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第81回
2013年度、新会長は女性、ルーシー・バーミンガムさん!

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新会長ルーシー・バ—ミンガムさん(右)と再選された副会長マーティン・ケーリングさん(左)

6月3日夜の特派員協会正会員総会での候補者推薦から始まり、6月28日午後の決選投票開票で完了した今回のプレスクラブ選挙は異例尽くしだった。
  まず、第一に3年間連続会長を務めたジョージ・バウムガートナーさんに代わって、女性のしかもフリーランスのルーシー・バーミンガムさんが圧倒的多数の票を集め会長に選ばれたこと。第二にはクラブ68年の歴史始まって以来の決選投票が行われたことだ。


「幸運の出会い」によって

コネチカット州出身のルーシーさんは3児の母、タイム誌、NHK等の仕事をフリーランス・ベースでこなしているが、自分自身のキャリアを振り返って“serendipity”(偶然の幸運な出会い)に恵まれてジャーナリスト生活を続けて来られたと話す。

首都ワシントンのGeorge Washington大学でcommunicationを専攻し、卒業後たまたま友人を訪ねた場所が日本文化の首都京都。英語教師やホステスのアルバイトなどしながら2年余に渡って異文化を楽しむが、心機一転バック・パッカ—となりアジアを一年間に渡って巡訪。


日本が大好き

米国に帰国したものの日本が忘れられず再び日本に戻り、伝説のニュース写真家であるGamma Press日本代表の栗田格さんと偶然に出会う。弟子入りして重量ある機材を担いで写真を撮りまくる。その後プレスクラブの元副会長に出会いBloomberg誌へ紹介され、写真編集者となる。同誌がリーマンショックでフリー記者を解雇した後は、東京支局を閉鎖したタイム誌と契約して東北大震災を取材。“Strong in the Rain”(雨にも負けず)を最初の著書として英国インデペンデント紙の記者デイヴィッド・マクニ—ルさんと共著する。

解雇される度に新しい出会いがあり、転職する間には三児の母として専業主婦生活も経験。ジャーナリスト一筋に経歴を積み上げるプレスクラブの会員としては稀有の存在だが、これだけの“serendipity”に恵まれるのも彼女の人柄だろう。


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決戦投票で第四理事に当選した
アルバート・シーゲルさん

決戦投票

たださえ緊張が強いられるプレスクラブの選挙週間だが、さらにもう一週間決戦投票で拘束されるとなると何度目かの選挙管理委員長として筆者は嘆きの一言も洩らしたくなるが、それをさせなかったのがアルバート・シ—ゲルさん(前マイアミ・ヘラルド紙カメラマン)の真摯で果敢な挑戦だった。

クラブの中堅会員ジョン・ボイドさんとの90票対90票の同点決勝でボイドさんは恒例の二度目の候補者声明を出しただけなのだが、アルバート・シーゲルさんは新たに独自のビデオ動画まで作成して、正会員全体に配布してほしいと提出してきた。(動画はアクセスできないよう既に削除されている)

これまで選挙ポスター、e-メール、電話などの方法で票集めが行われていたが動画は初めての試み。選挙管理委員会では「従来の方法以外は認められない、ビデオ動画は作成可能な候補者が限られる」との意見と「メディアの中心地であるプレスクラブだからニュー・メディアを認めるべきだ」という意見に分かれたが、公平を期するために対立候補ボイドさんに尋ねると「自分は作成しないが配布してもらって結構」との紳士的な返事。

結果としてアルバートさんが66票対52票のわずかな差で第四理事の座を射止めた。彼も紳士的に、勝利宣言ではIT問題の専門記者であるジョンさんに自分の委員会に加わってもらい協力してクラブのWebsiteを改善したいと挨拶した。

果敢にビジュアルでアピールしたシーゲルさんのポスター
その1 その2 その3
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他に第一副会長 マーティン・ケーリング(ドイツ、ハンデルスブラット紙)、第二副会長 福永正明(インド、ザ・サンマルグ紙)、書記 マイケル・ペン(米国、シンゲツ・ニューズ・エージェンシー)、第一理事 神保哲生(日本、ビデオ・ニュース・ネットワーク)、第二理事 村上吉男(日本、インターナショナル・トリビューン紙)第三理事 長谷川洋三、(日本、日経ラジオ)監事 ウイリアム・スポサート(米国、ダウジョーンズ・ニューズ)の各氏が当選。

なお、前会長のジョージ・バウムガートナーさん(スイス・ラジオ・テレビジョン)は改めて財務担当理事に当選した。以前にも四期連続で財務理事を務めているのでベテラン会員たちは「今や永世財務理事」と彼の経費節減への情熱に驚嘆している。

このところ公益社団法人化、料飲部の外注、組合問題等で会員間で深刻な意見の対立が見られたが、選挙戦は終わった。ルーシーさんの最優先課題はクラブ内の理解と調和を深めること。理事会は「ノ—サイド」で特派員協会の運営に当ってもらいたい。

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ルーシーさんとプレスクラブ最強の(?)女子会。
右よりドリニ・カクチさん、サンドラ・モリさん、ルーシーさん、筆者

2013.7.5 掲載


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