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知らなかった日本のこと『革命の子どもたち』

『革命の子どもたち』は、日本赤軍の重信房子、ドイツ赤軍のウルリケ・マインホフそれぞれの娘をメインにしたドキュメンタリーです。イギリスのシェーン・オサリバン監督が撮りました。

マインホフは、もともとジャーナリストだった人で、編集長の夫との間に双子の娘もいます。当初はペンで支持していたものが、テロにもかかわるようになり、最後は獄中で自殺しています。
  そういうマインホフ基礎知識があったのは、私が広い知識を持つ国際人だから、ではなく、『バーダー・マインホフ 理想の果てに』を見ていたからです。はい、また映画からの知識です。すみません。

話は変わりますが、今、イギリスの皆さんは、イングランド旗はじめ色んな国の国旗を窓から掲げたり、車につけたり、ワールドカップで盛り上がってます。ウィンブルドンも始まりましたね。そんな中、私はろくに結果も知らず、相変わらず映画漬けでおります。

広い知識どころか大変に偏った知識で暮らしている私、『革命の子どもたち』を見て、日本赤軍がパレスチナ問題について活動していたグループだったことも、重信に娘がいたことも、初めて知りました。
  重信の娘メイは、日本でニュースキャスターをやっていたそうなので、日本の皆さんはご存知でしょうか。美人なのにも驚きました。お父さんはさぞかしイケメンだったのだろうと下世話な興味まで持ってしまいました。
  でも、メイの父親もパレスチナ問題の活動家で、名前が知れると娘の身にも危険が及ぶということで16歳まで明かされなかったそうです。偽名を使って転校を繰り返しながら学校に通った、28歳まで無国籍だったなど、闘争の中で生まれたメイの人生は壮絶です。

赤軍については、浅間山荘たてこもりや、よど号ハイジャックをうっすら覚えている程度でした。歴史知らなすぎですね。若松孝二監督『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程』も見逃したし。
  その若松監督の尽力もあって、2010年製作の『革命の子どもたち』が、今年ようやく日本公開の運びとなったそうです。2011年イースト・エンド映画祭で取材した際、半分は日本の話なので、すぐに公開されると思った私は甘かったです。オサリバン監督も「日本では赤軍と言えば悪者だからね」と話してましたが、公開にこぎつけるのさえ大変とは。

赤軍=悪者ということで思考停止させてしまわず、母と娘の尋常ではない人生を見てほしいです。


『革命の子どもたち』7月5日公開 ■ ■ ■

学生運動も盛り上がっていた60年代、ドイツ赤軍を率いることになったウルリケ・マインホフと日本赤軍を率いた重信房子。その娘たち、ベティーナ・ロールと重信メイが、それぞれの母と、自分の来た道を振り返る。当時の記録映像と、インタビューで浮かび上がる2人の母と娘とは…

 監督 シェーン・オサリバン
 出演 重信房子、重信メイ、ウルリケ・マインホフ、ベティーナ・ロール ほか

2014.7.4 掲載

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