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堂々14歳主演女優ヘイリー・スタインフェルド『トゥルー・グリッド』

ジェフ・ブリッジス、渋い!年齢を重ねるごとにますます味が出てきた。
  マット・デイモン、上手い!シリアス、コメディ、アクションと広げてきた幅で見せてくれる。
  でも、特筆すべきは新人のヘイリー・スタインフェルドだろう。14歳というから、日本なら、まだ中学生なわけだけど、ブリッジス、デイモンのご両人と堂々渡り合う主演女優だ。

アカデミー賞で助演女優賞の方にノミネートされたのは若すぎるから?なんて声も聞かれたヘイリーは、主演男優のブリッジスと並び、実質的には主演女優。物語の発端となる、父を殺され、幼い弟に代わって復讐を誓う女の子を演じている。その助っ人となるのがブリッジスとデイモンだ。ジョシュ・ブローリンが演じる敵役含め、父親どころか祖父くらいかという大の男たちを相手にしても、引けをとらない強い女の子だ。助っ人探し、資金調達のための駆け引きでも、賢く、かつ肝の据わったところを見せる。

本作はジョン・ウェインがアカデミー主演男優賞を獲得した1969年のヘイリー・ハサウェイ監督映画『勇気ある追跡』のコーエン兄弟によるリメイク。ウェインとブリッジスの持ち味の違いにコーエン色も加わり、西部劇でもマッチョさよりキャラクターが強く打ち出されている。
  『ビッグ・リボウスキ』でブラボーなよれよれぶりを見せてくれたブリッジス、『ノーカントリー』でのテキサス男にぴったりはまったブローリンと、コーエン兄弟と相性のいい2人は、ここでも、また新しい面を見せている。
  コーエン版で、イメージが一番変わっているのが女の子。ハサウェイ版は当時20歳を超えていたキム・ダービーが若作りして演じている。熱演だが、男2人と旅するのは、まずいようにも見えてしまうのが難。ジャスティン・ビーバーみたいなボーイッシュなヘアスタイルにしているのは、そこを何とかごまかそうとしたのでは。
  今回のヘイリーは可愛らしすぎて、そんな心配(?)もせずにすむ。どんなに気丈にふるまっても、まだまだあどけない女の子。いつでも酔っ払っているようで大丈夫か?というふうだったブリッジス演じる助っ人が次第に一生懸命になるのも、父性愛みたいに感じられていい。
  ストーリーもけっこう違うので、ハサウェイ版を見ている人でも新鮮に楽しめるだろう。

『トゥルー・グリッド』3月18日公開 ■ ■ ■

腕の立つ男を探す少女(スタインフェルド)。そのお眼鏡にかなった飲んだくれの保安官(ブリッジス)と、助っ人を買って出た男(デイモン)とで、父を殺した犯人を追うが…。

 監督 ジョエル・コーエン、イーサン・コーエン
 出演 ジェフ・ブリッジス、ヘイリー・スタインフェルド、マット・デイモン ほか

2011.3.17 掲載

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