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親子のココロに効く絵本

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息子を出産後、絵本にハマった。夢中で読み聞かせるうちに、絵本なぞなぞ、絵本寸劇、「絵本の主人公が自分だったら〜」ごっこなど、絵本をきっかけに愉快になることにも開眼。これって、きっと心育ての一貫では!? そこで、フツーの絵本ガイドじゃものたりない皆様に贈る、大人と子どものココロに効いた絵本の数々をご紹介!

第16回 「大きな古時計」

大きな古時計

「大きな古時計」(学研)
平井堅・歌・字
作詞・作曲・HENRY CLAY WORK
塩田雅紀・絵
定価:1470円(税込)
私的おすすめ年齢 6歳〜
「人はみんな、いつか死ぬんだ」ということが
実感としてわかったら


おじ〜いさんといっしょに、
チク、タク、チク、タク♪


子どもって、どうしてテレビから流れる歌を、なんでもかんでも覚えてしまうのでしょう!

  特にCMはそうです。日立の木の歌、アフラックのあひるの歌くらいならほほえましいですが、「そんなのかんけえねえ!」だの、「ラララライ!」を毎日、振りつきで歌われ続けると、

「ちょっとはだまっとけ〜!」

と、思ったりすることも。

「大きな古時計」の歌も、
平井堅さんが歌ったヒット作として、
例によってテレビで見て、
  最初の1フレーズは知っていたようです。歌詞の部分は、平井堅さん直筆だそうです。

この本は、

「歌が絵本になってるなんて珍しいなあ」

と思って買った1冊です。
  しかし、子どもは思ったよりもずっと、楽しんでくれたのです。

「百年」とか「ご自慢」とか、漢字があるので、親も一緒に読まなくちゃなりません。
  となると、やはりこれは歌詞ですから、必然的に歌いながら読みました。

それが、こんなにツボにはまるとは!!

単純なメロディですから、子どもはすぐに覚えて歌います。もちろん親子ふたりで!
  そして、読み終えたときの息子の第一声が、

「おもしろかったあ!!」

でした。

最近、早々聞くことのなかった、シンプルな喜び方に、私はびっくりしたものです。
  歌い方も、よかったのかもしれません。我家では、歌を歌うときは、マンガのように頭を右、左、右、左、とゆらせながら歌います。
    はたから見たらマヌケですね。

もう小学2年生ですから、歌詞の意味もわかります。生まれたときに買って来た時計。花嫁が来て、うれしいことも楽しいことも、皆知っている時計。

最後にベルを鳴らして、おじいさんが天国に行くことを知らせます。子どもより先に、私がウルッと来てしまいます。

――息子は、歌が楽しかっただけではなかったのではないか、と思います。

それはなぜか。実は、

「死んだらどうなるのか」

ということに、とても興味を持っているからです。

母子家庭なので、

「お母さんが死んだら、どうすればいいの?」

と、昔から何度も聞かれました。

そのたびに、

「みんな、順番に死んでいくから大丈夫」
「百歳まで生きるから」

と言っているのですが、もう今は物心がついてしまっています。テレビなどで、どんな年齢の人も事故に遭ったり、病気になったりして死ぬことがあると、知っているのです。

ふたりで楽しく歌いながら、

「人ってみんな、いつかは死ぬよ、でも天国にのぼるのだから、怖いことではないよ」

そんな想いを、伝えてもらえたような気がします。

息子よ、大丈夫。
  あと20年くらいは生きるからね。

親子ともども、癒された絵本です。


2008.3.22 掲載

著者プロフィール
高清水美音子(たかしみず みねこ):月刊誌4年、週刊誌6年の編集者生活の後、できちゃった結婚で息子出産。これを期に、夫婦&家族、人間関係、コミュニケーションの問題などを好むフリーの編集&ライターになる。苦手の算数は教えられないかわりに、「何でもおもしろがれば人生は愉快!」という教訓を息子に教えるべく奮闘中。著書に、できちゃった結婚するカップルのバイブル『祝!できちゃった結婚』(メディアファクトリー)があり。しかしながらわけあって現在、シングルマザー。まあ、よくある話です。

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