 頼まれないわけにいかないワタシは、この当時まだ、舎弟企業とは知らなかったので「ハイ!」と、とっても明るい声で用事を言い付かり、 そそくさと出かけてしまったのだ。しかし、ワタシが出かけるまえに社長はあちこちに電話して「おー○○いるか?ちょっと事務所まで来てくれ」と、 何やら楽しそうな声で舎弟たち(当時のワタシは支社の仲間だと思っていた)を呼びつけていた。

 残っている営業マンが「何があるのかわかりませんが、僕は失礼します」といい終わらないうちに、 社長が呼びつけた舎弟の二人がやって来て「まーまー、座ったらどーですか。ワタシたちにも営業トークをしてくださいよ」こーなると、 俄然好奇心を刺激されるワタシだが、社長の「○○さん、じゃ、ちょっと銀座の○○に行って頼んであるネクタイを受け取ってきてください」の一言で、 会社をあとにしたのだが、一時間後に会社に戻ったときにはすでに社長も舎弟も、かの営業マンもおらず、いたのは戻ってきていた同僚だけ。

 「何かあったの○○さん、会社に戻ったら知らない男が泣いていて(泣かされたのだ)さ、社長たちと出て行ったんだけど」だって。

 のちに判ったことだが、社長たちはこの哀れな営業マンの事務所に出向き「侮辱罪で訴える」とかなんとかイチャモンをつけに行ったのだそーだ。


会社の正体に気づいて退職届を提出。そしてワタシは脅された

 思い返してみると在籍していた4年半のうち、こんなことは日常茶飯事で「今日はやけに静かだなー」なんていう日は、 数えるくらいしかないことに気づいた(気づくのが遅い)ワタシは、退職願を提出した。そして、ワタシは脅されたのである。

 このあとのことは、今でもちょっと生なましくて語りたくないのだ。ただ一言、これだけは言いたい!ハローワークを信じちゃいけない! 見ず知らずの人に暴言を吐いてはいけない。コワモテの人が怖いとは限らない。人当たりの良い男性には要注意。などなどだ。

 ホントはもっともっとあるけれど、ワタシだって○○ザは嫌いだけど、肩で風切ってドスの聞いた声でいつも威張り散らしている○○ザは、 彼らもステータスが下がるといって嫌うチ○○ラの類なのだそうだ。 だからワタシは街で大声出したり、他人にイチャモンつけているおバカな男たちを見ても、ぜんぜん怖くないのだ。

 だって、ホントの○○ザ屋さんたちは、物静かでインテリで紳士だからだ。こーゆーのが、怖い。タチが悪い。 だからって、ビビッていてはダメだ!ワタシみたいに、ただ退職願を出したとたんに脅されたりしたら、まずは警察に行くこと。 ただし、ただ脅されましたではダメ。脅した人たちの住所・氏名・年齢や家族構成・所有している車のナンバー、交友関係、 仲間たちの名刺のコピーやさまざまなモノを証拠として把握してから警察にゆくこと。

 ただし、警察だってオールマイティではないので、あらかじめ知り合いに弁護士などがいたら法律相談などにいくのもテである。 脅されたからといって、ビビッていては相手の思うツボだ。こちらは何も悪いことなどしていないのだから、 脅した相手に「こっちだって闘う意思があるぞ」とゆーことを意思表示すると良い。

 ワタシはここまでやったのだ。あれから4年、彼らから何の音沙汰もない。悪いことをしてもいないのに相手が○○ザというだけで、 一般人はビビッてお金を彼らに渡してしまったりということは、よくあることだと刑事さんは言う。

 もちろんワタシだってれっきとした一般人だけど、ここまでやる(しかもオンナ一人で)というのが、大変勇気のいることだと刑事さんに褒められたが、 そんなに勇気のいることなのだろうか。ワタシの尺度で考えると、「だって悪いこともしてないのに脅されて、何で黙ってなきゃいけないの?」なのである。 これを勇気なんて言われると、あまのじゃくなワタシは何故か「納得がいかねーな」になってしまうのだ。

 ま、こんなワタシだから何故か、今勤めているダメ社の若いコたちから、「姐御〜」なあんて呼ばれちゃうのね。 こんなふうに呼ばれると、まるでワタシが○○ザみたいジャン!「気にいらねー」

 ところで、前回方向オンチの人は気をつけようと、インフォメーションしたけれど、方向オンチの人は、自分も含めてだが、 いろいろな意味で自分の思考している方向とは違う方に行ってしまうのだ。それは、いろいろな意味でね。 だからだから、恋人を選ぶときとか、会社を選ぶときとかはくれぐれも慎重に。でないと、こんなはずじゃないぞ!になってしまうから。

 でもでも、ワタシはワタシなりに普通の人ができないような体験もしたし、普通は知り合えないような人たちにお会いすることもできたし、 これはこれで、良いというか面白いと思う。

 そー言えば、今年亡くなったワタシの母も姐御肌で面倒見の良い人だったっけ。面倒見という点では、ワタシの方が母よりは劣ると思うけれど。 何はともかく、さまざまな局面に対峙したときの判断力が後の自分のリカバリーに影響を与えると思うから、怖いとか嫌だとかいう事にも、 後ろ向きに対処しないで欲しい。

 何事にも前向きに。前向きに対処していけば必ず勝つことができるから。

 そして、大きな問題にぶつかったとき、一人でいいから相談できる人がいるといい。ワタシだって、脅された一連の出来事はすぐには人に相談できなかった。 親にはもちろん言えないし、不用意に親を悲しませてはいけないと幾度悩んだか知れない。

 気障な言い方になってしまうが、このときほどワタシは、自分の境遇や自分という人間を真剣に考えたことはなかった。 そして、その結果として、今のRebornけい子があるのである。これが良い悪いは別として、ワタシは自分の信じた道を選んでホントウに良かったと思っている。

 自分を信じること。これに尽きるのだ。


※ここに掲載された「だめ社」について、「年金・保険相談」でおなじみのびわこの狸氏(社会保険労務士)が専門家の立場から、一言解説したいそうです。興味がある方はこちら→「びわこの狸」の“だめ社チェック”
著者プロフィール
Rebornけい子(リボーン・けいこ) : 東京は下町、浅草生まれ。気風のよさと度胸のよさが取り柄の48歳。 ダメ社に恵まれた!?おかげで、人並み外れた観察眼と嗅覚を発揮し、この世のダメ社を暴く、独身会社員。 青山学院大学文学部英米文学科中退。広告企画制作会社勤務等を経て、現在はまともな中小企業の一社員として勤務。
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