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第27回 「子どもにとって効果的な叱り方」について


皆さんこんにちは。秋田県では児童が何者かに殺害され、また、佐賀県では児童がひき逃げで重症を負う、といった事件・事故が相次いでいます。亡くなられたお子さんのご遺族にはお悔やみ申し上げます。また、被害に遭われたお子さんのご家族にはお見舞い申し上げます。こういった事件が続くことは、教員の端くれとしても大変つらいことです。

秋田県の事件は、学校から下校間もなく、自宅付近で行方不明になったことが発端でした。日本でもスクールバスを導入したり、保護者が「小学生の児童を持つ場合、仕事中に下校の迎えのために一時帰宅して良い」などのことが進まないと、残念ですがこの種の事件はなくならないでしょう。昔とは事情が違うのですから、現代にふさわしい安全対策が求められるべきだと私は強く訴えたいです。

今回は「子どもにとって効果的な叱り方」についてとりあげます。なお、次回は今回の関連記事、「子どもにとって効果的なほめ方」を取り上げる予定です。

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そもそも、子どもを注意する、ということは、「良くないところがあるから、改善してほしい」という理由からではないのでしょうか。ところが、最近、根本的にこの点を理解しておらず、「子どもに嫌われるのがいやだから、叱れない」、「叱って関係を悪くしたくない」という声や、子どもをどう叱って良いのかわからない保護者の声を多く聞きます。

幼い頃にきちんと叱り、また、ほめていないと、思春期になっても親子の信頼関係が築けていないことになり、子どもから見れば「親への信頼感が持てない」ことにつながります。こういう場合、非行・不登校・リストカットなど、何らかの形でその気持ちが外部に現れ、トラブルの引き金になることが多くあります。

また、叱られたことのない子どもは、学校などで注意を受けても、「改善すべきもの」として受け止めることができません。反対に「あの先生はひどい」などと保護者ぐるみで攻撃してきます。 こうなれば、当然、注意を受けたことは良くなりませんから、どこの学校へ行ってもトラブルメーカーになったり、社会に出ても周囲とうまく対人関係を築けなかったりします。

逆に、叱られすぎて育つと、子どもは自信を失い、いつも人の顔色をうかがうようになってしまったりします。 それらのことを防ぐためにも、幼い頃から「ほめるべき時にほめ、叱るべき時に叱る」というメリハリをつけていただきたいのです。

まず、第22回連載で書いた通り、保護者は子どもにとって、かけがえのない味方なのです。そして、味方だからこそ、愛を持って注意している、直さなければ、今後「子ども自身が困る」ということを理解させるようにしてほしいと思います。

提出物などの締め切りが守れない、友達との約束などを忘れる、そういった子どもには、やみくもに叱るだけではなく、「守れないと○○ちゃんが誰からも信用してもらえなくなる、約束したのに忘れるから、嘘つき、と友だちに言われるようになる」ということを根気強く説いていただけたら、と思います。

締め切りが守れないというのは、対人関係に影響を与えるのはもちろんです。また、学校への提出物の締め切りが守れない場合、内申書が絶対評価になっている関係上、「学習意欲に欠ける」ということで、評価が低くなることもあります。極端な場合、テストの点数が良くても、5段階で1がつくことも考えられます。小さなお子さんに「締め切りが守れないと1になるよ」と言う必要はありませんが、保護者の皆さんはお心に留めておいて下さい。

子どもの成長に必要なのは「あめとムチ」だと私は考えています。良いことをすれば、頭をなでたり、とにかく「良くできたね!」とほめることが大事なのです。そして、悪いことをしたら、「こんなことをしてはいけない、それがどういう結果につながるか」ということを理解させなくてはなりません。

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叱る、というのは、難しいことです。生徒の性格や置かれている状況を考えながら指導しなくてはなりませんし、私自身もいつも手探り状態です。 ただ、決してしてはならないことがあります。それは、「感情に任せて怒鳴ったり叩いたりしてはいけない」ということです。親(教員)の機嫌が悪いから怒る、ということを、子どもは成長してくると見抜けるようになります。「自分のことを考えて注意してくれている」のか、「ただ機嫌が悪いから怒っている」のか、ということです。万が一、してしまったら、気づいた時点で非を認め、素直に子どもに謝るしか解決策はありません。

また、叱る時には、悪いことをした「その時・その場で叱る」ことが大事です。そうでないと、「何が悪かったのか」子どもには理解できません。それでは改善などできるはずもないでしょう。

お子さんのゲームや携帯電話の扱いについて、頭を悩ませているご家庭も多いのではないでしょうか。何度かこの連載でも書いていますが、家庭でルールを決めることが大事です。「ゲームは平日禁止、週末に1日1時間まで、テスト前は禁止」、「携帯電話代は、○○円まで保護者が払い、越えたら小遣いから差し引く」、「夜の11時以降はメールをしない」などです。ゲームのルールを決める理由は第24回連載のコメントで書いた通りですし、メールについては、ルールを決めないと毎月何万円も請求がきたり、夜も寝ないで友だちにメールを送り続ける、といったことが起こります。必要に応じて、利用明細書を取り寄せることも必要ではないでしょうか。

ゲームや携帯電話に限らず、ルールについては、従わない時には厳しくすることが大事です。そうでないと、「ルールは無意味」なものになり、子どもは「世の中のルール全て」に対してルーズになってしまうのです。それでは大人になったときに、社会に出て仕事などができるのでしょうか。

子どもだから甘くしていい、というのではありません。年齢に応じ、「約束事を守る」ことの大事さをわからせないと、決して、中学生や高校生になったからといって、急にできるようにはならないのです。

叱ることはエネルギーも必要ですし、精神的にも大変だと思います。また、プロの教員も、叱る時にはほめる時よりも細心の注意を払っているのではないでしょうか。 でも、叱ることは「子どもが欠点を改め、より素晴らしい人になり、花を開かせるための重要なステップ」と思えば、実行できるのではないかと思います。実際にどうしていいかわからない、苦心されていることなどのお悩みがあれば、ぜひコメントやメールをお寄せ下さい。

2006.5.25 掲載

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