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コーエン兄弟はイケメン使いも上手い『インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌』

初期の名作『ファーゴ』から最近では『シリアスマン』など、うだつの上がらない男を主人公にした作品がたくさんあるコーエン兄弟ですが、新作『インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌』もそれに連なる秀作です。

今回の主人公は、売れないフォーク・シンガーの青年ルーウィン・デイヴィス。デイヴィスが次々と不運に見舞われる様子が、可笑しくも味わい深く描かれます。
  舞台となるのは60年代のニューヨーク、グリニッジ・ヴィレッジ。ガスライト・カフェでデイヴィスが歌い、その後に若き日のボブ・ディランらしき人物が登場するシーンもあります。ガスライト・カフェは、実際にディランが初期の頃に演奏した場所としても知られます。そういった当時の様々を、随所にちりばめているのも見所です。

本物のディランの未発表バージョン『Farewell』が使われているほか、当時の感じで歌っている楽曲も凝っています。
  デイヴィス役のオスカー・アイザックも、なかなか上手いです。相方と2人でデュエットしている曲が本格的と思ったら、相方の部分はマムフォード&サンズのマーカス・マムフォードが歌っていたのでした。
  マムフォードは、キャリー・マリガン(第2447回に写真)の夫。マリガンは、デイヴィスの元カノ役で出演しているので、何気に夫婦で参加だったのですね。
  その元カノの現在の彼氏役がジャスティン・ティンバーレイク。もちろん、歌います。それが『Please Mr.Kennedy』というおバカ・ソング。イケメンが歌うと、バカさが際立ちます。このためだけでも、ティンバーレイクを出した甲斐もあったというもの。

そういえば、コーエン兄弟は『オー・ブラザー!』でも、ジョージ・クルーニーにカントリー・ソングを歌い踊らせ、笑わせてくれました。
  イケメンの正しい使い方と思います。


『インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌』
5月30日公開
■ ■ ■

自身の名を冠したアルバム『インサイド・ルーイン・デイヴィス』も売れていないフォーク・シンガー(アイザック)。泊めてもらった友人宅を出ようとした際、その家の飼猫が外に飛び出してしまう。猫をつかまえ、預けようと元カノ(マリガン)に会うと、思いがけないことを打ち明けられ…

 監督 ジョエル・コーエン/イーサン・コーエン
 出演 オスカー・アイザック、キャリー・マリガン、ジョン・グッドマン ほか

2014.5.29 掲載

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