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第125回 小池百合子東京都知事一年目の報告

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小池百合子東京都知事

東京都知事小池百合子氏は8月3日当選後初めてプレスクラブで記者会見を開催し、就任一年後の報告を行った。司会のカルドン・アズハリ会長がお互いに堪能なアラビア語で進めたいのだがクラブの規則で使用言語が英語に限られている、と会場の笑いをとり、友好的な雰囲気の中で講演と質疑応答が行われた。なお、講演は英語で行われ、英語による質問には即日本語で答え、それを通訳が英訳するという省エネ、省時間で行われた。

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超満員の記者会見場

小池知事は希望の塾出身者と公明党で議会の過半数をとった今、1300万人の都民への責任として都民ファースト、情報公開、ワイズ・スペンディングをふまえ、東京をグローバル社会の持続可能な都市のモデルとしたい、と宣言した。

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2020オリンピック・パラリンピックの都政への意義は

Safe cityとして地震、疫病に強く、美観と災害時の安全のため電柱をなくす。Diversityでは高齢者、障害者、こども、LGBT(レズビアン、ゲイ、バイ・セクシャル、トランス・ジェンダーなど性的少数派)を問わず希望をもって生きられる社会を目指す。Smart Cityとして東京を持続可能な国際金融都市として発展させたいと述べた。

ライフ・ワーク・バランスを確立するために都庁内にデイケア・センターを設け、時差出勤、テレワークを促進、省エネ広報のためにはピコ・タローの協力を得て電球2個をLED1個に交換するキャンペイン等も行っている。


質疑応答から:

シンガポール・ビジネス・タイムズ:国際金融都市とするためには?
小池:海外企業が日本で開業するために一カ所で登録可能にし、国際人材を呼び込むために八重洲、虎ノ門で国際学校を設立し、また聖路加病院のような多言語で診療を受けられる医療機関を増やす。ITを利用してミャンマ―、タジキスタンのような(少数派の)言語はスマホに入れたアプリで対応する。

AP:2024パリのオリンピック・パラリンピックへのコメントは?
小池:オリンピックの創始者クーベルタン男爵記念の節目の年の開催をお祝いしたい。パリは既存の施設を使用しての開催でワイズ・スペンディングが出来る。東京も2020年後にその施設をどうするか、運営を民間に任せる、ネイミング・ライツなど考えたい。

渡辺(筆者):築地女将さん会が今になって豊洲移転反対しているがどう説得するか?
小池:豊洲移転については様々な処置、追加調査をした。選手村と東京の中心部を結ぶ道と4000台の駐車場を確保しなければならない。イデオロギーの問題もあるが。80年前に立ったネズミの走る場所では営業できない。多くの人々が築地に愛着を持っている。築地のレガシーを生かして5年後に再開発したい。

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「築地女将さん会」の豊洲移転への疑問について説明を求める筆者

ドイツ・ハンデルス・ブラッド:フランスのマクロン大統領は国政でチャレンジして成功したが?
小池:マクロン大統領が経済担当大臣から大統領になったことは関心を持ってみていた。彼は政党を立ち上げて6割の票をとった。私自身も政党の支持はなく都民との協力で知事となった。希望塾には18歳から80歳の6000人が応募。都議選候補には300人が応募し41名が立候補し全員が当選した。その後5名追加で公明党と合わせると127議席の過半数をとった。(成功の理由は)政治学者に分析してもらいたいが、既成政党では改革が行われないという事で新しい政党に希望が託された。その理由は時代が大きく変わり流れが速いので(既成政党の)これまでの議論の延長線上ではいられないとの有権者の合理的判断。

フィナンシアル・タイムズ(英国):東京を国際金融都市にする具体策は?
小池:人、物、金、情報については国との連携が必要。高度な人材を東京に招く。税金についてはマクロン大統領は法人税を25%とし、トランプ大統領は20%とか、15%とか国境税とか言っている。国税は岩盤のようで東京都は高率の法人税に頼っているが政策的にESG投資(編集部注:Environment, Social, Governance環境、社会、企業統治への取り組みを投資判断の材料とする投資)への減税を考えたい。また、新しい国際企業が日本に来て日本語で様々な登録書類を書かなくて済むようOne stop service centerを作る。これは国際企業だけでなく、ほかの産業についても有効な手段となる。

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尚、小池百合子東京都知事の講演直後から一週間、メダル制作のための都市鉱山の掘り起こしとしてプレスクラブ内にリサイクル・ボックスが設置され、スマホ、携帯電話、タブレットなど40点が集まった。(終わり)


2017.8.24 掲載


著者プロフィール
渡辺 晴子(わたなべ はるこ) : HKW、シカゴ・サン・タイムズ、アジア新聞財団(東京支局長)を経て、現在HKW代表 メディア・リポート特派員。30年来の(社)日本外国特派員協会会員で、副会長、理事、監事、選挙管理委員長を歴任し、現在は特別企画委員長、永世会員。同協会の取材活動、文化事業を企画している。また上智大学講師、ユネスコ「女性とメディア」開発コンサルタントとして内外のジャーナリストを育成。
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