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カンヌの最高賞受賞!『アデル、ブルーは熱い色』

カンヌ国際映画祭の最高賞パルムドールが、通常の監督に加え、主演の2女優にも贈られたのが、こちら『アデル、ブルーは熱い色』。ボーイ・ミーツ・ガールならぬガール・ミーツ・ガールの濃厚なラブストーリーだ。2女優が全身全霊で愛を演じる。

この映画の凄いのは、アデル(アデル・エグザルコプロス)がエマ(レア・セドゥ)への恋に落ちた瞬間から、どれだけ愛するようになるかが、身を持って感じられるように撮れていること。アデルの目線になったような映像と、ちょっとした表情やしぐさに、いかにも自然に愛情を見せる2人が見事。

セドゥは、このところ大活躍だ。今年のベルリン国際映画祭でも、メイドを演じた『グランド・ブダペスト・ホテル』と、おとぎ話のお姫様役の『美女と野獣』という、全く違ったタイプの映画2本で参加。
  一方のエグザルコプロスは、まだ20歳という若い女優。自分の名前アデルをそのまま役名とされたアデル役は、まさにこの人以外はなかったと思わせる。この映画は、原作がフランスのコミックだが、キャラクター名だけでなく、ストーリーも変えている。

2人が激しい愛を見せるのは、ずばりベッドシーン。演技指導はなく、2女優の成り行きに任されたというシーンは、情熱的に延々と続く。ほんとうに恋人同士?レズビアン?という質問まで向けられたほどだ。
  このシーンのため、各国で12歳、18歳など年齢制限付き上映となったが、必然性は大有り。前半のアデルとボーイフレンドとの淡白なベッドシーンとは好対照になっていて、アデルとエマがパーフェクトマッチだとわからせる。

同性愛者の強力な応援になる映画であることは間違いないが、大きな賞を射止めたのは普遍的なラブストーリーになっているからだろう。
  女子高生のアデルは、教師を目指し勉強中という反面、ぽっちゃりした頬やいつも半開きになっている口元に幼さも見え、アンバランスで不安定な若さを感じさせる。一方、少し年上のエマは、青く染めたショートヘアから、ものの見方、考え方まで、確立したスタイルがある。アデルがエマにあこがれるのも、エマがアデルを可愛いと思うのも、よくわかる。

しっくりと寄り添い、燃え上がったアデルとエマの間が、年月を経るうちに、ほころび始めるのが切ない。愛の始まりから終わりまでをがっつり見せるこの映画を「21世紀のファーストグレートラブストーリーであろう(米ニュースサイト:サロン)」という大絶賛も、それほど大げさには響かない。


『アデル、ブルーは熱い色』 4月5日公開 ■ ■ ■

女子高生アデル(エグザルコプロス)は、教師を目指しつつ、自分自身がまだよくわからない。気になる男子生徒とつきあい始めるも、満たされないものを感じている。ある日、町ですれ違っただけの青い髪の女性(セドゥ)が忘れられず…

 監督 アブデラティフ・ケシシュ
 出演 アデル・エグザルコプロス、レア・セドゥ ほか

2014.4.4 掲載

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