ロゼッタストーン コミュニケーションをテーマにした総合出版社 サイトマップ ロゼッタストーンとは
ロゼッタストーンWEB連載
出版物の案内
会社案内

第14回 「おまえうまそうだな」

おまえうまそうだな

「おまえうまそうだな」(ポプラ社)
宮西達也作・絵
定価:1260円(税込)
私的おすすめ年齢 2歳半〜
かいじゅうや恐竜、仮面ライダーなど
「強いもの」が好きになったら


「はやく おとうさんみたいになりたい……」


まったく悪気はなかったのです。

まったく、思いもよらなかったのです。

ただ単に、
大好きな恐竜が出てくるお話ねと思い、
しかも最近、私たち親子の中で流行っている、

「交互読み」

というのを、やっていただけなんです。

交互読みとは、
たとえば、桃太郎のせりふを子どもが、
鬼のせりふを親が読む、という、

読み聞かせ界のステップ2!

といった読み方です。

アンキロサウルスの赤ちゃんが、たまごから生まれました、というところから、お話は始まります。

でも、ひろいところに一人ぽっち。
とぼとぼ歩いていると……。

ガオーーーーーー!

あっ! 大きな影が!

どこからみても、ティラノサウルスの影!

「ひひひ……おまえ うまそうだな」

アンキロサウルス、ピーンチ!!!

さて、どうやって逃げるのか……、
そういうお話だと思っていたのです。

とんちか? 魔法か?
はたまた、ヒーローのおでましか?

ところが、アンキロサウルスの子は、
思いも寄らない行動に出たのです。

「おとうさーん!」

ええっ??? 
 
「さみしかったよ。こわかったよ」

えええっ???? ティラノサウルスの足にしがみつく、アンキロサウルスの子。

一番驚いたのはティラノサウルス、
というお話ですが、
我が家で一番驚いたのはわたくしです!

「なんで、おれさまが お、おとうさんだってわかったんだ?」

「だって、ぼくのなまえ よんだでしょ」

『おまえ、うまそうだな』って。
ぼくのなまえ ウマソウ なんでしょ」

ティラノサウルスは、きょとーん。
私はと言うと、

「ここでやめたら余計にへんだ。母子家庭だって、堂々と最後まで読まなくては!」

と、いう気持ち。

草をむしゃむしゃ食べる、アンキロサウルスの子。おとうさんにもすすめるが、もちろんティラノサウルスは肉食ですから、

「あ、ああ……あむあむあむ」

と口ごもりながら、

「おなかすいてないから おまえぜんぶたべろ」

と言います。
その言葉を受けて、

「ありがとう。ぼく、いっぱいたべて
はやくおとうさんみたいになりたい」


というのです!!

息子がこのせりふを、読むわけですよ!! やめときゃよかったと再度熟考、5秒。

「ええい、最後まで読んでしまえ!」

もうやけっぱちな気持ちです。

その後、アンキロサウルスの子が他の恐竜に食べられそうになると、首の後ろをかまれながら、守るティラノサウルス。

キズがズキズキしながら、
夜、添い寝をしてやる、ティラノサウルス。

アンキロサウルスは、その後も、
おとうさんによろこんでもらうため、
遠くの山の赤い実を持ってきてあげます。

「な、なんで そんなとおくまで
いったりするんだ!
あぶないじゃないか!」


ティラノサウルス、
すっかりお父さんモードです。

いろんな技を教えてあげるティラノサウルス。
そのたびに、

「おとうさんみたいになりたい」

という、アンキロサウルスの子。

でも、いつまでもこの状態ではいけないと、
ティラノサウルスは決心します。

最後は、ちょっと切ないお別れが。

でも、ティラノサウルスって、
なんていい恐竜なのでしょう、と、
気づけば、「母子家庭なのに〜」とわやくちゃ考えていた自分があほらしくなりました。

とってもとっても、いいお話です。
同じティラノサウルスが出るシリーズも、
3冊出ているそうです。

「自分が大切にされてないなあ」

と思ったときに読むと、
大人でも、じいんと心に響く1冊です。

2007.2.22 掲載

著者プロフィールバックナンバー
上に戻る▲
Copyright(c) ROSETTASTONE.All Rights Reserved.