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新スパイダーマン、アンドリュー・ガーフィールドも活躍
イギリスのテレビプレミア

イギリスの若手俳優アンドリュー・ガーフィールドが新スパイダーマンに決定!
  うれしいっす、かねがね目をつけていたから。
  ガーフィールドは、正確にはアメリカ、イギリスの二重国籍になるらしい。
  1983年にイギリス人の母とアメリカ人の父の間にロサンゼルスで生まれたが、幼児の時にイギリスに移り、俳優として活躍したのも主にはイギリスだから、イギリスの俳優と呼んでもかまわないだろう。

目をつけたのもイギリスのテレビ。2007年放映の単発ドラマ『Boy A』と2009年放映の3連続ドラマ『Red Riding』だ。
  ボーイAは、少年の日に幼児殺害、時を経て、新しい名前を与えられ社会に戻ってきた青年の物語。1993年にリバプールで起こった事件とその後の経過を思い起こさせる作品で、ガーフィールドが主演だった。
  レッド・ライディングでは、連続少女殺人事件を追ううちに、行方不明少女の母親(レベッカ・ホール)とややこしい仲になり、事件に巻き込まれていく記者という第1回の主役。2回目は刑事役のパディ・コンシダインが主役で、3回目でようやく話がつながり驚きの結末へという展開だ。ショーン・ビーンが町の顔役だったり、ヨークシャーリッパーの事件が絡んできたりと、次回が待ち遠しいドラマだった。
  どちらも道義的に見て反感を覚える人も多いであろう役どころで、苦しい内面を演じ、共感を引き寄せることに成功していたから、さえない学生/カメラマンが実はスーパーヒーローというスパイダーマンの2つの顔も上手く演じてくれるだろう。

ガーフィールドが主演していた2つも含め、ズッシリ見ごたえのあるドラマが時々ある。
  刑期を終えたアイルランド抗争時の殺人犯(リアム・ニーソン)が、被害者の弟(ジェームズ・ネスビット)とテレビ番組の企画で会うことになる『Five Minutes of Heaven』というドラマもあった。
  犯人と被害者遺族が会う番組というのは、実際、BBCでやっていた。犯人と被害者の妻が握手するのを見て、すごいなあと思った覚えがある。手が触れた瞬間、叫び声をあげた未亡人は、まさに虫唾が走るという感じだったが、それでも握手したのは、それを促したのがノーベル平和賞も受賞している南アフリカの大司教デズモンド・ツツだったからでもあるように思え、信仰心、宗教の力のようなことを、しばし考えたものだった。
  ニーソン、ネスビットのドラマも、両者の葛藤など本物に負けない迫力で、テレビドラマにしとくのは、もったいないと思いつつ見た。

が、その後、『5分間の天国』として東京国際映画祭で上映されていたり、他の国でも劇場公開されているのを発見。『Boy A』、『Red Riding』も同様に各国の映画祭やら劇場やらで公開されていたのだった。
  テレビプレミアというものらしい。BBCやチャンネル4など、テレビ局製作の映画を、まず自局で放映するということのようだ。女優サマンサ・モートンの初監督作『The Unloved』も、ロバート・カーライルがアルコール中毒の父親を演じていたりで面白く見たのだが、やはりこのテレビプレミアだったようだ。
  映画をいち早くテレビで見られるなんて、ありがたいことです。

スパイダーマンに戻ると、今回、候補として名前があがっていた中には、ジェイミー・ベルやアーロン・ジョンソンなど、ガーフィールドのほかにもイギリス俳優の名前がチラホラ。
  ジョンソンも、ジョン・レノンを演じた『Nowhere Boy』、おまぬけヒーローとして笑わせてくれた『Kick-Ass』と、まるでタイプの違う映画の主演が続いた注目株。日本公開を期待して、ご紹介の日を待っているところでもあります。

『スパイダーマン新作(タイトル未定)』2012年夏全米公開予定 ■ ■ ■

トビー・マグワイアのスパイダーマンもよかったけど、マグワイアは他の映画でも充分認められているし、35歳にもなったことだし、バトンタッチにはちょうどいい頃合かも。
  ガーフィールドも、これで注目を集めハリウッドスターの仲間入りは必至。イギリスのテレビでお目にかかれなくなったら、イギリスのファンには、ちょっと寂しいかな。

2010.7.7 掲載

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