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第15回 病院は、「非病三原則」が大前提の「健康刑務所」だ!


細かいことはおいといて、僕は今入院しています。なにしろ、生まれて初めての「入院」ですので、体調の悪さと同等ぐらいのドキドキがあります。

最初の2日間は、ただただ不安でたまりませんでしたが、先生に「普通に考えて1週間だね」とあっさりきっぱり言われてから、 持ち前の嫌われ者根性が勝ち始めてきました。いや、ほんとに、身体に入ってくる栄養は全て点滴だけなので、 ちょっと売店まで買い物に行っただけでへとへとになっちゃうくらい体力は落ちていますし、難しいことをあんまり考えられなくなっちゃっています。 これは、本当です。

が、だめなんですよ、見慣れないもの、見慣れない環境、慣れない生活、というのが目の前にあると、ドキドキしちゃうんです。


酒、タバコ、インターネットをぱったりと絶った!

で、ふと思いつきました。
病院っていうのは、「非病三原則」を大前提に動いている「健康刑務所」なんだとっ!!!!

まず、「非病三原則」とは。「(1)酒を呑まない(2)タバコを吸わない(3)インターネットをやらない」という、 病気になる三つの鉄則を絶対にさせないことを、全ての患者に強いていく原則のことです。

内臓は健康な人たちが入院する整形外科の病棟で病院の夕食にワインがついた、なんて話は聞きません。
喫煙場所は、僕がいる病院では広い敷地の中で中庭と受付脇の喫煙室の2箇所。
そして、「全館携帯電話使用禁止」。つまり、i-modeもAirH"も、使っちゃいけないのです。

イラストしかしっ!!「非病三原則」は、「非核三原則」といっしょで、自己申告制。破ろうと思えば破れます。 が、少なくともこのヘヴィスモーカーでヘヴィドランカーでヘヴィインターネッターだった僕が、ぱったりとその三つを絶ってしまったのです!!  これはもう、大事件です!!!!

それはなぜかっ!! ……こんな機会、そうそうないんだから、存分にその空気に染まって見なきゃ楽しくないじゃないですかっ!!……だったら、 「ここは、健康刑務所なんだ」という、自分が組み上げたフィクションの世界で遊ぶことを徹底しなければなりません。

……くれぐれも申しあげておきますが、僕は腕に点滴の針を刺したまま安静にしていなければならないちょっと重傷の入院患者です。 が、いかんせん、内臓の苦しみよりも新しい世界への期待感の方が上回ってしまうのです。困った性格です。 こんなことを、近所のベッドの患者さんには絶対に言えません。不謹慎すぎます。


「マロリーワイズ症候群」は、人騒がせな「内臓のケガ」

  そして、そう、「健康」というのは、あくまでもどんなに暴飲暴食をしようともその結果どんなことになっても自己責任なわけですが、 星新一のSF小説の世界とかだったら絶対に裁かれるべき対象ですね。

たとえば、「喉が痛いなぁ」と薬屋さんに行ってのど飴を買うと、そこで「健康切符」を切られてしまい、減点1。交通違反切符で言えば駐車禁止ぐらいです。

次に、「38度も熱が出ちゃったよ」と近所のかかりつけのお医者さんに行って、おなかをとんとんされて、「かぜだね」と言われて処方箋をもらうと、そこで減点3。 これは、30キロオーバーぐらいに匹敵します。

その上は、夜中に急に悪寒がして震えが止まらなくなって、熱を測ったら40度。大急ぎでタクシーを飛ばして救急病院へ。点滴を打ってもらって落ち着いて、 「かぜのひどいやつだね」と言われて処方箋をもらって帰宅すると、減点5。やはり、「救急」の時間帯に病院に行ってしまうと減点は多くなりますね。 ここで、「救急車」を選択すると、減点は10。税金を使って運んでいただく、という点と、ご近所への迷惑なども考えるとやむを得ない結果ですね。

しかし、もっと気を付けなきゃいけないのが飲み過ぎ。お酒を飲みすぎて、「だいじょぶだいじょぶ、だいじょぶだいじょぶ」なんて言いながら吐いていたら、 突然血が!!「うわぁぁぁっ!!」一番驚くのは周囲です。なにしろ、今まで元気に呑んでいた人が吐血してしまったのですから、 みんなの脳裏を「……沖田総司……」という文字が走ってしまったはずです。

しかし、実はこれは「マロリーワイズ症候群」という、嘔吐の勢いによって内臓に傷が付いてそこから血液が流れ出してしまった、というもの。 飲み過ぎた本人が悪いわけで、病気でもなんでもなく、本当に人騒がせな「内臓のケガ」です。よって、この件に関しては減点は5ですが、 「民事」で裁かれて当分の間同じ仲間内ではまともにお酒を飲ませてもらえない、という「保護観察期間」を設けられてしまいます。

……と、ここまでは今までの僕の経験。

そして、今回の僕の場合は、こう。


「健康切符」は自分の中でしか切れない

数日前からずっとお腹が痛かったり下痢していたりしたけど、「へーきへーき。気合い気合い。」と仕事に行っていて、 まぁ実際今までの人生はそれでたいていが済んできていたので完全に甘く見ていたのですけど、ある日の夕方、 もう、「いってぇぇぇぇぇよぉぉぉぉぉぉぉっ!!」と声を挙げて叫ばないとじっとしていられないほどにお腹が痛くなって、 病院に電話して「いったいこれはなんなんですかっ?!」と聞いたら「まず来てください、救急でいいですから」と言われ、嫁の車に乗せられて車の中でも 「うぎゃぁぁぁぁぁっ!!」と叫びながら病院に到着、自分で扉を開けて這うようにして「救急」のところに一人で入っていき 「さっき電話した、おなかが痛い加藤ですけどっ!!」と最後の声を振り絞って伝えたら、「あ、どうぞ、ここ、寝てください」 とすらっと言われて瞬時に点滴開始(←こういう長いセンテンスは、小論文では減点です)。

しばらくして、えらく若い、カマキリみたいな男のお医者さん登場。お腹のいろんなところを押して、「ここ、痛い?」「うぐっ!!(痛すぎて何も言えない)」 「ここは?」「うぎゃっ!!(痛すぎて何も言えない)」「ここを、押したとき(ぐっ)と、押した後放したときと(ぐぎゅっ)では?」 「うげぴっ!!(何がなんでも痛くて何も言えない)」「……んーーーむ、わかりませんねぇ……レントゲン撮るか。」……何言ってんだよっ!!医者が患者の前で 「わかんない」とか気軽に言うんじゃねぇよっ!!

で、わかんないとか言ってたくせに点滴が追加されました。これはきっと「ブスコパン」という痛み止め。何度もお世話になってるんです。ここで。

すーーーっと痛みが引いていきます。あーよかった。これで帰れる……とぉぉぉぅ思ったらぁぁぁぁっ?! いってぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!!  なんでっ?! いつもだったらここで落ち着くのにっ!! ……そうなんです、僕はお腹が痛くてこの病院に来たのは、 救急車を使って減点10をくらったことも含めてもう4〜5回目。常習犯だったのです。

さて、しばらくしてから、今度は落ち着いた感じの女性判事(お医者さん)登場。上がってきたレントゲン写真をじっくり見ています。 あまりの痛みで遠のく意識の中で、その先生の言葉だけが飛び込んできました。「んーーーー、この人、加藤さん? ……入院ね」。

にゅーいん?

そうなんです、ついに、僕は有罪判決を受けてしまったのです。刑期は、入院してから主治医の先生に決められるわけです。 あぁ、今まで中性脂肪に気を付けろ、って言われてるうえに、ただでさえ胃と腸が生まれつきそんなに強くないっていうのがわかっているのにも関わらず、 ラーメンを「脂多めで」って頼んじゃったり、「天玉うどんにたぬき追加!!」って頼んじゃったり(←それはない)、 焼肉のタレにどっぷりと豆板醤を入れた上におろしニンニクを入れちゃったり、スキヤキや焼き肉で脂身をもりもり食べたり、 とにかく、せっかくこつこつとバレないように悪事を働いてきたのに……。

「健康切符」は自分の中でしか切れませんし、失ってみないと健康というものの大切さには気付きませんので、あえて「あーしろ」とか「こーしろ」とかは申しませんが、とにかくひと言だけ。

病院というのは、長居するところじゃないっすよ……。

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