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第69回  頑張り続けることが自分の栄養


 今(2006年11月15日)、キャラメルボックス2006クリスマスツアー『少年ラヂオ』で、神戸に来ています。
 ホテルに帰ってきて、いろいろやった後、珍しくテレビを見ていました。
 さぁ、Podcastの更新が終ったし、これから今日撮った写真をMacに落して、ブログを書いて、お風呂に入って、mixiをのぞいてから寝よう、と思っていたら(←めっちゃ寝るまで長いやんっ!!)、ふと、見たような顔が。
 神戸で8チャンネルですから、関西テレビ。フジテレビ系ですね。
 なんと、僕の最愛の中華料理店「広味坊」の料理長・五十嵐美幸さんのドキュメンタリーだったのです。
 「ザ・ノンフィクション 父に捧げる決意の中華〜世田谷・女料理人物語〜」。
 何年も食べさせていただきに行っているのに、千歳烏山店でいつも迎えてくれるホールの女性が、美幸さんの妹さんだった、ということを初めて知りました。
 しかも、なんと、祖師谷店で笑顔が素敵なホールリーダーだったまちこさんが退職されたことも、今テレビで知りました。

 世田谷に住んでいた弟に「まーいーから、信じられないほどうまいから、食ってみー」のようなことを言われて、なんか、豪華な入りにくい感じの高級中華料理屋だったらやだなー、と思っていたら、僕がいないところで連れて行かれてしまったヨメが「すんごくフレンドリーで、しかも、ほんとに今まで食べたこと無いような不思議な味なのよー」とだめ押しをしてきたので、やむを得ず食べに行ったのが最初でした。
 が、もう、今やできることなら毎月でも食べに行きたいですし、もっとできることなら隣の家に住みたいよ、ってくらいに、半分中毒じゃないかってほど大好きなお店なのです。いや、もっとですね。元気をもらいに行っている、という感じでしょうか。

イラスト  で、そんなお店を仕切っている五十嵐さんが、人並み外れて頑張ってきたであろうことは、料理を食べればわかるわけですけど、しかし、あんなにも辛い目に遭ってきていただなんて、食べさせていただいてきただけの身にはまったくわかりませんでした。いや、そんなことをキャクに気づかれるようなことをしてしまってはプロではないのでしょうけど。

 最も頼りにしていたスタッフが、自分の将来を考えて退職する、という瞬間。自分だけが頑張りすぎて、身体をこわしてしまって、でもそういう身体と付き合いながら頑張り続ける姿。
 年齢はおそらく僕とひと回りはちがうと思うのですけど、もっともっとすんごい努力をしているなぁ、とほれぼれしながら見てしまいました。

 そこで、料理人のお父さんから言われた言葉。
 「今後も幾多の困難と出会うと思いますが、自分に与えられた栄冠だと思って頑張ってください」。
 ……ちょっとちがうかもしれませんが、こんな感じ。

 こんな言葉、言えませんよ、ふつー……。

 でもね。
 僕や五十嵐さんみたいに、頑張り続けることがそのときは相当辛くても結局は自分の栄養になるんだと信じ続けられることは、本当に幸せなことなんだな、とも思ったのです。
 人によっては、それぞれきっとこんなステキな「領域」があるのであろう、ということに気づかずに、または気づいていてもたどり着く前に、自分の運命を決められてしまう、または決めてしまう、ということもあり得るな、と。
 だとしたら、僕らの仕事は「すんごくステキな領域があるんだから、あなたはあなたのステキを求めてみませんかねぇ」と、走り続けながら語りかけることなんだな、と。

 人と人とが出会ってしまったら、きっといつかは別れがある。でも、別れに怯えていては、信じるなんてことはできやしないわけです。信じて信じて、頼って頼られていたのに、最後の最後で突然別れの瞬間を迎えた時にも、笑顔で「頑張れ。私も頑張る」と言い切れるような生き方をしたいなぁ、と、「頑張らない」がブームの今日この頃ですが、僕は思うのです。

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 ウチの長女のみうたんが、7ヶ月を越えました。
 もう、下の歯が生えてきて、「歩行器」にお座りすると大喜びで部屋を滑走するようになりました。そして、周りのみんながあやすと、キャッキャッ、と声を出して喜ぶようになりました。僕やヨメはもちろんですが、小4と小1のお兄ちゃんたちがもうメロメロで、夜、いくら寝ろと言ってもみうたんから離れないのです。
 生命は、そこに存在するだけでこんなにもみんなに喜びをあたえ、明日への活力をあたえてくれます。
 そんなあたりまえなことに、時々気づかなくなっていませんか?

 舞台で躍動する役者達が、カーテンコールでお客さんから怒濤のような拍手を浴びた時に見せる、天使のようなほほえみは、僕にとってはみうたんの笑顔といっしょなのかもしれません。
 ……ちょっと手がかかるこどもたちですけど……!!

2006.11.15 掲載

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