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第31回 「学校の安全性の問題」について Part2


皆さんこんにちは。夏休みは怪我もなく元気に過ごせましたでしょうか。
  夏休みの間、子供をめぐる悲しい事件・事故が相次ぎました。大事なお子さんを亡くされたご遺族の皆様には、心よりお悔やみ申し上げます。

私が気になった、複数の事件に共通していた原因が、「夏休みの宿題が終わっていなかった」というものでした。このことが原因で、自宅に放火したり、自殺した生徒がいました。小学生時代の勉強が簡単で、中学生になったら急に宿題が増え、本人の自覚が生まれないうちに夏休みが過ぎてしまったのでしょうか。また、周囲に宿題の相談ができる友人もいなかったのでしょうか。非常にいたましく感じました。

また、私の教育関連の相談サイトですが、都合によりまだ開設しておりません。お楽しみにお待ち下さっている皆さまには、お待たせして心苦しく思っております。良い内容のものを皆さまにお見せできるように、現在も準備を進めておりますので、どうぞ、もうしばらくお待ちいただけたらありがたいです。

さて、今回は「学校の安全性の問題」についてとりあげます。以前、第2回でも取り上げたことがありますが、今回は視点を変えて考えます。

AED(自動体外式除細動器)

最近、写真で紹介した機械を、駅・学校・公共施設などで見かけることが増えました。これは、AED(自動体外式除細動器)というもので、命にかかわるような不整脈や呼吸停止が起きた場合、救急車が来るまでの初期救命に使います。医療関係者ではない、一般の人にも使用が認められましたので、このところ急速に普及しています。

普段は使用することはありませんが、いざという時には、扉を開けると大きな音が鳴り響き、「救急救命患者がいて、手当てが必要な」ことを知らせます。そして、音声で案内が流れるので、落ち着いて使えば、未使用者でも適切な手当てをすることができます。もちろん、使い方の講習を受けるほうが良いのは言うまでもありません。

昨年開かれた、愛・地球博では、会場内で意識がなくなった方が何人か出て、実際にこのAEDを使い、一命を取り留めた、という話も聞きました。機械は高額ですが、レンタルして設置することもできます。講習は、赤十字や大学病院・自治体などで行なっています。私も、個人的に参加したことがありますので、使い方は知っています。

このような機械ですが、学校でも設置するところが増えています。日ごろ元気な生徒でも、運動中に突然意識がなくなり、そのまま命を落としてしまう、という不幸な事故があるからです。私の学生時代にも、そのようにして不幸に亡くなった方が出てしまいました。生徒の動揺も大きかったですし、保護者の方はもちろん、先生方のショックも計り知れないほど大きかったのではないか、と今は思います。

学校に設置している、と書きましたが、だからと言って、「教員がみな使い方を知っている」とは限らないと思います。私の勤務先では設置されていますが、まだ使い方を知らない教員も多くいます。

また、このAEDを設置していない学校は、お子さんに何かあった時、命に関わることを引き起こすかもしれません。突然意識がなくなる、というのは、高齢者や病弱な方に限ってのことではありません。私の学生時代に見たケースや、また、マラソン大会などで、それまで何の健康不安もなかった方が、突然、命を落とされることなどが考えられます(私はそのような形で、不幸にも亡くなった方も見たことがあります)。

学校とは、他校で事件が起こっても、「我が校ではないので関係ない」と考える人が多い、と思います。毎年全国のどこかの学校で、授業中や部活動中などに、不幸にも亡くなる生徒が出てしまうのに、です。でも、「我が校に関係ない」と思っていると、「自分の学校でそのようなことは起きない」と、根拠のない思い込みをすることにつながります。

このような考えは何の根拠もないものですが、そのような考えで長年凝り固まった人の意識を、突然変えるのは、大きな困難だと思います。ですので、たとえばPTAやお子さんの所属するスポーツチームなどで、講習会を開いてみるなど、「保護者の側から積極的に行動を起こす」ことを試みても良いのではないでしょうか。

また、このような救命の方法は年々進化しています。今年9月7日付の「朝日新聞」紙上で、「人工呼吸より何度も心臓マッサージ」という記事が出ていました。ご記憶のある読者の方もいるかもしれません。

これは、国際基準が「従来の口と口をつけて行なう人工呼吸に抵抗がある場合、心臓マッサージだけでもすれば良い」と変更になったため、日本国内でも基準を変更することになったという内容でした。ただ、記事には、現在設置されているAEDの大半は、「人工呼吸をする」旧基準に基づいているので、新しい方式を習った人が旧式のAEDを使った場合、混乱することもあるのではないか、という内容も書かれていました。

記事には書かれていませんでしたが、人工呼吸をする際に、口と口を直接つけると、ケースによっては病気に感染する恐れがあります。また、倒れている人の口の周りに嘔吐物があると、心理的に大変抵抗があるのではないでしょうか。

イメージ

病気への感染を防ぐために、写真のような「人工呼吸をする際、口と口が直接触れずに息を送り込める」ビニールシートが市販されています。写真のものは私の私物で、キーホルダーがついていて持ち運びやすくなっており、毎日持ち歩いています。

1回使用したら2度と使えないので、中身をお見せできないのが残念なのですが、菌に汚染されないように紙袋に入れられた、たたまれたビニールシートが中に入っています。これは、大学病院の売店・生協などで買える場合があります。

人工呼吸はしないで救命救急、という方法も認められている現在ですが、このような道具の力を借りて、救命ができる場合もあることを、学校関係者は知っておくべきではないでしょうか。

アクシデントとは、起こらないのが一番良いのですが、もしも起こってしまった場合でも、周りの人の知識や対応、設備などで救える場合があります。不幸な事故を防ぐための危機管理に、積極的に取り組んでいただけたら、お子さんを危険から守れる一つの手段になるのではないでしょうか。

2006.9.22 掲載

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