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第94回『夜に生きる』

1920年代、禁酒法時代のボストン。市警幹部の息子ジョー(ベン・アフレック)は、父への反発から仲間と強盗を繰り返していた。街ではイタリア系、アイルランド系の2大ギャング勢力が対立し激しい抗争を展開していたものの、ジョーはどちらにも属さず、我が道を貫いていた。
ある日、強盗に入った賭博場で魅惑的な美女エマ(シエナ・ミラー)に出会う。二人はたちまち恋に落ちるが、エマはアイルランド系ギャングのボスの情婦。このままタダで済むわけはなく、駆け落ちすることを誓い合ったが…。

『アルゴ』でアカデミー賞、ゴールデン・グローブ賞などを多数獲得し、“ポスト・イーストウッド”を期待されるベン・アフレック監督の最新作。

このコラムでは、以前『ザ・タウン』を取り上げましたが、アフレック作品にはとても魅力を覚えます。

一言でいうなら、“ひねりの効いた王道”とでも言えばよいでしょうか。

ダークな作品の中に、一服の爽やかさがあるんですよね。どこか清々しさを感じる。これはアフレック作品に共通する部分だと思っています。

今回の彼の役柄は、まさにダークヒーローと呼ぶべきもの!

レトロな雰囲気を感じさせますし、いわゆる“フィルム・ノワール”が好きな人にはたまらないでしょうね。

ジャン・ギャバンやマーロン・ブランドといった往年のダークヒーローを思い出しつつ、アフレック独自の魅力を楽しみました。

個人的には、冒頭に近いところでの父子のやりとりが非常に印象に残ってます。

父が長年の警官人生から学んだ
「自分がしたことは必ず返ってくる」
といった言葉を投げかける場面があるんです。

日本でいうところの“因果応報”ですが、この一言、後々の展開に大きな意味と重みを持つキーワードかな、と勝手に解釈しています。

ちなみに、本作には同名の原作(デニス・ルヘイン著)があり、アメリカ探偵作家クラブ賞の最優秀長篇賞を獲得しています。

映画を見て非常に気になったので近々読んでみようと思います。


『夜に生きる』
大ヒット公開中!
■公式サイト
https://warnerbros.co.jp/c/movies/yoruni-ikiru/

2017.5.31 掲載

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