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第78回 もう「メタボ」なんて笑えない


実は、僕、睡眠時無呼吸症候群(SAS)なのです。
  以前から、ヨメに「いびきがひどくなってて、時々呼吸が止まってるよ」と教えてもらい、耳鼻咽喉科に通ってマウスピースを作ってもらったりしていたのですがらちがあかず、結局睡眠障害専門の病院に一泊で検査入院をしてきました。
  その結果、中度のSASで、鼻と喉の簡単な手術をすれば治るだろう、ということでした。

が。

その検査入院の1週間後、検査結果を聞きに行った時に衝撃の事実が。「そういうわけで、中度のSASなのですが、手術をしようにもできないんです。なぜならば、糖尿病と高脂血症両方の数値が高すぎるのです」と言われてしまったのです。
  血糖値が、200越え(標準は130以下)。トリグリセリド(内臓脂肪)の値(TG)が1000越え(同じく130以下)。
  そもそも父も祖父も糖尿病だったので、いつかは来ると思っていたのですが、ついに来てしまったのでした。
  と同時に、僕はラーメン大好き。ごはんも大好き。お肉の脂身も大好き。お酒も抜群に大好き。……まぁ、自分から糖尿病&高脂血症に突入していった、と言っても過言ではないわけです。

そんなわけで、1月にその検査結果を伝えられて1ヶ月後に糖尿病の専門医の予約を取ったわけですが、検査結果を聞いたその日から、僕の戦いは始まりました。まぁ、戦い、って言ったって、皆さんの推測通り、とにかく血糖値と内臓脂肪値を下げるためにいかに楽しくがんばるか、をネットで研究し始めたのでした。

まず、自分で血糖値を測る医療器具を購入。毎日毎食前食後に血糖値を測って、食べたものと運動量も含めてExcelで表にして記録し始めました。
  ごはん・ラーメン・そば・うどん・パスタ、という僕の大好きな主食たちは炭水化物満載なので、「一日にごはんなら一膳まで」というラインを死守。
  でも、減らすだけだとストレスがたまりますから、減らすんじゃなくて、置き換える、という考え方でいってみました。
  探してみれば、ちゃんとあるんです。こんにゃくで作られた代替品が。
  そして、肉のかわりに豆腐。お腹が減ったら野菜。
  食事に関しては、ほぼこのラインを守ってきただけ、という感じです。
  ちっともガマンなんかしないで、食べたくなったらこんにゃくと野菜。
  お酒を飲みたくなったら、「蒸留酒なら一合まで大丈夫」と書いてあったのでそれを死守。焼酎やウイスキーや泡盛を烏龍茶とかで割れば、かなりの量を飲んだ気分になりますし。
  あ、ラーメンも、やめたわけじゃなくて「週に1回」と決めて、ちゃんとラーメン屋さんに行っています。ただし、ワカメやもやしなど、そのお店にある追加トッピングの野菜を必ず頼んで、まず野菜から。麺は、1/4くらいしか食べませんし、スープも半分くらいしか飲みません。しかも、ラーメンを食べる、と決めたその日は朝からほとんど野菜一辺倒の食事にしておくのです。
  うっしっしっしっ!!
  そこまでして食べたいのか、と問われると、イエスとしか答えようがないくらい、やはりラーメンは大好きですからしょーがないです。ガマンなんかしません。

そして、運動。
 「1日30分、すこし汗が滲む程度の有酸素運動」が必要らしかったので、走るのではなく歩くことを増やす、ということをしてみることにしました。
  よく、「目的地の一つ前の駅で降りて歩くと良い」なんて書いてありますが、そんな疲れそうなこと、イヤじゃないですか。
  しかも、そもそも「運動」という言葉から遠ざかってすでに20年くらい経っている僕ですので、根本的な考え方を変えることにしました。
  それまでは、「時間がもったいないから、500メートル以上の距離を移動するときはなんらかの乗物を利用する」という決まりがありました。僕の中で。
  それを、「3キロ以内は歩く。1キロぐらいの距離の場合は、一本はずれた道を遠回りして、10分で着くところを15分歩く」と決めたのです。
  もともと、駅から劇場までの最短距離探しや歩いて楽しい道探しが趣味だったので、それを一歩進めて毎日やるようにしてみただけのことなのですが。
  その結果、池袋駅からサンシャイン劇場までの「桜を何度も見られるルート」の開発に成功っ!!
  やるなぁ、オレっ!!

と、そんなこんなな戦いを1ヶ月くらい続けてついに来た、3月。糖尿病専門医の診察の日。
 「劇的に良くなっているけどどんな努力をしたの?」と、先生に言われてしまったのです!!
  いぇーーーいっ!!
  そこで、ずっと記録してきた表をプリントしたものをお渡ししたら、「ここまでやる人は見たことがないです」と仰天されました。
  うっしっしっ。
  それから2週間後、「栄養指導」のために病院に行ったら、なんと1000を越えていたTGの値が360まで下がっていることが判明。栄養指導の先生からも「どうすればこんなに下がるの?!」と聞かれてしまったくらいでした。また表を見せて、喜ばれてしまいました。
  その頃にはすでに血糖値は食後でも140以下をキープ。そのうえ、体重も冬から比べて9キロも減っていたのですからっ!!

そして、4月。
  再び、糖尿病専門医の診断。
 「よくここまでがんばりました。この短期間にあの数値をここまで下げられた人はそう見たことはありません。いわゆるメタボリックの状態は脱した、と言えます。ただ、糖尿病は治るものではないので一生付き合っていくものです。油断しないで今の食事と運動を続けてください。」とのことでした。
  ……うれしくて泣きそうになりました。

今でも、ちゃんと炭水化物を抑え、脂ものはほとんど摂らず、酒は蒸留酒一合まで、という決まりを自分で守っています。
  そして、ゴーヤは間違いなく血糖値を下げる、ということも発見しました。
  そのうえ、歩いているといろんなことを思いついてしまい、「ミニいいことノート」を常備するようにもなり、書くブログの数も増えてしまい、それに伴って歩く距離がどんどん伸びるようになってしまいました。
  その結果、現在の体重は61キロ代。去年の冬から13キロも減った、という計算です。

劇場で会う人会う人に「加藤さん痩せましたっ?!」と心配されるのですが、病的にやせたわけじゃなくて超健康的な暮らしをしているうちに結果的に痩せただけなのでご安心ください。

糖尿病は、治る病気じゃありません。これから一生付き合っていかなければなりません。
  でも、去年までの46年間で、僕はおそらく他の人の一生の5倍はラーメンを食べ、3倍は肉の脂身を食べ、2倍はアイスやケーキを食べてきた自負があります(←そんなこと自負すんな)。
  なので、肉ではなくて野菜の美味しさに気づき、歩く楽しみを知り、 もしかすると他にももっと身体に良い美味しい何かがあるんじゃないか、と、逆にこれからの人生が楽しみでしょうがありません。
  健康診断の結果というものは、割と軽視しがちだと思います。また、体重の増加についてもついつい自分を甘やかしがちだと思います。
  でも、その後には一切甘いものが食べられない人生が待っている可能性もあるのですから、是非皆さんも40歳までを十二分に楽しんで、後はもう余生と思って別な人生を作っていきましょうっ!!

2008.4.30 掲載

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