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第29回 「子どもを取り巻く栄養事情」について


皆さんこんにちは。前回の更新を個人的事情でお休みし、大変失礼致しました。心よりお詫び申し上げます。また、心配して下さった皆さまには、この場をお借りしてお礼申し上げます。私は元気ですので、どうかご心配いただかないようにお願い致します。 また、次回の更新を8/10とさせていただきたいと思います。悪しからずご了承下さいますようにお願い致します。

この1ヶ月ほどの間に、「子どもが保護者を殺害する」事件や、「保護者が子どもを殺害する」事件が相次いで発覚しました。ご遺族の皆さまには、お悔やみ申し上げます。毎日、ニュースや新聞を見て暗澹(あんたん)たる気持ちになっている方が多かったのではないでしょうか。私も、忙しさの中で、なんとコメントをしたら良いものか、言葉に詰まるニュースが続きました。

保護者を殺害、とまではいかなくとも、思春期になって保護者と意思の疎通ができなくなっている生徒と接することがあります。このようなケースの親子を見ていて気になるのが、保護者・生徒双方に「自分は絶対正しい」、「自分の価値観で許せないものは切り捨てる」などの者がいることです。

親子の価値観・意見の断絶というのは、ある日突然起こるものではなく、長い年月の中で亀裂が深まっていくはずのものです。こういった問題の背景や解決策については、今後また、この場や他の場でお話できれば、と思っております。

さて、今回は「子どもを取り巻く栄養事情」についてとりあげます。 私立中学や高校に入学直後の生徒の中には、4時間目の前に顔色が悪くなったり、勉強や運動の集中力がなくなっている者がいます。男子生徒はもちろん、女子生徒の中にもこのような者は見られます。

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彼らのほとんどは、朝食を食べて来ているのですが、「自宅が遠方で、朝食を食べる時刻が早く、4時間目終了までにはおなかがすいて仕方がない」状況になっているのです。都内の私立校ですと、朝5:00台に起床、という生徒は決して珍しくありません。

通学制限を設けている学校でない限り、私立校ブームもあり、首都圏では遠方からの通学者はどの学校でも増えているはずです。ですので、このような状況は各校で見られることではないでしょうか。このような生徒のことを考慮して、2時間目終了後の10:00台に、軽食を食べることを認める学校もあります。

ですが、保護者の方の中には、お子さんに「お昼までにおなかがすいてしまう」と言われても、ピンとこない方がいるかもしれません。ご自分の思春期の時と比較して、思い当たらない、という理由からでしょうか。

4時間目までにおなかがすいてしまう、ということを、保護者に直接言える親子関係だったら問題ないのですが、口数の多くないお子さんや、思春期で親子関係に悩みを抱えている場合など、家で話せない場合もあるかもしれません。学校の購買部・売店などに豊富にパン類がある場合、子どもが買えばすむ問題かもしれませんが、学校によっては「学校で食品は売らない、あくまでも家庭のお弁当で」という場合もあります。

ですので、お子さんの食べる量や生活時間帯の変化を考慮して、「朝食はじゅうぶんか」、また、「お昼までにおなかがすくことはないか」などと、ぜひご家庭で聞いていただけたら、と思います。その上で、通学先の学校の方針なども併せて考え、お子さんがお昼までに「おなかがすき過ぎて困らない」ようにしていただけたら、と思います。

学校で食品を売らないのでしたら、菓子パンなどを買って持たせたり、おにぎりなどをお弁当と一緒に作って持参させる、といった手段も考えていただきたいです。 先日まで開かれていたサッカーのワールドカップの、ある日本代表選手の母親は、その選手の学生時代、昼食のお弁当の量・質はもちろん、練習後に食べるレモンと菓子パンを必ず添えていた、という記事を読みました。レモンはビタミンCで疲労回復、菓子パンは炭水化物でエネルギー補給、ということでしょう。

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また、どのようなものを食べさせたら良いか、考えるのが苦手、という保護者の方もいるかもしれません。

最近、コマの絵で栄養のバランスを考える取り組みをあちこちで目にするようになりました。「何をどれだけ食べたら良いか」と考える際に、肉・魚などのたんぱく質、主食など、点数化して考え、コマにあてはめていくもので、「コマが埋まれば栄養は足りている」というものです。子どもでも仕組みがわかれば栄養バランスを考えられるようになるので、良い取り組みと言えるのではないでしょうか。

「朝ごはんを学校で食べさせる」自治体の取り組みが報道されたのは記憶に新しいところですが、あまりにも生活が便利になりすぎたことで、保護者の中には、保護者の基本的な役割のひとつ、「子どもに適切な栄養補給をさせる」ことの重要性を忘れている方がいるように見られます。コンビニ、スーパーなどで「いつでも好きな時に好きなものを買って食べる」ことが当然のようになってしまい、小学生にも「好きなものを買って食べなさい」などと言う保護者がいるようです。

ですが、栄養指導を充分しているのでもなければ、小学生がバランスの取れた食事をすることは難しいと思います。日ごろから、コマの絵を活用して、バランスを考える習慣をつけていただきたいです。

最近は文部科学省も栄養教育を重視しており、栄養指導の教員を配置している自治体もあるのですが、一方で、予算が取れず、配置できない自治体もあるようです。栄養指導の教員がいる場合は、積極的に質問・相談に行って良いと思いますし、もしいない場合は、家庭科や養護の教員に相談をしても良いのではないでしょうか。

栄養バランスの取れていない食事を子どもにさせていると、成長に悪影響が出るのはもちろん、「キレやすくなる」という話も聞きます。子どもの成長には、百害あって一利なし、です。

でも、だからと言って、保護者が栄養バランスを重視するあまり、子どもが食事の時間を負担に感じたり、楽しく食べることができなくなれば、食事をしたくなくなり、これもまた良くないことです。 基本は「楽しく、リラックスして食事をする」というのが大事ではないでしょうか。でも、難しいことではなく、一日の中で必ず「親子で顔をあわせて食事をする」時間を作り、そこで会話をしながら食事をする、などのことで構わないのです。平日の場合、夕食が無理なら、朝食は家族揃って(前夜父親がどんなに遅く帰宅しても、朝6:00には起きて子どもと一緒に朝食をとる)、というケースもあるようですし、それが無理なら週末は一緒に、など、各ご家庭での工夫をお願い致します。

子どもは、「自分の本当の気持ちを見て、知って」ほしいものです。大人でも、食事をしている際には本音が出やすかったり、本心が顔に出やすいはずです。食事の時を上手に活用して、お子さんの成長にプラスになるような栄養補給の機会にするのはもちろんですし、本音を知る機会にしていただけたら、と思います。

2006.7.24 掲載

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