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第101回『はじめてのおもてなし』

ドイツ・ミュンヘン。閑静な住宅街に2人で暮らすハートマン夫妻。教師を定年退職し、暇を持て余す妻のアンゲリカ(センタ・バーガー)、大病院の医長を務める夫のリヒャルト(ハイナー・ラウターバッハ)。子どもたちとのことも含め、家族の関係がギクシャクしていた。
ある日曜日、子どもたち2人が顔を見せ、久しぶりに家族全員が集まったディナーの席でアンゲリカが「難民を1人受け入れる」と突然宣言。家族全員が猛反対する中、ナイジェリアから来た亡命申請中の難民青年ディアロ(エリック・カボンゴ)が住むことになるが…。

2016年度ドイツ映画興行収入NO.1を記録し、ドイツアカデミー賞の観客賞を受賞した話題作が、いよいよ日本公開!

一言でいうなら、家族の物語です。

家族や難民のことがテーマにあるものの、本作は決して深刻な作品ではありません。いわゆる社会派作品と呼ばれるものとは異なり、基本的にコメディーと言ってよいと思います。
しかし、笑いがメインにあるからこそ、シリアスな作品以上に、いろんなことが心に響く気がします。もし自分がこの立場、この状況だったら、どうだろうか?と。

難民の受け入れに関する話題は、ニュースで頻繁に見聞きすることはあっても、日本では、なかなかイメージしづらいかと思います。でも、難民うんぬんを語る前に、人はそもそも皆、違うもの。人間関係に悩んだり、苦しんだりしてる人の多くは、その「違い」が受け入れられなかったり、理解できないことが大きな要因の1つになっています。家族のように間柄が近いがゆえに、受け入れるのが難しいこともありますから。

ゆえに、自国民同士、家族同士であっても、いっそのこと「文化や常識が違うのだ」とくらいに思えれば、もう少し関係がラクになるのではないでしょうか。

難民の受け入れによって混乱すると同時に、大事なものに気づいたり、変化していく家族の姿からきっとご自身や周囲にも通じる"何か"を感じるはずです。

『善き人のためのソナタ』のプロデューサーとヒットメーカーのサイモン・バーホーベン監督、ドイツの人気俳優たちが競演する渾身の一作、ぜひお楽しみください。


『はじめてのおもてなし』
2018年1月13日より、シネスイッチ銀座ほかで全国順次公開
■公式サイト
http://www.cetera.co.jp/welcome/

2017.12.25 掲載

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