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第53回   【試写会】家族X

家族X
東京郊外の新興住宅地。橋本路子(南果歩)は家族のために日々家事をこなし、黙々と食事を作り続けている。窓際会社員の夫・健一(田口トモロヲ)は 妻との会話を避けるように無言で出社し、喫茶店で時間をつぶしてから帰宅する。フリーターの息子・宏明(郭智博)は、家族とほとんど接触せず、現場と部屋との往復を繰り返す日々を送っている。マイホームを手に入れ、幸せも手に入れたと信じていた路子は、それでもなお、誰もいない食卓に料理を並べる毎日を過ごすが…。


最初の場面から、吸い寄せられるように見ました。

一体何が始まるんだろう?というスリルというか、
先の見えない不安な心持ちというか、
なんとも言えない違和感がありました。

見ていて何度も思ったのは
“これはシャレにならない。”ということ。

この家族の日常と、ほぼ似たような光景が
今日もどこかで繰り返されている。
そんな気がしてなりませんでした。


男というのは、えてして食事に対する気持ちが淡白で、
極端な話、お腹いっぱいになれば何でもいいと
いう傾向すらあります。

食事をしながらの時間や会話に、あまり関心がないのです。

その感覚のズレが、妻と夫、息子との間で
どんどん広がっていく。

主婦である路子には、何より大事な
食事の時間が、ないがしろにされていく。

その果てがどうなるのか?
皆さん、どう思われます?


31歳の新鋭・吉田光希監督が、
“家庭内行方不明者”を探す旅に挑戦、
というキャッチコピーがありましたが、
まさに言い得て妙だと思います。

この時代だからこそ、より心に響く、
家族の在り方や人間関係を考えさせられる作品ですね。


『家族X』
2011年9月24日公開
■公式サイト: http://www.kazoku-x.com

2011.9.25 掲載

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