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第72回 メジャーには興味ない

「時代の寵児」という言葉を最近よく耳にする。

今の時代、誰もがマスコミに出たがり、マスコミに相手にしてもらいたがる。
マスコミで顔を売り、それによって信用というものを手に入れ、なんらかのメリットを得ようとする。それよりなにより、「目立ちたい」という人間の欲求を満たす格好の場所なのだろう。別にそれを否定する気はさらさらないのだが、果たしてそこに確かなものはあるのだろうか?

僕が知っている限り、答えはNOに近いと思う。あそこで踊る人々と踊らされる人々、そして振り付けを担当する人たち。そう、「祭り」という非日常に近いものがそこにはある。でも「祭り」はあくまでも「祭り」。そうそう長く続けるものではないし、長く続くものでもない。

いつの世も、人は常に目立ちたがり、少しでも他人の上に立ちたいと思い、支配を繰り返す。
  だから、所詮それは空しい行為と知りつつも、なお踊りに参加しようとする人たちがあとをたたない。

「お前は有名になりたくないのか?」
  以前、芸能界の大先輩に言われたことがある。
  「あまり興味がありません」
  そう答えた。
  「だから、お前はダメなんだ!もっと欲張らないと売れないぞ!!なんのためにこの世界にいる!!!嫌ならやめちまえ!!!!」
  大勢の前で叱咤された。

僕はそのまま何も言い返せずに下を向いた。
  僕は好きで役者をやっているわけではない。不可抗力でこうなってしまっているのだ。気がついたら役者というものが生活の糧になっていただけで、この先も続けるかどうかもわからない。ただ一つだけ言えることは、僕はものを考えるのが好きだし、みんなで一つの作品を作っていく過程が好きなのだ。だから、役者にこだわらずに、裏方としてでもいい。決して目立ちたいわけでもないし、有名になりたいわけでもない、お金も生活でる程度あればいい。表の世界に対する執着はないのだ。ただ、役者として誘われることが多いだけなのだ。

これがなかなか理解されない。
 「けっきょくテレビとか映画とかに出ているのだから、いくらお前がそう言っても説得力がない!!」
  そうやってよく言われた。

演出を始めたときもそうだ。
 「演出家として有名にならないと意味がないぞ!!」
  ことあるごとにまわりは口にする。

意味ってなんだ?有名になってどうするんだ?
 僕はただ気の合う仲間と作品を作りたいだけなのだ。そして、見に来てくれた人が何かを感じ、少しでも「考える」ということをしてくれればいい。

「じャあ、劇団にして、組織としてでかくしろよ!!」
  また、外部の人たちが吠える。
  組織には興味がないのです。組織を作るとその継続やしがらみに力を取られてしまい、物作りに使う意識が少なからず低下するからです。

「それでお前はいいのか!!」
  いいのです。
  今まで、メジャーな仕事もマイナーな仕事もたくさんしてきました。でも、メジャーな仕事だからよかったとか、マイナーな仕事だからよくなかったとか、という事は一切ありませんでした。

でもハッキリしているのは、メジャーな仕事をすると周りが騒ぎ、マイナーな仕事をしていると周りは無関心、と言うことです。
たとえメジャーな仕事でも、ダメな現場は多いし、マイナーな仕事でもいい現場はたくさんあるのです。

所詮、人々はその仕事の内容よりも、その仕事がメジャーかマイナーかで判断することが多いのでしょう。
  くだらないことだとは思いますが、仕方がないことなのでしょうね。

自分で判断する、ということを多くの人間が日常からしなくなってしまったのですから。メジャーかマイナーか、有名か無名か、勝ちか負けか、そこら辺が人間を判断する基準になっている気がします。
  どうにかしたいとは思いますが、どうにもならないことだとも思います。

「お前は甘いよ!!!」
  昔から、そう言われてきました。
  実際そうなのかもしれません。
  でも、今さら生き方を変える気はありませんし、そう簡単に変えられるものでもありません。

なるべく、欲なく、執着なく。
  なんとなく、そんな感じで生きていきます。

2006.2.3 掲載

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