「ヴィーナスはぁと」バックナンバー バックナンバー一覧
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2002年9月12日発行(毎週木曜日配信)
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          女性国会議員メルマガ『ヴィーナスはぁと』第43号

  ***   ***  ヴィーナス議員たちが「戦争」や「平和」について意見を
 *****v*****  述べると、「その通り!」という賛同の声と、「そんな理想
 ***********  主義ではだめだ」という疑問の声と、いつも両方届きます。
  *********  今回、山口議員からはアメリカの姿勢を批判する原稿、
   *******  岡崎議員からは従軍慰安婦問題に関する原稿が届きました。
     ***  いつも以上に熱い内容です。少し長めですが、じっくり読んで
      *   また、感想を聞かせてください。

◇◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
  目次
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■アメリカの姿勢を認めてはいけない
  山口わか子(衆議院議員・社民党・北陸信越)

■「慰安婦」問題は今の問題
  岡崎トミ子(参議院議員・民主党・宮城)

■「人権擁護法案」に関する質問への回答
  岡崎トミ子(参議院議員・民主党・宮城)

■編集後記

■「ヴィーナスはぁと」参加議員一覧

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■◇■==============================================================
 「9・11」テロ事件から1年
 アメリカ「ブッシュ」の報復戦争がもたらした深い傷跡
 テロの犯人がいると疑う国は手当たり次第に攻撃、
 核攻撃も辞さないアメリカ
 こんな恐ろしい国を世界が認めてはいけない

             山口わか子(衆議院議員・社民党・北陸信越)
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 「9・11」テロ事件から一年。この間に何が変わったでしょうか。多くの
報道が溢れる中で、確実に変わったことは、ブッシュ米大統領がテロの犯人
を殺すと言う名目で、アフガニスタンと言う国を戦争で破壊したことです。
戦争の意志が全く無い国に対し、一方的に爆撃するなどと言う無茶苦茶な行
為は今までの歴史にあったのか?私は知りません。

 その結果、アフガニスタンでは、罪も無いこどもや女性、高齢者が殺され
つづけています。報復戦争は終わったかのように報道されていますが、いま
だにアフガニスタンの山中では、アメリカの爆撃は繰り返され、多くの人々
が殺傷されているのです。

 9月7日のニュースで、「アフガニスタンのカルザイ大統領が銃撃を受け危
機一髪で暗殺は未遂に終わった。アブドラ外相はアルカイダの犯行と表明し
た」と。また、首都カプール中心部で大きな爆発があり、死者30人、負傷者
160人に上ったと報道されました。何故いまだにこのような爆弾テロがおこる
のか、釈然としません。

 ペシャワ―ル会、(中村哲医師が中心でアフガニスタンの支援を続けてい
るNGO)の現地報告によると、カルザイ大統領は、米軍特殊部隊による護衛
を受け入れる決定を下したことで、アフガン国民の間に波紋を呼んでいると
言うのです。きわめて独立心の強い国民にとって、大統領官邸に大型ライフ
ル銃を抱えたアメリカ護衛兵の姿を見せつけられたとき、アメリカに対する
憎悪の炎が燃え、カルザイ大統領の暗殺が起こったと想像しても不思議では
ありません。

 また、ペシャワール会の報告では「最も復興が進んでいいはずの首都カプー
ルはもちろん、隣接している地域では、下痢やマラリア、化膿したひどい傷、
が広がっています。医薬品も無く、食糧難で栄養失調がひどく、動く気力も
無い、水や食料はわずかしかない。焼け付くような大地、破れたテントに折
り重なるように座り込んでいる状況は、とても人間の世界ではない。飢えて
死につつあるだけだ。食べ物、食べ物、食べ物、これが彼らの繰り返す言
葉」。

 なんとも悲惨な状況に心のそこから怒りが湧いてきました。ひどい破壊と
旱魃、病気、食糧難に世界中からの支援もとても間に合わないのです。アメ
リカ「ブッシュ」がこのように残虐非道な報復戦争を繰り返す限り、必ず世
界中の人々から反撃されるでしょう。テロは再び勢力をつけて終わりのない
攻撃が繰り返されるでしょう。

 そればかりではありません。「ブッシュ」は、テロ犯人をかくまっている
国を攻撃すると言い、次は、イラク、イラン、北朝鮮を「悪の枢軸」と呼び、
報復戦争を宣言しました。

 最近の報道によると、米国は「25万人の軍隊を送り込み、陸、海・空から
イラクに攻め入る準備が整った。第1にバクダッドを爆撃して、サダム・フ
セイン大統領を殺す」「イランの原発建設が完了し、ウラン燃料がロシアか
ら持ち込まれる前に、空爆で破壊する」などと信じられないような発言をし
ていることは到底許せません。

 そのイラクは、かつての湾岸戦争で、劣化ウラン弾を大量に打ち込まれ、
核による死の灰が、白血病や先天性の障害、あらゆる悪性のガンが多発し、
毎日のように子どもの死体を抱きかかえた両親が広大な子どもの墓地に訪れ、
泣き崩れる異様な風景が後を絶たないそうです。治療の必要な人々に医薬品
すら不足している悲劇の国イラクを「悪の枢軸」と言い、再び攻撃する姿勢
を見せているとは!本当に恐ろしい国はアメリカです。

 また、同時テロで大きく変わった国は「日本」です。平和憲法のもとで戦
争は絶対にしないと誓ったはずの日本政府は、180度変わってしまいました。
「ブッシュ」の言いなりに、アフガニスタンを軍事攻撃した米軍支援をさっ
そく打ち出し、多くの国民が反対する中で、テロ対策特別措置法を強行採決、
初めての戦時下の「自衛隊派遣」となってしまいました。

 さらに、これからの米軍支援には戦争のできる法律が必要と、自公保与党
はせっかく継続となった有事法関連法案を再び次の国会で何としても成立さ
せようと躍起になっています。憲法を守る立場の小泉内閣は、憲法を破壊し、
徴兵制までも視野に入れると言った暴言まで吐く始末です。私たちの子ども
や孫を戦争の犠牲にし、他国の国民をも殺傷する有事法案は絶対に認めるわ
けにはいきません。

 当初半年の予定だった対米支援の自衛隊派遣は、5月いとも簡単に半年の延
期が決まり、今もインド洋で、米軍への給油など海上自衛隊の艦船の活動が
行われています。日本の燃料補給と言う支援を受け、アフガンの民間人をも
多数殺しているのです。アフガンにとって日本はいよいよ敵になってしまっ
たのでしょうか。

 これ以上アメリカの言うなりになって殺戮の手先になることは絶対にあっ
てはなりません。貧困や病気、飢餓をどう無くすのか、今こそ世界全体が、
特に先進国と言われる国は、戦争を無くすこと、被害を受けた国に人々が生
きていけるだけの食料や医療、教育や農業再建、住居などの支援を続けよう
ではありませんか。


■◇■==============================================================
 「慰安婦」問題は今の問題
               岡崎トミ子(参議院議員・民主党・宮城)
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 暑くなったり、急激に気温が下がったりと相変わらず不順な気候が続いて
います。いかがお過ごしですか?私は8月17日から20日までフィリピンに、今
月8日からおとといの10日まで韓国に行ってきました。このメルマガでももう
何回かご紹介した「慰安婦」問題に対する国会の取り組み状況の報告と調査
のための訪問でした。

 フィリピンでは「慰安婦」問題の調査を下院の女性委員会に求める決議が
通過していることが分かりました。また、この問題に熱心にとりくんでおら
れるローレン・レガルダ院内総務(抜群の人気を誇る女性議員)は本会議を
一時中断して私たち(私と社民党の田嶋陽子さん)をすべての上院議員に紹
介して、その場で外交委員長と女性委員長の協力の約束を得てくださいまし
た。私たちの法案への支持決議を含めたいくつかの決議案の成立に向けた動
きも加速しそうです。

 韓国の国会では、その日「日帝日本軍慰安婦生活安定支援法改正案」と「女
性発展基本法改正案」を通過させたばかりの女性委員長が法案への期待を表
明してくださいました。韓明淑女性部長官(女性大臣)や間もなく大統領候
補として正式に名乗りをあげる鄭夢準議員の顧問であり、元国会議員の林森
氏とも率直な意見交換ができました。

●「慰安婦」問題は、終わっていない

 国会での質疑でも繰り返してきたことですが、あらためて皆さんにお伝え
しなくてはならないと思ったことがあります。この問題が決して「終わった
問題」、「過去の問題」ではないということです。

 たくさんの被害者が自分の思い胸に閉ざしたまま、あるいは闘い半ばで亡
くなっていますが、今なお多くの皆さんが仲間の痛みや無念を背負い込んで
闘っています。

 彼女たちは「ひとこと謝って欲しい」という気持ちで日々闘い、そして日々
傷つけられているのです。毎日の闘いがしんどい、いまだにPTSDで夜眠るこ
とができない、周囲の偏見が根強い・・・。

 彼女たちの苦しみはそれだけにとどまりません。以前、女性のためのアジ
ア女性基金(国民基金)の「償い金」を、多くの被害者が拒否していること
をお伝えしましたが、悩んだ末に「償い金」を受け取った被害者の方たちも
います。なかには受け取ったことで「癒された」という方もいらっしゃるよ
うですが、「受け取ってしまった」ことで悩んでいる方もいらっしゃいます。

 同じ被害者のなかに受け取った方と受け取らない方が出たことで、被害者
の間に感情的な亀裂までも生じている現状に胸が張り裂ける思いです。

●読者の方のご質問への回答

 読者の方から、「過去をほじくり返すのはうんざり」「条約で解決してい
ることを否定すれば、国同士の条約が信用できなくなる」という率直なご意
見をいただきました。

 私自身は「過去を直視することは大切だ」という立場ですが、彼女たちに
とって、そして彼女たちの苦しみの原因をつくった日本にとってこの問題は
いまなお現在進行形の問題だということを、私ももっと丁寧に皆さんに語ら
なくてはならないと痛感しました。

 そしてもうひとつ、仮に国同士の問題としてこの問題が決着しているとし
ても、苦しんでいるのは個人である彼女たちです。(そのうえ、これらの条
約が結ばれたときには、「慰安婦」問題は、議論の対象にすらなっていませ
んでした)

 そこで私たちの法案は、サンフランシスコ平和条約や二国間条約を否定せ
ずに、それに「追加的・補完的措置」を講じて被害者個人の名誉回復をする
ことをめざしています。国家もひとりひとりの苦しみに目を向け、個人に対
する責任を認識する。こういう姿を、21世紀の新しい対応のあり方として、
もっともっとご理解をいただけるように訴えていかなくてはならないと気付
かせていただきました。(「過去の問題よりこれから先の国民の生活の問題
を」というご意見に対しては、私は「過去も現在も」、「経済も人権も」と
いう立場です)

 韓国で何人かの方たちが共通して次のように言ってくださいました。「韓国
と日本は隣の国です。私たちの子どもや孫には仲良くして欲しい。(大きな
傷を見せながら)私たちはこんな傷を負った。心も傷ついている。傷を負っ
た私たちが謝ってくださいとお願いしている。どうして謝ってもらえないの
か。私たちの子どもや孫のためにもお願いします」
 私たちの活動の目的を、明解に言い切った言葉だと思います。

●決意を新たに

 今年に入って、他の提案議員の仲間たちとインドネシア、フィリピン、韓国
と3カ国訪ねたことになります。(吉川春子議員はやはり来週、オランダに行
き、私は月末には台湾に行くことを計画しています)

 私たちは行った先々で被害者の方たちから「私たちの名誉回復のためにと
りくんでくれて、ありがとう」と言われます。日本によって大変な被害を受
け、今も苦しんでいる皆さんに「ありがとう」といわれると胸が痛みます。

「本当に法案がとおるのか」と率直な疑問もぶつけられています。彼女たち
に期待をさせてしまっている分、「野党提出法案の成立は難しい」とばかり
は言っていられない。私たちは何を、どのようにめざしているのか、より多
くの方たちにご理解をいただいて一日も早く法案が成立するように、そして
法案が成立したらできるだけ速やかに、そして被害者の方たちが本当に納得
のできるかたちで「名誉回復」のための措置が実行されるようにという「成
立後」も視野に入れながら、決意を新たに取り組みを続けていきます。


◇◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
  「人権擁護法案」に関する質問への回答
               岡崎トミ子(参議院議員・民主党・宮城)
 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◇◆
 先日読者の方からいただいていた「人権擁護法案」についての質問に対し
て一言だけお答えします。「野党は政府案に反対しているが、人権擁護法案
には社会的弱者である性的マイノリティにとっては非常に重要な内容も含ま
れている。反対だけでいいのか、今後どうするのか」というご趣旨の質問だ
と思います。

 私も衆議院議員時代から性的マイノリティの方たちと一緒に活動する機会
をいただいており、問題の深刻さや重要性はいつも教えられています。政府
案が性的指向について盛り込んだ点については、私も評価します。

 けれども政府案は全体として、人権擁護の面から徹底的に弱くて、たまり
かねた国連人権高等弁務官事務所から異例の「意見」が送られるようなもの
である一方、役人や政治家に対しては甘い、まったく容認できないものです。

 民主党は同性愛の方たちの運動団体の対案として「人権侵害による被害の
救済及び予防等に関する法律案」の大綱を出していますが、その内容として
「何人も、他人に対し、公務、商品・サービスの提供、雇用等の社会領域に
おいて、人種、信条、性別、社会的身分、門地等を理由として不当な差別的
取扱いをしてはならないものとすること」とし、このなかに「『民族、障害、
疾病、性的指向』による不当な差別的取扱いの禁止を当然含む」ことを党の
政策決定機関で正式に確認しています。

 中途半端かつ後ろ向きの与党案に安易にのることではなく、この対案を掲
げて闘っていくことで、投げかけていただいた疑問にお応えしていきたいと
思います。


◇◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
  編集後記              ロゼッタストーン・弘中百合子
 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◇◆
「長いので、削ってもらってもいいです」と、山口議員からも、岡崎議員か
らもメッセージが添えられていましたが、熱い思いが伝わってくるので、そ
のまま掲載することにしました。

 先日、ある中学校の社会科の先生から、「『ヴィーナスはぁと』の原稿を
授業で使いたい」という連絡がありました。また、ある新聞の政治部の記者
は「『ヴィーナスはぁと』は、記者仲間も読んでいる。議員の声はもちろん
だが、読者の声も参考になる」と言ってくれました。

 いろんな人が注目してくれているのは、ありがたいですが、その分、責任
も重大。
 ヴィーナス議員たちが、どんなことを考えているのか、それを読む読者が
どんなふうに感じているのか、これからもきちんと伝えていきたいと思いま
す。

 というわけで、みなさま、感想、ご意見、どんどんお寄せくださいね。み
なさまから寄せられた意見は、ヴィーナス議員に確実にお届けしています。
また、第5週(次回は10月31日)のメルマガでは、読者の主な声をご紹介し
ます。

 ご意見、ご質問はvheart@rosetta.jpまでお願いします。


◇◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
  「ヴィーナスはぁと」参加議員一覧
 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◇◆
「ヴィーナスはぁと」に参加してくださったのは、次の次の16名(敬称略)の
方々です。

 ◇衆議院
  川田悦子 (無所属・東京)  瀬古由起子(共産党・東海)
  武山百合子(自由党・北関東)  松島みどり(自民党・東京)
  水島広子 (民主党・栃木)  山内惠子 (社民党・北海道)
  山口わか子(社民党・北陸信越)

 ◇参議院
  有村治子 (自民党・比例)  井上美代 (共産党・東京)
  岡崎トミ子(民主党・宮城)  小宮山洋子(民主党・比例)
  千葉景子 (民主党・神奈川)  八田ひろ子(共産党・愛知)
  広中和歌子(民主党・千葉)  福島瑞穂 (社民党・比例)
  吉川春子 (共産党・比例)

詳しいプロフィールを知りたい方、顔写真を見たい方は、ロゼッタストーン
WEBページで公開しています。⇒ http://www.rosetta.jp/
各議員のWebページにもリンクしています。

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■次号予告
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 次回は、武山百合子議員 八田ひろ子議員 福島瑞穂議員、
小宮山洋子議員が登場します。

 ※登場する議員の顔ぶれは、変更する場合もあります。ご了承ください。

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〒171-0021 東京都豊島区西池袋5−27−9−101 株式会社ロゼッタストーン
発行人・編集人:弘中百合子
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