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ミュージカル「ドッグファイト」

シアター通よりシアター好き

渡辺晴子
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ドッグファイトとは、パーティーに一番イケてない女性をナンパしてきた者が賞金を独り占めする海兵隊員のゲーム。

エディ・バードレイス(屋良朝幸)や仲間のラルフィー・ボーランド(藤岡正明)、ディッキー・バーンスタイン(大久保祥太郎)などサンフランシスコからベトナム戦線に出発する海兵隊員たちは、ベトナムがどこにあるのか、何のために派遣されるのか理解できない無知で無邪気なまま、アメリカ最後の夜をドッグファイトで大騒ぎする。

'60年代のアメリカは、人種問題、反戦運動などで社会が分断し、大学生たちエリートと貧しい高校卒以下の若者の間にも大きな分断があった。大学在学中予備士官コースを習得しておれば、中尉として2年間の徴兵生活(トップでコースを修了すれば大尉)。一方、海兵隊員は志願制で、3年間の厳しい軍隊生活を送り、エリートたちに“Brainless Marine”(アタマのない海兵隊員)と揶揄されていた。

エディーは街角の食堂でギターをつま弾きながらボブ・ディランやジョーン・バエズなどのカウンター・カルチャーを歌いあげる太っちょウエイトレスのローズ(昆夏美)と出会い、パーティーに誘ってしまう。生まれて初めてデートに誘われて喜ぶローズの素直な心に触れて、自分の動機に心苦しく思う。そのローズもドッグファイトに誘われてきた娼婦のマーシー(壮一帆)に真相を聞かされ、怒る。が、彼の母国最後の夜を一緒に過ごすため自分の部屋に招き入れ、二人は結ばれる。

ベトナムでの激しい戦闘。仲間を次々と失うエディー。ローズの住所をなくして音信不通のまま過ごす。3年後、エディーは無事除隊してサンフランシスコに戻ってくる。彼女は3年間のうちにスリムになっていた。

屋良朝幸のダンスと若い俳優たち自身による素早い舞台転換は、戦地に先頭で出撃する海兵隊員のショーにふさわしいシャープな切れ味だった。(2021年9月17日~10月4日:シアタークリエ、2021年10月6日:日本特殊陶業市民会館ビレッジホール、2021年10月21日~10月24日:梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ)


2021.10.12 掲載

著者プロフィール
渡辺 晴子(わたなべ はるこ) : HKW、シカゴ・サン・タイムズ、アジア新聞財団(東京支局長)を経て、現在HKW代表メディア・リポート特派員。30年来の(公益社団法人)日本外国特派員協会会員で、副会長、理事、監事、選挙管理委員長を歴任し、現在は永世会員。特別企画委員長としての同協会の取材活動、文化事業を主宰している。また上智大学講師、ユネスコ「女性とメディア」開発コンサルタントとして内外のジャーナリストを育成。
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