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第155回 グローバルダイニング社長・長谷川耕造氏
東京都小池百合子知事を損害賠償で訴える

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(左)グローバルダイニング代表取締役 長谷川耕造氏
(右)弁護団団長 倉持麟太郎氏

外国特派員クラブの窓から

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「コロナ対策特別法に基づいた東京都の時短営業の命令が違法・違憲」だとし、特措法そのものの違憲性について争うグローバルダイニング代表取締役・長谷川耕造氏が、3月30日、弁護団団長・倉持麟太郎氏と共にプレスクラブで記者会見を行った。

長谷川耕造氏の主張は「時短要請に応じていない約2000店舗の内、原告の26店舗を含むたった27施設だけを対象に命令が発出されたのは、時短要請に応じない旨を発信していた原告を狙い撃ちしたもので、法の下での平等原則に反し、表現の自由及び営業の自由を侵害する違憲・違法である」とするもの。

訴訟は、科学的見解に異論がある中で、行政のコロナ対策が「国民の生命及び健康を保護し、並びに国民生活および国民経済に及ぼす影響が最小となるように」(特措法1条)されているか、「必要最小限のものでなければならない」(特措法5条)の趣旨に基づいて行われているかを司法の場で審査し解明することが目的であり、損害賠償が主たる目的ではないとし、請求額は104円(1店舗1円×26店舗×4日間)と設定した。

また、法廷闘争を支援するための訴訟費用を募るクラウドファンディングは、600万円程度を想定していたところ、一日で1000万円を集め、記者会見当日までに1730万円に達したことを報告した。

映画「キル・ビル」の舞台になり、ブッシュ大統領と小泉首相の来訪などで国際的に人気が高い民間外食企業のCEOが、東京都知事という「お上」を相手に争うのはレストラン史上初めてで、内外のメディアが注目した。

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ハナ・カク氏(通訳)、倉持麟太郎氏(弁護士)、長谷川耕造氏(グローバルダイニングCEO)、ロビン・ハーディング氏(司会:フィナンシアル・タイムズ東京支局長)(左より)

質疑応答より

フランクフルター記者(ドイツ):同業他社から原告団に参加したいとの申し出はあったか?
長谷川:ネットでの問い合わせはあったが、(都からの)命令が届いていないとのことで参加はない。

筆者:都議選に対する影響は?
長谷川:都議から連絡があったが権力側とは連携したくない。小池さんは神奈川県知事にやられて選挙問題では失敗したが、コロナ禍を自分の権力闘争に利用しようとしている。

筆者:都庁官僚はこのまま長谷川さんを解放するとは思えない。どのようなイジメを覚悟しているか? 従業員のVisaに問題は?
長谷川:外国人従業員のVisaは正規。日本人配偶者を持つスタッフもいる。

ロイター通信記者:厚労省職員23人が深夜まで会食していた件で、厚労大臣が謝罪したが?
長谷川:彼らは外出して会食することを恐れていないが、(日本には)同調圧力があり、年長者の意向を尊重している。(西部劇の)「ローハイド」のように鞭がしなれば群れの全員がそちらに流れる。

ビデオ・ニュース記者(日本):グローバルダイニングが時短に従わない理由に言論の自由、法の下の平等、憲法21条を挙げているが、都による命令に保証が十分であれば訴訟しなかったのか?
長谷川:私は(法律問題には)アマチュアの商人でエンターテイナー。日本は巨大な村社会で全員が同一の動きをする。この動きの誤りはナチス、イタリアとの三国同盟で証明されたが、(元帥海軍大将)山本五十六以外は誰も注視しなかった。都からの命令はMandate(強制力のある命令)ではない。カリフォルニア州では店舗をMandateで閉店したが、小企業に対するPayroll Protection Program(給料補填計画)があり、申請したところ2週間で小切手口座に振り込まれ従業員を解雇しなくて済んだ。

フィナンシアル・タイムズ記者(イギリス):勝てる裁判としての訴訟か、抗議としての訴訟か?
倉持麟太郎:(日本には)試合に負けて勝負に勝つ、という言葉がある。試合に勝つつもりで戦略を立てているが、憲法違反という裁判の中身でも勝つつもりだ。

フランクフルター記者(ドイツ):オリンピックに訪日客を受け入れてもよいのか?
長谷川:政治問題だ。1964年のオリンピック当時私は14歳で、オリンピックの美しさに興奮した。現在のオリンピックは商業的、政治的で美しくない。


長谷川耕造氏の経歴

長谷川耕造氏は1950年横浜生まれ、71歳。早稲田大学商学部を2年で中退してヨーロッパを放浪し、帰国後「長谷川実業」を設立。高田馬場に「北欧館」という喫茶店を開き、その後都内にレストラン数軒を開店。1997年、社名を「グローバルダイニング」に変更。アジア・レストラン「モンスーン・カフェ」、メキシコ料理店「ゼスト キャンティーナ」、創作和食店「権八」など首都圏、アメリカなど47店舗を経営する東証2部上場会社に。昨年、コロナ禍の被害中小企業としての税法上の処理を受けるため、資本金を3000万円に減額した。

今回の訴訟をおこしたのは、独自の世界史観と自己責任で71歳まで生きてきた長谷川氏として、金銭上の問題以上に、所謂「お上」が命令責任を問われる命令(mandate)でなく、命令と称する曖昧な要請で人々の生業をコントロールしようとするのを看過できなかったからだろう。

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記者会見会場。入場定員20名(その他はZoom会見)

2021.4.12 掲載


著者プロフィール
渡辺 晴子(わたなべ はるこ) : 同志社大学文学部英文学科卒、ミズーリ大学大学院ジャーナリズム学科修士(Kappa Tau Alpha賞)、コロンビア大学ジャーナリズム大学院にて元CBSニュースプロデューサーFred W.Friendly教授の元で“News & Law”問題を研鑽する。小学生時代に教科書に炭を塗らされた経験と内外メディアの60年学生安保闘争報道に対する疑問からジャーナリストを志望。HKW、シカゴ・サン・タイムズ、アジア新聞財団(東京支局長)を経て、現在HKW代表、メディア・リポート特派員。40年来の(公益社団法人)日本外国特派員協会会員で、副会長、理事、監事、選挙管理委員長を歴任し、現在は永世会員。特別企画委員長としての同協会の取材活動、文化事業を主宰している。HKWでは、1975年国際婦人年に、女性の活動を通して日本を国際社会に紹介するため、女性政治家・市川房枝、消費者運動家・高田ユリなど「女性先駆者たち」“Women Pioneers”シリーズ10巻を3か国語(日本語・英語・中国語)で制作(市川房枝のみフランス語、スペイン語を加えた5か国語)。これが女性の手で女性史を記録する世界的運動の先駆けとなり、ユネスコ「女性とメディア」開発コンサルタントとして契約され、アジア・アフリカのジャーナリストを育成。また、国内では上智大学講師も務めた。さらに、「国連婦人の10年」から「国連女性2000年」まで(1976年~2000年)、政府間会議と並行して世界からの参加者とメディアを対象に「女性とメディア・フォーラム」を主催した。East-West CenterよりInternational Achievement in Journalism Awardを1991年に受賞。
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