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第83回   はじまりのうた

イギリスからニューヨークへとやって来たシンガーソングライターのグレタ(キーラ・ナイトレイ)は、恋人デイブ(アダム・レヴィーン)に裏切られ、失意の中、たまたまライブハウスで歌っていたところを、落ち目の飲んだくれ音楽プロデューサー、ダン(マーク・ラファロ)にスカウトされる。帰国も考えて揺れる気持ちの中、ダンからアルバム制作を提案され、戸惑う。ついに挑戦を決意するが…。


アカデミー歌曲賞を受賞した
「ONCE ダブリンの街角で」のジョン・カーニー監督の最新作。

当然ながら、というか、期待以上に音楽が素晴らしい!
「ONCE〜」ファンは、ニンマリですね。
いろんな意味で、物語の中心に音楽があります。

ニューヨークという世界的大都会で夢をみて、
裏切られ、傷ついた二人。

一緒にアルバムをつくる
=新しい音楽をつくることを通じて、
人間をつくる。人間関係をつくる。

そして、壊れかけていた、
失いかけていた大切なものを取り戻す。

普通にしているだけではどうにもできない
微妙な心のスキマや距離を音楽がつないでいく。


友情、男女の愛、家族愛…

さまざまな形の愛が
音楽と絡み合って浮き上がってきます。

時が経って、じわじわと効いてくるところがあり、
うーん、サントラが欲しくなります(笑)

それにしても、デイブ役の男、
最初は何とイヤな奴だろうと思ってたんですが、
同時に、あれれ? 俳優にしては、歌が上手過ぎる。

何より、この声には聞き覚えがあるぞ!

ひょっとして、
マルーン5じゃないかな、と思ったら大正解でした。
彼、アダム・レヴィーンの存在は大きいですね。

キーラ・ナイトレイの素朴な歌があれほど引き立ち、
心に響いたのも、対照的な立ち位置にある、
彼の圧倒的な歌あってのもの、と思います。
キャスティングも含め、見事!!

音楽の力、素晴らしさ
そして、人間の愛おしさが感じられる傑作です。


『はじまりのうた』
2015年2月7日より公開中
■公式サイト: http://hajimarinouta.com

2015.3.18 掲載

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