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第96回 JE SUIS CHARLIE(私はシャルリー)

フランスの風刺週刊誌“Charlie Hebdo”(シャルリー・エブド)の編集部がイスラム過激派のテロに襲われ12人が殺害された事件で、パリではオーランド仏大統領、メルケル独首相、キャメロン英首相、ネタニエフイスラエル首相、パレスチナ自治政府代表など各国の首脳、国際機関代表56名と市民ら100万人以上が「共和国広場」を起点に行進し、国内では約370万人が報道の自由への連帯を掲げてパレードした。

プレス・クラブでは、リチャード・ロイド・ペリー(The Times ロンドン・タイムズ特派員)が主唱者となって銃撃事件を非難するとともに、犠牲者への哀悼を示す声明をフランス語英語日本語の3か国語で起草し、東京都内のフランス大使公邸でティエリー・ダナ大使に特派員たちの署名を添えて声明文を手渡した。

声明は5時間以内に80名を超える賛同の署名を集め、その後もなお署名が寄せられている。

■ 2015年1月9日(日本語文)

私達、以下に署名をした日本で働く日本人及び外国人ジャーナリストは、パリで水曜日に発生した仏週刊新聞“シャルリー・エブド”に対する殺人目的の攻撃を全面的に非難いたします。

過激主義者の暴力に苦しんだことのある日本は、このような行為によって負わされた衝撃と苦痛を深く理解するものです。私達は報復を恐れることなく報道をし、挑戦し、そして時には個人、団体、宗教をも含み嘲笑することが全てのジャーナリストとしての権利であり義務であると考えます。この攻撃に際し亡くなられた方々のご遺族に心からの弔意を示すとともに、暴力と脅しに屈せず職務を続行する勇敢なフランスの同僚達と連帯していくことをここに宣言致します。

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FCCJ代表がティエリ・ダナ駐日フランス大使と会見。
(左より)M.ペン副会長、L.バーミンガム会長、R.ロイド・ペリー、ティエリ・ダナ駐日フランス大使。
©Hue Griffith

「自由の価値を守る」

報道の自由を守るため各国首脳がパリに集まり、仇敵同志のイスラエル首相とパレスチナ自治政府代表さえも世界の指導者とともに腕を組み最前列で行進する写真を世界のメディアが掲載する中、本来、多人種、多文化国家で自由の価値を守ってきた米国の顔が見えなかったのには米国メディアから批判の声が上がっている。ホワイト・ハウスのアーネスト報道官は「公平に言って我々は駐仏大使以外のもっと高位の当局者を派遣すべきだった」と述べた。その巻き返しを図るためか来月18日米国は首脳会議を開き、各国政府と暴力的な過激思想に感化された自国民の国内での過激化への対抗策について協議する。

なお、日本からは鈴木庸一駐仏大使が参加した。


2015.1.17 掲載


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