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第41回 「校則」について


皆さんこんにちは。
  個人的事情で、先月の更新ができず申し訳ありませんでした。今後も連載は続けさせていただく予定ですので、どうぞよろしくお願い致します。8月にも記事の更新を予定しております。

この間に起こりました、台風4号による水害、また、7/16に発生した、新潟県中越沖地震で亡くなった方にお悔やみと、被害に遭われた方にお見舞いを、心から申し上げます。

そして、先日、北九州市で、保育園の遠足帰りの園児が車に放置され、熱中症で死亡、といういたましい事故が起こってしまいました。ニュースを聞いた時、「担当の保育士はどういうつもりで仕事をしているのか」と、怒りが湧き起こりました。保育士を志望する生徒に、私は、よく「口もじゅうぶんきけない幼いお子さんだって預かるのだから、適性は絶対必要だし、責任は重大だよ」と言います。ご遺族の皆様に、心からお悔やみを申し上げます。

7/29に行なわれた参議院選挙で、自民党が歴史的大敗を喫しました。原稿を書いている7/30現在、安倍首相は続投と言っていますが、大きく軌道修正をせざるを得ないでしょう。「教育再生会議」もどうなるか、今後の行方が注目されます。

でも、第37回連載でも触れましたが、首相直属の会議は、首相が交代すれば、会議そのものが消滅するでしょう。ですので、このような機関で議論するのではなく、別の機関で、長期的視野に立ち、議論していくことが大事だと思います。

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また、先日来、「高校の合格者水増し」報道が、関西を中心に起こっています。これらの問題は、教育委員会の管轄ではない、私立校ばかりで起きているのが実態です。この連載で繰り返し指摘しているように、私学の独自性は重要ですが、かといって、暴走する私学を食い止められる機関がないのも、非常に大きな問題です。

指定校推薦で大学に受かっている生徒にまで、「他の大学を受けなさい」と言っていた学校もあったという報道もあり、怒りも覚えます。この場合、他の大学に受かっても、指定校推薦の辞退はできませんから、「学校の合格者数アップのため」に、生徒は「お礼奉公」させられていることになります。生徒は学校の人質なのでしょうか。

この問題に関し、それらの学校を志望する中学生を「消費者」と見て、景品表示法違反などに問えないか、検討を始めた消費者センターもあるようです。

個人的には、以下の数字を各高校が明示すれば、ある程度解決できる問題だと思います。
・その大学を実際に受験した生徒の実数 (例:30人) ※重複を含まない
・その大学に合格した生徒の延べ人数 (例:20人)

この例の場合、10人ほど残念な結果になった生徒がいたことになります。なお、どうしてもその大学に進学したい場合、「1人で複数の学部」に出願し、合格することも考えられます。ですので、たとえば「実数が30人で38人合格」くらいでしたら、あまり気にする必要はないでしょう。

もしも、「実数が5人なのに60人合格」となれば、単純計算でも「1人あたり12学部合格」となり、「センター利用入試」を悪用した、不自然な出願などがあったということがわかるはずです。
  来年春に受験を控えたお子さんのいる保護者の皆さんは、学校説明会などでこの点を質問なさってみてください。

さて、今回は、「校則」について考えます。
  お子さんの受験の際には、ほとんどの方が学校見学をされていると思いますが、校則をよく確認なさっているでしょうか。
  学校によっては、公式サイトに載せている場合もありますし、また、学校説明会などで話が出ることも多いですが、入ってから知ることも多いのではないかと思います。

そもそも、校則は、学校の基本方針と連動しています。そして、宗教系の学校でしたら、その宗教の教義にのっとったものもあるはずです(宗教系の学校に関しては、第17回連載をご覧下さい)。
  たとえば、「毎朝、始業前に礼拝」をしているキリスト教系の学校もあります。たいていのお子さんは、それを当然と受け止めて通っているのですが、中には、それが苦痛でたまらず、学校に行けなくなるお子さんもいるのです。

お子さんの学校生活の中で、実は、校則は、大変な重さを占めています。校則を守れないことが多くあったり、校則で処罰対象になっていることをしたら、停学や退学などの処分が待っているのですから。校則は少ない学校でも、「学校生活の注意」など、別の形で細かく規定を載せている学校もあります。学校によって違いますが、ざっと思いつくだけでも、これらがあります。

【外見的な問題】
・男女共通…髪の毛の長さ、色、ピアスに関しての規定、制服・カバンの規定など
・男子…ズボンの丈やはき方(腰までズボンを下げてはく、いわゆる「腰ばき」禁止)、制服にネクタイがある場合、締め方の規定など
・女子…スカート丈、ルーズソックス禁止、化粧禁止、髪型の規定、制服にリボンなどがある場合、結び方の規定など

【内面・行動の問題】
・飲酒、喫煙、万引きなど不法行為についての処罰規定
・妊娠した場合の規定(女子)
・芸能活動や学校外での活動などについての規定
・アルバイトに関する規定
・携帯電話の持ち込みに関しての規定

一般的に、公立校のほうが、私立校よりも校則(服装などの規定)はゆるやかです。ただ、処罰に関しては厳しい部分も多くあります。

また、難関校や、自主的な姿勢を重んじる学校では、校則は少ないです。こういった場合、「自分でどう行動したら良いか」、常に生徒に考えさせるようにしているので、必ずしも「ピアスや化粧をして登校して良い」ということに、即座にはつながりません。

また、今は携帯電話など、昔存在しなかった物の取り扱いについて、教員が頭を痛めていることも珍しくありません。普通は「授業中の使用を禁じている」程度だと思いますが、厳しい学校でしたら、携帯電話が校内で鳴ったら、「保護者も学校に呼ばれ、厳重注意」という場合もあります。

校則を見る際に、必ず注意していただきたいのが、「どのようなことをした場合、厳重注意、停学などの処罰を受けたり、退学になるのか。また、それは何回まで許されるのか」ということです。学校説明会で質問されても良いと思います。
  一般的には、1度厳重注意を受けた場合、「2度目に同じことをすれば、反省していないので、退学などの厳しい処分」が待っているということになります。

その学校に行くのであれば、お子さんにそれを「守らねばならない」と話をし、親子お互いに確認しておく必要があります。 保護者の世代から見れば、「自分の子どもの頃はもっと厳しかった」といった声が多く出るのではないでしょうか。そういった観点から、お子さんと話し合いをされることも大事です。

特に、お子さんが周囲に流されやすい性格だと、入学後に入った部活動や、友人になった子の存在で、大きく成長できる場合もあれば、悪い影響を受けてしまうこともあります(お子さんの成長を促すものに関しては、回を改めて書きます)。

この連載でも繰り返し書いていますが、最近は少子化で、学校関係者は評判アップ、また、評判低下を招かないための行動に気を配っています。ちょっとした評判が、志願者の大きな増減に関係し、学校にとっての「評判アップ」や、「存続の危機」につながります。

ですので、校則で禁止されていることをすると、以前に比べて処罰が厳しくなっている感があります。
  喫煙、飲酒、万引きなどが見つかった場合、即座に退学、ということも珍しくありません。学校によっては、反省・改心したかどうか待ってくれる場合もありますが、この場合でも、2度目に発覚した場合、即座に退学に追い込まれます。 イメージ

「素敵なファッションの女子高生」として、街角でスカウトされ、雑誌に写真が出ただけで、停学や厳重注意になる学校もあります。
  「自分の責任で芸能活動をしても良い」とする学校もありますが、もちろんその場合は、自分なりに学業にもがんばることが求められます。学業がおろそかになれば、高校生以上の場合、留年などの問題に直面します。

(なお、学校でなくても、厳しいルールがある場合も聞きます。私が中学生の時、子役として活躍する同級生がいましたが、彼女の所属する劇団では、「通知表を学期末ごとに劇団に持参し、前学期より成績が下がったら、直ちに退団」というルールがあったそうです。)

喫煙などの問題に関しては、個人的にはただ罰しても直るものではないので、第8回連載で書いた通り、「タバコをやめる」ための指導が必要だと思います。妊娠も、女生徒を罰するだけでは何の解決にもなりません。ただ、そこまで長い視点で考えてくれる教員や学校は少ないと感じています。困った時は、私でよければ、いつでもご連絡を下さい。

また、ある女性タレントさんが、「学校で禁止されている芸能活動をした」ことで、高3の秋に私立校を退学になったのですが、「校則にはどこにも書いていない」という反論をして、現在、裁判沙汰にまでなっています(この件で、私もあるメディアから取材を受けました)。確かにその学校の場合、校則では細かい規定がないのですが、「毎年通達を出していた」と学校は主張して、両者の主張はまったく平行線のままのようです。

保護者の皆さんは、受験前に「その学校の校則の大きなポイント(例:1.タバコや万引きは即座に退学 2.芸能活動するなら転校)」を紙に書き、たとえば、新聞各紙に出た、選挙前のマニフェスト比較のように、表にされてはいかがでしょうか。

校則に関して、入学後、「こんな決まりがあるのか」と驚くこともあるでしょう。もしも、納得いかないのなら、親子で話し合い、また、学校に質問することも大事です。学校側への話の仕方は、第22回連載をご覧下さい。

そして、毎年必ず、「入ってみたけれど、この学校は合わない」という生徒が、残念ながら出てしまいます。親子でよく話し合い、その場合、学校を変わる勇気も大事です。学校を変わったことで、お子さんが大変のびのびして、実力を発揮する、ということも珍しくないのですから。学校を変わることで、「前向きにがんばる勇気」を持てるのなら、合わない学校に通い続けているよりも、はるかに良いことです。

この春、新しい学校に進んだお子さんにとっては、夏休みに改めて「この学校に通い続ける」ことの意味を考える良い機会です。また、来年受験を控えているお子さんにとっては、「その学校でどれだけ自分が成長できるか」校則を見比べる、大事な機会です。そのような面で、その学校の良さに気づくことができれば、大変良いのではないでしょうか。

【今回のまとめ】
  1. 校則は、学校の基本方針と連動した、子どもの学校生活で大きな比重を占める存在
  2. 基本方針はもちろん、何をしたら処罰されるか、という点も確認しておく
  3. どうしても合わない場合、学校を変わって「前向きに改めてがんばる」勇気も大事

2007.8.2 掲載

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