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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2003年8月11日発行 ━

●━━ 若手国会議員メルマガ『未来総理』 第49号  ━━━━━━━━●

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 8月9日の朝日新聞政治面で、『未来総理』と『ヴィーナスはぁと』につ
いての記述がありました。「無党派層と政治の対話をどう築くか」の試みと
して紹介されています。実際、『未来総理』は、超党派の若手有望議員の意
見を知るだけでなく、無党派層の意見を若手議員に届ける貴重なメディアだ
と自負しています。 どうぞ、積極的に意見をお寄せくださいね。

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  目次
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 ◎「イラク復興支援特別措置法案について」
   石破 茂(防衛庁長官・衆議院議員・自民党・鳥取)

 ◎「棄民」
   近藤昭一(衆議院議員・民主党・愛知)

 ◎「どんな社会をめざすのか」
   福島瑞穂(参議院議員・社民党・比例)

 ◎編集後記
 ◎次号予告
 ◎未来総理メンバーの紹介

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 ■「イラク復興支援特別措置法案について」
   石破 茂(いしばしげる・防衛庁長官・衆議院議員・自民党・鳥取)
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 イラク復興支援特別措置法案(以下イラク特措法と略称)が延長国会にお
いて審議中であり、多くの議論が交わされております。
 正直申し上げて、有事法制と比べ、国民的な理解や支持には相当の相違が
あると実感しております。

 有事法制は北朝鮮の拉致問題や工作船事件などを契機として、国民が「脅
威」を現実のものとして捉えたことが広い支持につながったと考えますが、
イラクに関してはそのような意識を持ちづらい面があることは否めません。

 しかしながら湾岸戦争の折に我々が学んだ教訓は、困難なことは他国に任
せ、その問題が解決した後に利益のみを享受するという姿勢はもはや許され
ない、というものであったはずです。もちろん、憲法第9条による制約はわ
が国独自の問題として存在しますが、全てのことを憲法第9条に藉口するこ
とも正しい姿勢とは思われません。

 主な批判としては、(1)米国に追随しているだけで、日本の国益も明確でな
く、主体性も感じられない(2)大量破壊兵器が存在した証拠がいまだ見つかっ
ておらず、イラク戦争は結局米英のイラク侵略戦争だったのであり、なぜそ
の後始末に自衛隊が行かなくてはならないのか理解できない(3)イラクに自衛
隊に与える武器や使用権限が不十分であり、安全な地域がほとんど存在しな
いまま派遣すれば、自衛官に犠牲を出す可能性がある・・・おおむね以上の
ようなものがあるのではないでしょうか。

 しかしながらこれらの批判は、その多くが誤解に基づくもの、もしくはた
めにするものであるように私には思われます。日本の国益とは、石油資源の
大部分をイラクを含む中東地域に依存するわが国として、まず同地域の安定
なのであり、サダム・フセインのような独裁者に大量破壊兵器とその運搬手
段である弾道ミサイルを保有することを許容させない、そしてその除去は必
要であるということです。

 大量破壊兵器を保有していたという証拠はいまだ発見されておりませんが、
大量破壊兵器保有の証拠はいずれ挙がるものと考えます。しかし、かつて自
国民に対しその大量破壊兵器を使用したということは厳然たる事実であり、
国連決議に基づく度重なる査察要請を拒絶し、米英をはじめとする軍事的圧
力が高まってから査察に小出しに応じたことも、我々は看過するべきではあ
りません。

 さらに、「疑わしきは被告人の利益に」という刑事訴訟法の原則を引用し
て、イラク攻撃の不当性を訴える向きもありますが、すでに裁判の段階に到
達したものに対する原則をフセインのケースにそのまま当てはめる論理は相
当に強引なものといわざるを得ません。

 米国は湾岸戦争のときとは異なり、「コアリッション」の方式を用い、国
連決議1483号に応える形での各国の参加はすべてその主体性に委ねてい
ます。わが国としては、国益に基づき、主体的に判断し、この法案を国会に
提出しています。

 法案上、自衛隊の活動は戦闘が行われていない地域に限るとされているの
は、憲法第9条の「国際紛争を解決する手段としては、武力による威嚇また
は武力の行使をしてはならない」との趣旨を、法的・制度的に明確に規定す
るためです。イラクにおいて非戦闘地域などはありえない、とのご批判は、
この条文の趣旨を正確に理解されていないことによるのであって、非戦闘地
域イコール危険のない安全な地域、というわけでは必ずしもありません。逆
に申し上げれば、「非戦闘地域ではあるが、治安が悪く危険な地域」という
概念も存在しうるのです。さらには、「自衛隊が活動する地域の近傍におい
て、戦闘が行われ、または行われることが予測される場合には、活動を休止
し、危険を回避する」との条文を設け、憲法の趣旨を徹底しています。なし
崩し的に改憲を行おうとするものだ、との批判が全く的を射ないものである
と考える所以です。

 携行する武器については、自己を守るために必要なものを、それに身を委
ねる自衛官の意見を尊重して判断すべきものであり、また権限においても目
的達成のために十分な権限が付与されます。国際標準に合致させるべきとの
意見もありますが、そもそもこのケースにおいて、国際標準的なものは明確
に存在するわけではありません。いずれにせよこの点は恒久法を制定する際
に、憲法との関連も含め、徹底的に議論されるべきものと考えます。

 以上の点について、防衛庁内においては連日連夜徹底した議論が行われて
おり、安易な姿勢に基づいて派遣するなどという批判は全くあたりません。

 法律に基づき、事に臨んでは身の危険を顧みず、任務を遂行し、もって国
民の付託に応える旨を宣誓している国家最大の実力集団である自衛官たちの
信頼を失うことは、文民統制の根幹を揺るがすものであることを私は強く認
識をいたしております。

 この法案が成立して事なれりとするのではなく、重要なのは成立後にどの
ような決断を行うかにあります。今後とも国民の皆様に対する説明責任を果
たすとともに、あらゆる意味での国益を損なうことのないよう、全力を尽く
したいと考えています。


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 ■「棄民」
         近藤昭一(こんどうしょういち・衆議院議員・民主党・愛知)
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 お願いだから、これ以上、国は「人々」を見捨てないでほしいと思う。い
や、私の場合は、国会にお送りいただいているのだから、「人々」を見捨て
ない政策をきちんと実行しなくてはならない。

 間もなくまた8月15日がやってくる。日本の敗戦の日である。終戦など
というキレイな言葉では語れない悲しく苦しい多くのことがあった。もちろ
ん、戦後生れの私自身はそれらを直接体験はしていない。

 しかしながら、二度と同じ過ちを繰り返さないよう先の戦争で苦しんだ方
から、直接あるいは間接的にお話を伺ってきた。

 そんな中で特に私が強い影響を受けたのは全国戦災傷害者連絡会の杉山千
佐子会長である。彼女は、米軍の爆撃によりひどい傷害を身体に受けた。し
かし、「民間人は、国と雇用関係はなかった」と何の補償もされなかった。
軍人や軍属の方たちに対する恩給は現に行なわれているのにその差は大きい。
彼女は、いかに戦争が人々の人生を狂わすのか、いかに戦争が悲惨なのかを
教えてくれた。

 さっきまで一緒に話をしていた友人が爆弾によって一瞬にして生命を失う。
手や足をもがれ、のたうちまわっても手当てをしてくれる医者もいない。身
体にわくウジ虫を取り払う力さえない負傷者がいる。何の罪もない多くの人々
が生命を失い、傷を負った。

 そして、補償を受けられる人と、受けられない人を国がつくってしまった。
さらに、沖縄は主力精鋭部隊が本土に引き上げた後、まるで防波堤にされ、
軍人と民間人が一緒に行動したことにより、数え切れない多くの犠牲者を出
した。

 中国の開拓地では、軍隊が先に引き上げた後、多くの人々が残され、戦後
には残留婦人、残留孤児の問題として噴出した。国は人々を見捨ててきたの
である。そして、さらには、戦後にも、ハンセン病患者の皆さんや血液精剤
によりエイズに感染された皆さんたち、さらには、拉致被害者の皆さんたち
のように多くの人々が国家の怠慢や過ちを認めない体質によってうち捨てら
れてきた。

 私は、国会に送っていただいている者として、決して、人々を見捨てては
ならないと思う。もちろん日本が植民地支配している間には日本国民として
軍隊などにも徴用しておきながら、敗戦を迎え日本の植民地でなくなった瞬
間から日本国民ではないとして、きちんとした補償などを行なってこなかっ
た人々に対してもである。


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 ■「どんな社会をめざすのか」
             福島瑞穂(ふくしまみずほ・参議院議員・社民党・比例)
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 日本は、女性の活用、高齢者の活用に失敗している社会である。
 外国人労働者をいれるべきだという議論があるが、それ以前に、女性や高
齢者の活用をきちんとすべきである。

 また、本当の失業率は、10パーセントくらいであるとも言われている。
もうあきらめてしまってそもそも求業活動をしていない人たちも一杯いるか
らである。失業率の統計のとりかたは、いろいろあるけれども、5パーセン
トから10パーセントの人たちを有効活用していないのは、まことにもった
いない。

 フリーターの人から、電話をもらった。「気楽でいいと言われているけれ
ども、職がないのだ。そのことを強く訴えたい」とのことであった。その通
りだと思う。

 日本は、神野直彦さんなどが指摘している通り、所得の再分配がわずかし
か行われていない社会である。
 一部の人が、富を寡占化し、小泉構造改革の痛みのない人の、痛みのない
人による、痛みのない人のための改革が進められることで、ますます所得の
格差などは拡大していく。

 よく知られているとおり、年間の自殺者3万人のうち生活苦で死亡する人
は8000人以上とも言われている。

 高校生や大学生の就職内定率が、かつてないほど低くなり、特に、女子学
生は、就職の内定をとることが、極めて困難となっている。介護保険のヘル
パーさんたちの平均月収は、8万円から、9万円という数字もある。

 構造改革の痛みは、一部の人たちに激しく押し寄せてきている。そして、
それ以上に多くの人たちは、自分たちもいずれリストラされるのではないか、
自分の企業が成り立っていかなくなるのではないか、老後の年金や生活はど
うなるのか非常な不安を感じている。「痛みを感ずるであろう予備軍」の人
たちである。

 ある集まりで、女性が言う。「子どもは、今高校3年生で、将来法律の世
界に行きたいと勉強をしています。でも先日、学校の面談でそのことを先生
に話したら、先生にロースクール(法科大学院)に行くとしたら、年間学費
が、200万円以上かかりますと言われてしまいました。お金がないとロー
スクールに行けないなんてことのないよう改革をして下さい」その通りであ
る。

 親のお金の多寡が、子どもの受ける教育を決定していっている。教育は、
金持ちの再生産となりつつあるのではないか。

 アメリカは大好きな国で、行けば必ず元気になる。
 しかし、と思う。1989年には、アメリカの受刑者の数は、約100万
人であったが、2000年には、200万人以上になった。10年間の間に、
2倍になったのである。受刑者が、200万人以上というのは、すさまじい
数字である。アメリカで、決して犯罪が増えたわけではない。

 もしかすると、アメリカは受刑者とその家族のグループと大金持ちの人た
ちとそして、その間の人たちに分かれてしまいつつあるのかもしれない。
 まさに金持ち父さんと貧乏父さんの世界である。

 階層間格差がうーんと進んでいるのである。
 こんな社会をめざすべきなのだろうか。
 どんなにがんばっても自分は、底辺にいるしかないと思えば、本当に人は、
腐ってしまうのではないか。

 医療などの制度を含めた社会保険の制度が、国民皆保険になっていないこ
とも問題である。

 わたしは、一人でも多くの人が(本当はすべての人がといいたいのだけれ
ど)、夢や希望をもてる社会をどうつくっていくかを考えている。

 オランダは、赤字と不況をワークシェアリングなどで乗り切った。夫か゛
1働いて、妻がゼロというものから、夫と妻で合わせて、1・5の収入を持
てるようにシステムを変えたのである。
 家族の1人が猛烈に働くというのよりずっといい。

 できるだけ多くの人たちがこの社会を支え、税金と保険料を払い、その使
い道をチェックし、福祉社会もきちんと創っていくのである。
 税金や年金制度のあり方の改革、パートタイマーと正社員の均等待遇の実
現なども必要な改革である。教育の無償化の動き、子どもに対する児童手当
の充実なども必要だろう。

 様々なライフスタイルが保障されるべきことは当然である。そして、そん
ななかで、女性も男性も高齢者もハンディキャップがある人たちも働くこと
ができ、また望めば十分に子育ても両立してできるようなそんな社会をめざ
したい。

 希望のない失業率の高い社会は、犯罪をふやすだけではないだろうか。
 どんな社会をめざすのかと考えてくると、だんだんスローライフの生活に
なってきた。もちろんどんな社会でも猛烈に働く人はいる。
 しかし、大部分の人たちは、子どもとゆっくりおしゃべりする時間を持て
るようなそんなスローライフを持てる社会のほうが、子どもたちも元気に生
きていける。

 システムの問題、雇用や働き方の問題、社会保障制度の問題、教育や子ど
もの問題、環境問題など、改革すべきことは一杯ある。
 ガラスのむこうに見える「こんな社会だったらいいな」というのは、意外
と平凡なのかもしれない。

 しかし、人生の途上で難破していく人ができるだけでない社会、失敗して
も生き直せる社会をめざしたい。すべての人が生きてて良かったと思える社
会をいろんな人たちと英知を絞り、創っていくことが、わたしの果てしない
夢である。


★☆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
  編集後記              弘中百合子(ロゼッタストーン)
────────────────────────────────☆★
 イラク復興支援特別措置法案については、未来総理議員からも、読者から
も、どちらかといえば、否定的な意見が多かったように思います。今回は、
現職防衛庁長官の石破氏が、この法案の必要性について意見を述べてくれま
した。

 日本の将来に関わる大事な法案です。みなさまも、ぜひ、ご意見をお寄せ
ください。

  ご意見、ご質問は souri@rosetta.jp までお気軽にどうぞ。

 ※掲載を希望されない方、実名をご紹介してもかまわない方は、ひとこ
   とお書き添えいただけると助かります。また、ご意見を紹介してもよ
   い場合は、年齢、職業なども書いておいていただくと、参考になりま
   す。ご協力、よろしくお願いいたします。


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  次号予告
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 次週は大村秀章議員(自民党) 山村健議員(無所属)
 植田至紀議員(社民党) 細野豪志議員(民主党) が登場します。

 ※登場する議員は、変更する場合もあります。ご了承ください。


◇◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
  未来総理メンバーの紹介
   ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◇◆
「未来総理」に参加してくださったのは、次の19名の方々です。(敬称略)

 ◇衆議院
  石破 茂(自民党・鳥取)     上田 勇(公明党・比例南関東)
  植田至紀(社民党・比例近畿)  大村秀章(自民党・愛知)
  近藤昭一(民主党・愛知)    鈴木康友(民主党・静岡)
  達増拓也(自由党・岩手)    樽床伸二(民主党・大阪)
  野田佳彦(民主党・千葉)    春名直章(共産党・比例四国)
  細野豪志(民主党・静岡)    丸谷佳織(公明党・比例北海道)
  山井和則(民主党・比例近畿)  山村 健(無所属・比例東海)

 ◇参議院
  荒木清寛(公明党・比例)    有村治子(自民党・比例)
  小池 晃(共産党・比例)    福島瑞穂(社民党・比例)
  宮本岳志(共産党・大阪)

詳しいプロフィールを知りたい方、顔写真を見たい方は、ロゼッタストーン
WEBページで公開しています。⇒ http://www.rosetta.jp/
各議員のホームページにもリンクしています。


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発行人・編集人:弘中百合子
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