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第54回 「経済危機下での教育費対策」について

皆さんこんにちは。
  私事ですが、先日、義父(パートナーの父)が逝去致しました。この連載でもたびたび取り上げていた義父です。自分で決めた有料老人ホームで生活して、たった半年のことでした。施設で認められないことを、必ず認められるとかたくなに信じて叫び続け、ストレスがたまった結果、発病して亡くなりました。

本来、最低でも数百万円を支払って入居する有料老人ホームとは、手厚く世話してもらえ、ストレスとは無縁の環境です。にも関わらず、義父はストレスが主原因で発症したと思われ、搬送先の救急病院の先生が大変不思議そうな顔をなさいました。実情を話したら、想像できないという顔をなさり、
 「それは大変でしたね」
と言われました。

介護は、どのような場合でも、関わる方なりの大変さがあるはずです。介護に関わる全ての方に、それぞれのご苦労やおつらさがあると思います。ただ、義父の場合は、介護の常識的範囲では解決できないことばかりを言い続けた、と私は受け止めています。

パートナーと結婚したことで義父と知り合い、有形無形のものをいただきました。特にこの1年ほどで得たことは大きく、この連載で書くだけでなく、必ず本などにまとめたいと考えています。

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今回は「経済危機下での教育費対策」について考えます。アメリカに端を発した経済危機がさまざまな形で日本を襲っています。特に最近は急激な円高の進展で、日本企業が大きな打撃を受けており、年末を前に解雇される方、内定取り消しの大学生も多く出ていて、本当に痛ましいです。

この冬のボーナスの削減で頭を悩ませているご家庭も多いと思います。場合によっては、来年夏のボーナスが更に削減されることも考えられます。成長過程のお子さんのいるご家庭では、教育費などでご心配も多いことでしょう。そこで、私なりにポイントをまとめてお話しします。

まず、ご家庭の経済状況が急変した場合、お子さんには正直に話して下さい。つらいことですが、大丈夫ではないのに「心配しないで」と言われても、子どもは強い不安を感じます。
  お子さんの年齢で理解できる範囲でいいのです。「お父さんは来月から仕事に行けなくなってしまったんだ、でも、一生懸命仕事を探して、がんばるからね」などといった形です。

そして、その上で、「大変な時だから、家族力を合わせてがんばろうね」などと、お子さんにも協力を求めて下さい。もちろん、お子さんにできる範囲のことで構いません。家事の手伝いなど、子どもでもできることは家庭内にたくさんあるのです。つらい時こそ、家族の団結が求められます。

それでは、お子さんの事情に応じた対応を書いていきます。

○学齢期のお子さんがいる

  学齢期のお子さんがいて、家計が急変した場合、基本的には「奨学金を借りる」という救済手段があります。ただ、それは、一般的に「高校以上=義務教育を終えた段階」の話で、小・中学校までの義務教育期間の児童・生徒を対象にした奨学金は、公的には存在しません。義務教育中は、家計が急変したら、学費などが無償の公立校に行けばいい、という意味だからです。高校の場合、義務教育ではないので、公立校でも奨学金が設けられています。

なお、私立校の場合は、学費を払い終わっていなければ、どんなに成績優秀でも、卒業が認められません。毎年どの学校でも、かわいそうなのですが、そのような生徒が出ています。ただ、義務教育期間も含めて、私立校では独自の奨学金を設けている場合があります。義務教育期間で奨学金を借りると、大学進学などで費用が出せなくなることも考えられるので、なるべく避けていただきたいですが、緊急の場合はやむを得ません。

ですから、家計が急変したのなら、ただちに担任などに相談して下さい。各学校には必ず、奨学金担当の教員がいます。担任などを経由して相談にのってもらえますので、冬休み中でも放置しないで、すぐ連絡して下さい。

○受験生がいる

  お子さんの志望校に、「入学前に予約して、入学後借りられる奨学金」や、「成績優秀者には学費が免除、または減額される」制度を設けている場合があります。ですので、学校に問い合わせして確認して下さい。

次に気をつけたいのが、「入学後の生活」です。高校までは、入学後ただちに修学旅行の積み立てが開始されたり、制服がある場合、夏服の購入などが必要になります。
  毎年、最低でも必要な学費を計算して、その学校に通わせることが厳しそうなら、お子さんに正直に話をして、その学校をあきらめる選択肢も考えて下さい。
  今の段階で厳しいのに、来年夏までに更に悪化したら、「せっかく入学した学校を、たった3ヶ月程度で退学せざるを得ない」状況になります。それでは、あまりにもお子さんが気の毒です。

たとえば、私立中学ではなく、公立中学に進学しても、家庭などでその子の学習意欲や長所をフォローしていくことは充分可能です。公立校だけの教育では(授業時間数の関係などで)学力の定着で不十分な場合がありますので、フォローが重要です。不安な場合は、メールをいただければ、相談にのらせていただきます。

最近はお子さんの教育費に投資しすぎ、住宅ローンが払えなくなってマイホームを手放したり、保護者の老後の費用が出せないといった事態も出ています。それも将来の大きな不安になるので、「ご家庭で出せる範囲の教育費」を改めて考えて下さい。

何より、たとえばお子さんが学校になじめない時など、「親がお金などで無理して進学させてくれている」と思い、お子さんが心身ともにストレスをためたり、「こんな学校に行かせた親が悪い」などと考えかねません。このようなことは絶対に避けたいので、家計に無理な負担をして、お子さんを通学させないで下さい。

○お子さんが高校生以上

  緊急事態なのですから、家族の団結が大事です。「お小遣いはもう渡さないから、アルバイトで必要なものを買いなさい」、「学費は払うから、定期代はアルバイトしたお金で払いなさい」など、ご家庭に応じて子どもにもアルバイトをさせて下さい。
  その際、学校によっては、届出を必要とするところもあります。校則など充分確認して下さい。家計の急変なら、認めてもらえるはずです。

大学生など、内定を取り消された学生に、救済措置を決めたりしている学校もあります。また、本来優秀で、内定を受けているので、企業によっては社長面接のみで採用を決めている場合もあるようです。大学の就職支援の部署に相談して下さい。

○家計が急変していない家庭

  お子さんに「お金の使い方」などについて考えさせるチャンスです。今までは、「足りなくなったらお金を渡す」などの形でお小遣いを渡していた家庭でも、「毎月決まった額のお金を払い、足りなくなってもその月は渡さない」などの方法に変え、金銭感覚を身につけさせて下さい。

新年になればお年玉をもらうことも多いはずですが、それも、一部だけ子どもに渡して自己管理させ、残りは学費などのために保護者が積み立てる、といったことも大事です。

また、余裕が少しでもあるのなら、「12(15)歳に満期」になる定額積み立てなどをなさっても良いです。こういったことはマネー雑誌などでも特集が組まれています、ぜひご覧下さい。

以上、事情に応じた対応をまとめました。
  どのような場合でも、救いを求めれば、道はあります。地元の役所に相談したり、お子さんの学校に話すなどして、道を探して下さい。もちろん、私もお手伝いをさせていただきます。

今回は今年最後の更新です。読者、そして、関係者の皆様に、今年読んで下さったお礼、そして、来年のご多幸を心からお祈り申し上げます。


【今回のまとめ】
  1. 家計が急変した場合、子どもにも理解できるように話し、家族で団結して対応する。子どもの年齢に応じて、家事手伝いやアルバイトなどをさせる。
  2. 必要な学費などを計算して、負担が厳しそうなら、志望校を変更したり、場合によっては奨学金を借りる、などの手段を考える。
  3. 保護者の生活に必要な資金まで削ると、のちのち生活に支障が出るので、「無理をしない」範囲で学費を出す。また、「親が無理をしている」と思った子どもがストレスを感じることもある。
  4. 家計が急変していなくても、お金の使い方などについて子どもと話し合い、考えさせる。

2008.12.24 掲載

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