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第24回 週5日制の学校に通学させる場合について


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皆さんこんにちは。この連載も2年目に突入しました。今までのご愛読にお礼申し上げますとともに、どうぞ今後ともよろしくお願い致します。

いよいよ新年度が始まりました。新入学の児童・生徒の皆さん、そして保護者の皆さん、おめでとうございます。進級した皆さん、そして、事情があって昨年と同じ学年にいる皆さんも、気持ちを新たにして進んでいってほしいと願っています。

 希望に満ちた出発の日を迎えたことと思いますが、中には志望の学校に入れず、悔やんだ気持ちの多い中での門出、という場合もあるかもしれません。最近は首都圏では私立中学受験が過熱し、「どこにも受からない」まま公立中学に進学する場合も多いようです。わずか12歳で、そのような試練にあわねばならないのは、教員としてもなんともかわいそうでなりません。

でも、大事なのは「○○学校に入った」ということよりも、「○○学校在学中、どんな生活を送ったか」ということです。入学当初にどんなに優秀でも、その後学習の習慣がついていなければ、あっという間に成績は急下降します。また、「自分は優秀だ」といい気になり、その後の努力を怠れば、卒業時の進路は決して志望どおりにはならないでしょう。

受験の失敗が、決して人生すべての失敗ということではありません。そのようなお子さんをお持ちの保護者の方は、ご自分にも言い聞かせるおつもりで、「その後充実した生活を送れば、必ず明るい未来が開ける」ということをいつも心に留めておいていただけたら、と思います。

今回は、「週5日制の学校に通学させる場合について」考えます。こう書くと、「なんでそんなことを考えるのか」というお声が多くあがるかもしれません。ですが、お考えになってみて下さい。今の大人の大半は、子ども時代、土曜日も半日学校に行っていました。休みは土曜の午後と、日曜・祝日というのが一般的でした。こういった状況が当たり前、という中で成長すれば、大人になって休みが週1日でも、「それが当たり前」と思えるのではないでしょうか。

ですが、今の子どもが「週5日制」、しかも「2日とも何もしない状態で過ごす」ことに慣れきってしまって、大人になった時に「必ず週休2日が確保できる」状況が訪れるでしょうか。そういう状況ばかりが来る、とも言えないのではないでしょうか。

また、そこまで至らなくても、受験のために土曜日は塾通い、ということも考えられますし、私立中学や高校、難関公立校に子どもが通えば、土曜日も勉強や部活動のために登校するはずです。その時までに「だらだら過ごす」土曜日、という状況に心身が慣れきってしまっていたら、子どもは適応するのに時間がかかり、また、日曜日にどっと週の疲れが出てしまう、ということも考えられます。

そこで、「週5日制の学校に子どもを通わせる」場合、有意義な土曜日の過ごし方について考えてみます。
  まず、「土曜日は塾の日」と決め付けなくても良い、と私は思います。受験生ならもちろん勉強しなければなりませんが、塾に行かなくても有意義な過ごし方はできるはずです。

お子さんとよく話し、なにかしたいことがあるかお聞きになってみることをおすすめします。「習い事に行きたい」などと言うかもしれません。習い事は、お子さんの意思が固いのかよく確認し、また、ご家庭での支出可能な範囲もあるでしょうから、よくご検討なさった上で始めることが大事です。

(たとえば、音楽大学・付属校入学を目指して音楽の勉強を始めると、毎日のように楽器演奏、声楽、楽典などのレッスンに行きます。当然支出も大幅に増えます。また、音楽大学や付属校に通学した場合の学費・レッスン代は、通常の私立校の2倍程度はかかると思われて間違いありません。私立校の2倍、です。どこまでがそのご家庭でできる範囲なのか、よくお考えになって下さい)

祖父母が近距離に住んでいる場合は、祖父母のところに何か習いに行く、というのも新鮮で良い経験ではないかと思います。書道、囲碁、茶道などが、子どもの集中力や落ち着きを身につけさせるのにふさわしいということで、最近その良さを見直す声が出ています。まずはお金をかけて習いに行く前に、身近な人に習うと、子どもも「自分がもっと習ってみたいか」、気づくのではないでしょうか。

中学生以上でしたら、ボランティアに行くのも良いと思います。まずは地元の自治体に問い合わせてみることをおすすめします。

また、ご家庭で「読書の日」、「スポーツの日」などとしても良いように思います。保護者、お子さん、それぞれが読みたい本を読み、どんな本なのかあとで会話をしたり、一緒に汗を流すのも、大変良いと思います。

そして、各ご家庭で、お子さんの年齢に応じて、「お子さんの果たすべき役割」を話し合ってみるのも良いのではないでしょうか。保護者の方が働き、その労働によってお金を得て、家族は安心して暮らせるはずです。今は少子化なのと、家電製品が発達していることにより、子どもは家庭での手伝いなどほとんどしないようですが、「子どももその家庭の構成員」であると考えれば、その年齢に応じた手伝いをさせるべきではないでしょうか。

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衣類だけではなく、食器さえも自動的に洗ってもらえる時代ですが、お風呂を全自動で洗ってくれる機械、という話は聞きません。また、お風呂掃除のほかに、昼食作りの手伝い、アイロンかけなど、できることはたくさんあると思います。一方的に「○○しなさい」と命令するのではなく、先ほど書いたような理由を述べて、親子で話し合って決めてみて下さい。

お子さんに何か家事を教える、というのは、根気のいることです。保護者が最初お手本を見せ、そして、お子さんの近くでじっと見守り、ケガや火事などの緊急事態を招きそうな状況にならなければ、黙っています。

できたら、まずは「よくできました。お父さん(お母さん)は●●ちゃんのおかげで助かった、ありがとう」と言いましょう。ほめられたり、お礼を言われて嬉しくない大人はいないはずです。子どもだって同じです。 そして、直したほうがいいところがあれば、「でも、ここは直したほうがいい」と言って、理由を説明します。

とにかく、毎回手伝いをしてもらったら、必ずお礼を言い、ほめるのです。そのくり返しで子どもは自信をつけていきます。なお、夫婦間で家事の協力をお願いする時も、この方法は有効だと思います。

勉強、スポーツなどだけがお子さんをほめ、能力を伸ばす機会ではありません。子どもが関わること全てが、「その子の才能を伸ばす機会」なのです。家庭での手伝いをきっかけに、料理人への道を歩む子もいますし、ボランティアをきっかけにして進むべき進路を見出す子もいます。

せっかくの休みの土曜日、ただ家でゲームをする日、とするのではなく、お子さんの未来のために有意義に使っていただけたら、と思います。

2006.4.15 掲載

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