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第43回 「学校の安全性の問題」について Part3


皆さんこんにちは。
  安倍前首相の突然の辞意表明で、福田新首相による内閣が発足しました。新首相になって、教育再生会議も縮小することや解散することなどが考えられます。教育とはこのような「突然消えてしまうかもしれない会議」の形でなく、数十年単位のプランを立てて、抜本的に見直しをしていくことが大事ではないでしょうか。

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毎回、連載のはじめに明るいニュースをお届けしたいと思うのですが、学校をめぐり大きな問題が次々起こるのが非常に残念です。7月に、兵庫県の私立高校3年生の生徒が、同級生から深刻ないじめを受けて自殺していたことが明らかになりました。ご遺族の皆様に、心からお悔やみ申し上げます。

「また私立校だ」、このニュースを最初に聞いた時に私が感じたことです。私立校では問題点があっても発覚しにくいことは繰り返しここで指摘していますが、これも私立校ゆえに発覚が遅れたのではないでしょうか。

お子さんが保護者を斧で切りつける事件も2例発生してしまいました。ご関係者の皆様にお見舞い申し上げます。最初の事件は、娘さんが警察官の父親を寝ている間に殺すというショッキングなものでしたが、父親の浮気を嫌っていた、という報道が出ています。

今の父親は総じて子育てに積極的ですが、それでも、思春期に入った娘から見れば、「うっとうしい異性」という見方になることが多いようです。生徒たちも、理解ありそうな父親を持っているのに、「お父さんと口をきくのがいやだ」、などと言います。

でも、これは思春期特有のもので、成長に従って父親との関係も改善していくのが一般的です。ただ、この時期に父親が浮気などをしていると、憎悪がとてつもなく増してしまいます。今回の事件は、外では「正義の味方の警察官」、家に帰れば「浮気と暴力で家族を苦しめる」父親が許せなかったため、最悪の結果を招いたのではないでしょうか。

また、相撲界では、17歳の力士が、親方と兄弟子から暴行を受けて亡くなる、という衝撃的な事件が起こりました。ご遺族の皆様に、心からお悔やみ申し上げます。 少子化の進む現在、数少ないかわいいわが子を手放したがらないという理由も大きいのでしょうが、相撲の新弟子検査の受検者が減っています。今のままでは、相撲に子供を進ませたいと願う保護者は激減するに違いありません。それはつまり、相撲界の存続の危機につながるのではないでしょうか。

今回は、「学校の安全性の問題」について考えます。第2回では「不審者などの対策」、第31回では「救命救急」について主に考えましたが、今回は、「悪天候時や災害時の備え」について考えます。

お子さんの長い学校生活の間には、台風の襲来や地震などの災害が降りかかることもあると思います。普段は意識しなくても、そのような際の学校の方針、対応をよく見ると、「学校の危機管理への考え方」が明らかになります。

台風が接近した時の学校の対応に関して、お子さんの学校ではどのような規定があるでしょうか。いちばん分かりやすいのは、たとえば、「朝6時の時点で、○○地方(学校の所在地)に大雨(大雪)警報が発令されていたら、休校とする」、「○○地方に大雨(大雪)警報が発令されたら、ただちに授業を中止し、下校する」といった形で書かれているものです。

わかりにくい文章で書かれている場合は、お子さんや保護者が判断に迷ってしまいます。そのような文章を載せていることで、その学校の危機管理への考え方に問題があると言っても良いでしょう。

わかりやすい文章があっても、学校長の指導力に問題があったり、学校内部で教員間の争いがあったりすると、「今日は台風が接近しているので、放課後はただちに下校ということになった。●●部は4時までに全員帰ったが、□□部は5時までに帰った」ということが起こります。

これでは、万が一、電車が止まったなどの場合、「●●部の生徒は自宅の最寄り駅まで帰れたが、□□部の生徒は帰れず、保護者が危険をおして途中駅まで迎えに来た」といったことも起こらないとは限りません。

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働いた経験のある方ならご理解いただけると思いますが、判断が部門によって異なる、というのは、組織として大いに問題があることを意味します。ですので、お子さんの通う学校や志望校には、このように尋ねてみられると良いでしょう。 「学校の出す判断は、どんな場合・問題でも、学校全体で統一、徹底されているものですか」
  徹底されている、という返事がない場合、その学校は何かしら内部組織に問題があると見て良いでしょう。そのような組織にお子さんを預けることは、非常に心配なことではないでしょうか。「学校の出す判断の徹底・統一」を求めてPTAなどで動かれるのが良いかと思います。放置しておいては、間違った、偏った判断のためにお子さんが泣くこともあるかもしれませんから。

それから、この10月1日から、「緊急地震速報」が運用開始されました。これは、「10秒後に大きな地震が来ます」などの形で、大地震の到来を知らせるものです。
  ですが、このような速報が来ても、学校にいる場合、学校できちんと訓練をしていなければ、対応できません。生徒たちをパニックに陥らせるだけの可能性があります。

地震などについての訓練を行なっているかどうかは、お子さんがもらってくる学校の年間行事予定に載っていることで確認できます。私立校の場合、避難訓練をしていないことも珍しくありません。訓練をしていない場合、その学校は地震に対する備えがゼロ、または、ないに等しいのではないでしょうか。そのような学校にお子さんを通わせることは、わざわざ「高いお金を払って」危険な目に遭わせていることになってしまいます。

建物に、耐震化工事などが実施されていることももちろん重要ですが、学校の工事には莫大な資金(税金)が必要なので、「2年後に実施予定です」ということもあるでしょう。ハード面(建物)の備えが遅れていても、ソフト面(人材)の備えがしっかりしていれば、足りない部分を補うこともできるでしょう。そこで、避難訓練などが実施されている場合は、内容の確認を、実施されていない場合、お子さんを守るよう、PTAを通して実施要求を出していかれるのが良いと思います。

災害時や悪天候時の登下校の規定、避難訓練などはお子さんの持っている「生徒必携」、「学校生活の手引き」など(学校によって名称が違いますが、学校生活の決まりを書いたもの)、年間行事予定などでわかりますから、週末などを利用して、親子で確認してみることをお薦めします。

【今回のまとめ】
  1. 災害時や悪天候時の登下校についての規定・対応は、「学校の危機管理への考え方」や、「学校の内部組織の問題点」を見分けるポイントのひとつになる
  2. 避難訓練のない学校にお子さんを通わせるのは、お子さんをわざわざ危険な目に遭わせる行為である

2007.10.1 掲載

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