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第122回 東京入国管理局プレス・ツアー

5月11日付きの東京入国管理局の収容施設で被収容者約40名が長期収容に抗議し、処遇改善などを求めてハンガーストライキを行っているとのロイター報道に接し、プレス・クラブの特別企画委員会では早速取材交渉を始めた。

6月は「不法就労外国人対策キャンペーン月間」(Prevention of Illegal Foreign Workers Campaign)のため担当者の出張などもありコンタクトに時間がかかったが、「記者は6名以内、質問は前もって文書で行う」との条件で6月7日東京入管管理局を訪ねた。

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FCC会長カルドン・アズハリ氏(パン・オリエントテレビ)。東京入国管理局玄関前にて。

入局管理局ではハンガーストライキのような集団的示威行動は要望を伝えるのにふさわしくないとの見解を示しているが、中国人1名が警備員に引っ張られて怪我をしたとの強制行為については次のように説明した。

開放スペースから自室に戻らない被収容者を抱えて連行したところ身体の異常を訴えられた。病院で医師の診察を受けさせたところ5名は異常なしで自室に戻され故意に異物を飲んだ被収容者のみ数日間入院した。「異物とは何か?」との質問に「電気カミソリの刃」だとの答え。収容棟ではレンタルで電気カミソリを貸し出している。

インフォ―メンション・センター、面会受付など見学。
 

東京入管管理局の被収容者は6月5日現在男性374名女性177名合計551名で、国籍別の最大被収容者は中国人で77人。今年5月22日までの収容期間は最長1年11か月に上る。収容施設では「ハラル(イスラム食)」など宗教により規制のある被収容者にも栄養士によるバランスのとれた食事が提供され、医師・看護師が常駐し健康に万全の注意を払っているという。長期収容中に日本の歯科医師の技術で歯をすっかり治療してから強制送還されたツワモノがいた、という笑い話も伝わっている。

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尾形茂夫渉外調整官をインタビューする
李淼氏(香港鳳凰衛視東京支局長・右奥)と宮崎亜巳氏(ロイター特派員・右手前)

「被収容者のプライバシー尊重のため、施設は空き部屋のみ撮影可能」との返答に期待して収容施設に向かったが、結局「空き部屋なし」でビデオ、スチル共にNG。「収容可能800名のところ入館者551名では空き部屋があるはずではないか?」との質問には「定員4名の部屋だが、2名または3名で収容している」という返事。

特派員たちが日本の労働市場の状況から判断して外国プレスに報道されることの重要性を再度強調すると、「将来検討してみる」との答え。特別企画委員会では被収容者の人権問題を注視し、今後とも粘り強く収容棟内の撮影を要求していきたい。


2017.6.21 掲載


著者プロフィール
渡辺 晴子(わたなべ はるこ) : HKW、シカゴ・サン・タイムズ、アジア新聞財団(東京支局長)を経て、現在HKW代表 メディア・リポート特派員。30年来の(社)日本外国特派員協会会員で、副会長、理事、監事、選挙管理委員長を歴任し、現在は特別企画委員長、永世会員。同協会の取材活動、文化事業を企画している。また上智大学講師、ユネスコ「女性とメディア」開発コンサルタントとして内外のジャーナリストを育成。
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