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ホリプロ舞台「hana-1970、コザが燃えた日-」

シアター通よりシアター好き

渡辺晴子
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沖縄返還50周年2022年の今年、ミュージカル・エンターテイメントの大手、ホリプロが骨太のストレイト・プレイを制作した。1970年12月20日当夜に実際に起きたコザ騒動を踏まえた脚本は畑澤聖悟、演出は栗山民也、主要出演者は松山ケンイチ、余貴美子、岡山天音、神尾佑などの個性派である。


ストーリー

舞台は極東最大の軍事基地・嘉手納基地にあるAサインバーと呼ばれる米兵向けの質屋を兼ねた酒場「hana」。
基地の門限も過ぎた深夜、おかあ(余貴美子)が娘ナナコ(上原千果)、ジラースー(神尾佑)たちとくつろいでいると、大型のアメ車の爆音が聞こえ、降りてきたのはバンドマンからヤクザになっておかあから勘当された長男のハルオ(松山ケンイチ)。今夜逃がすことになっている2階に匿われていた脱走米兵ミケ(玲央バルトナー)を見つけてもみ合いになる。

ホリプロ舞台「hana-1970、コザが燃えた日-」
 
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そこに次男で小学校教師のアキオがミケを逃がすために来るが、直前まで毒ガス撤去デモに一緒に参加していた小学校教師の比嘉(櫻井章喜)と本土からの報道カメラマン鈴木(金子岳憲)が一緒についてくる。

営業時間を終了した酒場にズーズーしく酒を注文する比嘉。毒ガス問題、B52の墜落事故、本土から来たヤマトンチューのジャナリストの鈴木は、沖縄が抱える課題を列記して「戦争を風化させてはいけない」と力説する。が、おかあは一言返事する。「戦争が終わったと思っているウチナーンチュは1人もいない」

自己満足の正義を主張する鈴木にハルオは憤怒し、沖縄の戦火の中でおかあの度胸で結ばれた自分たちの家族の成り立ちをぶちまける。窓外では街路全体が燃え上がり、歴史的な暴動の夜となっていた。

ホリプロ舞台「hana-1970、コザが燃えた日-」
ジラースー(神尾佑)とおかあ(余貴美子)

観客は50年間も自分たちが「鈴木」であったことに改めて直面させられる。
エンタメのホリプロがよくもこのような作品を企画したものだ。

余貴美子の存在感と松山ケンイチの力演を特記したい。

  • 東京公演:2022年1月9日(日)~30日(日)
    於:東京芸術劇場プレイハウス
  • 大阪公演:2022年2月5日(土)・6日(日)
    於:梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ
  • 宮城公演:2022年2月10日(木)・11日(金)
    於:多賀城市民会館
  • 企画・制作:ホリプロ

2022.1.22 掲載

著者プロフィール
渡辺 晴子(わたなべ はるこ) : HKW、シカゴ・サン・タイムズ、アジア新聞財団(東京支局長)を経て、現在HKW代表メディア・リポート特派員。30年来の(公益社団法人)日本外国特派員協会会員で、副会長、理事、監事、選挙管理委員長を歴任し、現在は永世会員。特別企画委員長としての同協会の取材活動、文化事業を主宰している。また上智大学講師、ユネスコ「女性とメディア」開発コンサルタントとして内外のジャーナリストを育成。
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